出版案内
福祉事業団
47NEWS

「生きて帰るは毛頭持たず」 特攻隊員の日記展示

大津市出身の元特攻隊員羽田さんの足跡を遺品の日記や写真でたどる展示(大津市御陵町・市歴史博物館)
大津市出身の元特攻隊員羽田さんの足跡を遺品の日記や写真でたどる展示(大津市御陵町・市歴史博物館)

 終戦前日に特攻出撃準備命令を受けた大津市出身の特攻隊員、故羽田政男さんの足跡を日記などでたどる展示が大津市御陵町の市歴史博物館で開かれている。終戦直後の日記には、「生きて帰るは頭に毛頭持たず」「若くして散らして戴(いただ)けた方が何ほど尊(とうと)きや」などと、特攻を果たせなかった悔しさが克明につづられている。

 海軍航空隊の訓練内容などを記録した「敢闘録」や、終戦後の9月から1946年5月までの心中をつづった日記、写真などが昨年度、羽田さんの遺族から同館に寄贈された。羽田さんは95年に65歳で亡くなったが、遺族に戦時中のことを多くは語らなかったという。樋爪修館長(63)が日記などを読み解き、足跡をまとめた。

 羽田さんは瀬田工業学校在学中の43年、甲種飛行予科練習生に志願して同年10月に鳥取海軍航空隊に入隊。44年7月の卒業後は、飛行練習生として峰山航空隊に所属した。45年3月、羽田さんの所属する練習航空隊が特攻の作戦部隊に組み込まれた。岩国基地(山口県)で待機していた8月14日に出撃準備の命令を受けた。樋爪館長は「戦闘機ではなく練習機での出撃は無謀。当時、いかに日本の戦況が苦しかったか分かる」と話す。

 日記では、特攻練習を懐かしむ記述が多く見られ、終戦をなかなか受け入れられない心境が見て取れる。樋爪館長は「戦争体験者の心中を知ることができる貴重な資料。大津の特攻隊員がどういう思いで戦中・戦後を過ごしたか知ってもらえれば」と話す。9月11日まで。月曜休館。有料。

【 2016年08月15日 21時00分 】

ニュース写真

  • 大津市出身の元特攻隊員羽田さんの足跡を遺品の日記や写真でたどる展示(大津市御陵町・市歴史博物館)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域の政治・社会ニュース

    全国の政治・社会ニュース

      スポーツ

      首相の閉会式登場、森会長の発案
      五輪組織委の武藤事務総長

      20160823000001

       【リオデジャネイロ共同】2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長..... [ 記事へ ]

      経済

      「ポケモンGO」 地域振興、商業に 国内配信1ヵ月

      20160822000148

       スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」が、国内での配信開始から22日で1カ月..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      無縁仏に祈りの光 滋賀・引接寺で万灯供養

      20160822000145

       約6千体の石仏と石塔にろうそくの火をともして無縁仏を弔う「万灯供養」が22日夜、滋賀県..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      宿題手に手に、元気よく思い出語る 京都の3小で授業スタート

      20160822000072

       京都市内の3小学校で22日、いち早く夏休み明けの授業が始まった。南区の上鳥羽小では、日..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      帰還困難区域に復興拠点
      福島再生へ自民6次提言

      20160822000129

       自民党の東日本大震災復興加速化本部(額賀福志郎本部長)は22日、福島再生を中心とする被..... [ 記事へ ]

      国際

      中国で世界最長のガラス橋開通
      全長430メートル、湖南省

      20160822000133

       【北京共同】中国湖南省張家界の峡谷に架けられた全長430メートル、幅6メートルの観光用..... [ 記事へ ]