「生きて帰るは毛頭持たず」 特攻隊員の日記展示
終戦前日に特攻出撃準備命令を受けた大津市出身の特攻隊員、故羽田政男さんの足跡を日記などでたどる展示が大津市御陵町の市歴史博物館で開かれている。終戦直後の日記には、「生きて帰るは頭に毛頭持たず」「若くして散らして戴(いただ)けた方が何ほど尊(とうと)きや」などと、特攻を果たせなかった悔しさが克明につづられている。
海軍航空隊の訓練内容などを記録した「敢闘録」や、終戦後の9月から1946年5月までの心中をつづった日記、写真などが昨年度、羽田さんの遺族から同館に寄贈された。羽田さんは95年に65歳で亡くなったが、遺族に戦時中のことを多くは語らなかったという。樋爪修館長(63)が日記などを読み解き、足跡をまとめた。
羽田さんは瀬田工業学校在学中の43年、甲種飛行予科練習生に志願して同年10月に鳥取海軍航空隊に入隊。44年7月の卒業後は、飛行練習生として峰山航空隊に所属した。45年3月、羽田さんの所属する練習航空隊が特攻の作戦部隊に組み込まれた。岩国基地(山口県)で待機していた8月14日に出撃準備の命令を受けた。樋爪館長は「戦闘機ではなく練習機での出撃は無謀。当時、いかに日本の戦況が苦しかったか分かる」と話す。
日記では、特攻練習を懐かしむ記述が多く見られ、終戦をなかなか受け入れられない心境が見て取れる。樋爪館長は「戦争体験者の心中を知ることができる貴重な資料。大津の特攻隊員がどういう思いで戦中・戦後を過ごしたか知ってもらえれば」と話す。9月11日まで。月曜休館。有料。
【 2016年08月15日 21時00分 】