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これは1930年代、アメリカフロリダ州キーウェストで実際に起きた物語である。1人の女性を愛しすぎた男性には、死や腐敗という現実は、その女性を諦める理由にはならなかったようだ。
アメリカという国は昔から、夢や希望を実現できる国だ。そう、ドイツから移民してきたカール・タンツラー(1877年2月8日生まれ)にとってもまさにそうだった。タンツラーは、ドイツからフロリダ州ザファーヒルズに移り住み、のちに妻とふたりの娘もやってきた。
だがまもなく、タンツラーは家族を捨ててキーウェスト島に移り、米海軍病院のX線技師として働き始めた。名前も、カール・フォン・コーセルで通し、ときどき伯爵とつけ加えていた。
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妻子ある初老のカールが結核患者エレナに一目ぼれし告白するまで
1930年のある日、「カールのなんの変哲もない人生に新たな生きがいが生まれた。彼は50代になっていたが、結核患者のマリア・エレナ・ミラグロ・ド・オヨスに心を奪われたのだ。エレナの母親が治療のために彼女を病院に連れてきていた。
若き日のエレナ
カールは、この21歳の黒髪のエキゾチックなキューバ系アメリカ美人を見て一目で恋に落ちた。彼女こそ心から愛する女性であることを悟った。
医療訓練をほとんど受けておらず、病気の予後診断もできないにもかかわらず、カールはエレナに近づき、レントゲン機器一式を彼女の両親の家に自ら持ち込んで、治療を行うふりをして、宝石や洋服をプレゼントして、不滅の愛を告白した。
エレナが亡くなり1年半後、埋葬した遺体を掘りだすまで
しかし、エレナは結局、病が悪化して、1931年10月25日に亡くなった。いかにも紳士然として、カールは葬式の費用を負担し、家族の許可を得て、キーウェストの墓地にエレナのための霊廟を建てた。彼は1年半の間、ほぼ毎晩、エレナの墓を訪れた。
エレナな亡くなってからも彼女のことが忘れられないカールはいささかおかしくなっていった。エレナの墓の前にたたずんでいると、彼女の霊がスペイン語で歌いかけてきて、連れ出して欲しいとささやくと言い出したというのだ。そして1933年4月、カールは密かにエレナのボロボロに朽ちた遺体を掘り出して、自分の家に運んだのだ。
ぼろぼろの遺体をエンバーミング
カールは、想像を絶する方法でエレナの遺体を保存することに専念した。彼女の骨をハンガーとワイアーでつなげ、目にはガラス玉を入れ、腐った皮膚は蝋と漆喰を混ぜたシルクの布に置き換えた。腹や胸の空洞にはボロ布を詰め込んで、いかにも人間の体に見えるように作り上げた。
頭には、エレナが亡くなったときに母親から提供された本人の髪の毛でできたカツラをつけ、服を着せ、宝石やアクセサリーで飾った。香水を大量に使ってにおいをごまかし、ホルムアルデヒドのような防腐剤で腐敗を遅らせた。
遺体と共に7年間
それからカールはエレナの遺体と毎日を共に過ごした。一緒に踊ったり、添い寝したりすることもあった。
7年後、不穏な噂がエレナの遺族の耳に入り、妹のフロリンダがカールの家に出向いて直接問い正した。そして、怖ろしいことにそこで姉の保存処理された遺体を発見したのだ。フロリンダは警察に通報し、カールは逮捕されて、墓泥棒の罪で拘束された。
エレナを宇宙へ飛ばす計画
カールは精神鑑定を受け、裁判を受けるに堪えうると判断された。報告書によると、カールは、梱包した妻を飛行船で成層圏へ飛ばす計画をしていたという。そこで宇宙の放射線にさらせば、睡眠状態にあるエレナの体の組織がよみがえるというのだ。予審の間に出訴期限が失効したため、訴訟は取り下げられ、カールは自由の身になった。
エレナを乗せて飛ばす予定だった飛行船
エレナの遺体は、病理学者や医師によって検査された。非常に珍しい特異な状態のため、ディーン=ロペス葬儀場で一般公開された。6000人以上の人が、このおぞましい蝋人形のような遺体を見に訪れたという。
この事件は、『キーウェスト・シチズン』や『マイアミ・ヘラルド』など、多くのマスコミの注目を集めた。カールに同情する人が多く、彼のことを恐ろしい遺体泥棒というよりも、恋に狂った常軌を逸した隠遁者と考えた。
さんざん見世物になったあと、エレナの遺体はキーウェスト墓地の墓碑のない墓に戻され、やっと安らかに眠れることになった。
カールは、1944年、フロリダのパスコ郡に引越し、自伝を書いて、ファンタスティック・アドベンチャーというパルプ雑誌に掲載した。晩年は疎遠になっていた妻に支えられ、死の間際にアメリカの市民権を獲得している。ずっとエレナを忘れられなかったカールは、彼女のデスマスクを作り、彼女に似せて等身大の彫刻像を作った。
1952年、カールは亡くなったが、床に倒れているのを発見されたときは死後一ヶ月が経過していた。その彫像の腕に抱きかかえられていたという。アメリカにやってきたひとりの病的な移民にとって、やはり夢は実現したのだ。
Dean-Lopez Funeral Home Key West Ghost Tour(閲覧注意)
via:.atlasobscura・the-line-upなど/ translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
あんな雑な処置でも脳内補正で生前同様に見えていたのだろうか・・・(。´Д⊂)
2. 匿名処理班
アンビリバボーで純愛ラブストーリーとして紹介してたけど実際は…
オエーーーーてやつだったな
3.
4. 匿名処理班
一見狂ったラブロマンスのようだが、秘部に男性のものが入るチューブなどあったりして
彼は変態であった
5.
6. 匿名処理班
アンビリーバボーでは美談だったが、
実際にはいろいろとゲスい男だな。
7. 匿名処理班
治療を行うフリして…てことは
ちゃんとした医師のもとで治療受けてたら
もっと長生きしてたかもしれないってことか?
自分もこれアンビリバボーで知ったけど純愛というより独占欲だな
エレナ可哀想
8. 匿名処理班
家族を捨てて、遺体とはいえ、愛する人の体をいじくって自分の欲求を満たすために利用するっていうのは本当の愛と言えるのかね?
9. 匿名処理班
女性の自分からしたら、単なる変 としか思えない。。。
ってか、エレナは彼をどう思っていたのかによって、受け取り方は大きく異なるよね。
10. 匿名処理班
そもそも妻子を愛せていないんだから、この人はもともと人を愛せる能力がなかったように思える
11.
12. 匿名処理班
10年以上前にアンビリーバボーで似たような話を見たうろ覚えの記憶があるんだけど、これなのかな?てか、これたぶんこれかもしれない。
13. 匿名処理班
こんなの愛じゃない
せめて、恋
一方的すぎ
自分のためだけ
14. 匿名処理班
ワンピースでこんな話あったな あれはゾンビにしてたけど
15. 匿名処理班
仮にエレナが生きていたとしても
逃げ切れなければ結果は同じになったのかもね
16. 匿名処理班
アンビリバボーは美談だったかもしれんけど
その何年も前に放送した世界丸見えでは怪談だったよ
17. 匿名処理班
本当の愛ってこれじゃないと思う
もし女性側の立場なら生前からきもいと
言われてるはずだ
18. 匿名処理班
死体を密かに加工するって、どう弁護してもやっぱり変だと思うがな……
彼が死後しばらくして発見されたということは、晩年面倒を見る人が結局誰もいなかったのだろうか。
19.
20. 匿名処理班
創作物としてなら趣もあるけど現実の出来事だと吐き気を覚える 見世物にせずにさっさと墓に返してあげればよかったのに
21. 匿名処理班
死後の肉体を好き勝手されただけで、彼女の尊厳は何処にもないよなコレ
結局この人の執着の為の行動でしかない
22. 匿名処理班
アンビリーバボーでやったのと
違う奴だと思います。
たしかその時は防腐剤を開発した研究者だったはず
奥さんとはちゃんと結婚しててお金に困ってた主人に
研究費捻出したりとかなりチャンとした関係を
築いていた人達だったはず
これとは違うはず奥さんの写真と記憶が
食い違う
23. 匿名処理班
>治療を行うフリをして
ここが一番ぞっとした
命に関わるような重病人なのに病院勤務だから良い医者紹介したろ!じゃなくて医者のフリして取り入ってやろ!って感覚がヤバい
結局自分>>>(越えられない壁)>>>彼女の命だったんだろうな……
24. 匿名処理班
っつか…
確か、この事件って最初は美談だったけど、遺体にはいわゆる管が装着されてて、しかも「行為」の痕跡が残ってたっつう、おぞましい事件だったって記事を読んだ気がする…(~_~;)
25. 匿名処理班
私も骨まで愛されたい
うらやましい
26. 匿名処理班
いや、これもう別の何かじゃね?
27.
28. 匿名処理班
狂ってしまうまでの歪んだ愛がとっても切ないな。
29. 匿名処理班
※22
アンビリバボーで放送していた記憶があって調べたら2000年11月16日放送という情報を見かけた
全体はでなかったけど顔部分のエレナの画像なんかは放送されていて地上波でみてる
子供心に美談と記憶していてとても信じられないか、そっちが別のものと混同しているのだと思うよ
30. 匿名処理班
本人にもその家族にも了承とらないで死体を勝手に弄くりまわす一方的なネクロフィリアの行為を真実の愛とかトンデモナイ!
ストーカー行為を純愛って言うようなもんだよ!
31. 匿名処理班
不滅の愛を告白したとあるがエレナの返事はどうだったんだろう
告白を受け入れたけれどエレナの家族に反対されたとかなら美談にはなり得る
だが「何言ってんだジジイ」と拒否された結果がこれだったらただの狂人
32. 匿名処理班
※見る限り亡骸にたいしてプラトニックな愛で方ではなかったのか…性欲ってすごいね…
33. 匿名処理班
※22
アンビリバボー放映当時のエレナさんの実際の写真(カールに加工されたご遺体)が
この記事のものと同じでした
また アンビリバボー カール エレナ で検索すれば番組で扱われたと明言してる記事がいくつも見つかります
34. 匿名処理班
今なら精神病と診断されてただろうな
見栄を張って治療してるフリして恩を売ったり、愛した女性の遺体をダッチワイフに加工するのが真実の愛なの?
これを無理矢理美談にするのは無理がある
35.
36. 匿名処理班
愛ではないな。変態ストーカーの心理に近いような気がする……
37. 匿名処理班
これたしかあそこにチューブつけてラブドールにしてたんじゃなかったか?
愛だなんてもんじゃないわな。
38.
39.