海外ETFについて日経新聞に良記事(その2) 「海外ETFは積み立て投資ができるようになりそうだ」とは何をさすのか

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海外ETFについて日経新聞に詳しい記事が掲載されています。詳しい紹介だったので、前回(該当記事)に引き続き、もうすこし深掘りしてみたいと思います。

海外ETF 「使える」ワケ  :日本経済新聞


上記の日経新聞記事のなかで、SBI証券の執行役員が、1~2年以内に海外ETFで積み立て投資ができるようにしたいと表明する場面がありました。

海外ETFは中長期では、積み立て投資ができるようになりそうだ。SBI証券の坂本英文執行役員は「1~2年内に対応できるように検討したい」と語る。
日本経済新聞 2016/08/21 海外ETF 「使える」ワケ より引用)



SBI証券の執行役員がおっしゃるからには、荒唐無稽の話でもないのだろうと思います。では、海外ETFで積み立て投資とは、具体的にいったい何ができるようになるのでしょうか

日経記事には具体的な内容は書かれていません。なので、勝手に予測してみたいと思います。


可能性その1 海外ETFの「るいとう」サービスが始まる


前回のブログ記事で引用した、海外ETF(海外上場のETF)、国内ETF(東証上場のETF)、インデックスファンド(国内公募投信)の機能比較表には、「自動積み立て」という比較項目がありました。

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日本経済新聞 2016/08/21 海外ETF 「使える」ワケ より引用)

国内公募投信だけ「○」が付いていて、海外ETF(海外上場のETF)と国内ETF(東証上場のETF)には「×」が付いています。

これは、指定した投資信託を定期的に自動で買い付けるサービスで、たとえばSBI証券や楽天証券で「投信積立」と呼ばれているサービスです。

日経が自分で書いた記事の中の機能比較表に設けた項目が「自動積み立て」なので、海外ETFの自動積み立てサービスが始まると捉えるのは、まあありえるかもという印象です。

インデックス投資家の間ではあまり知られていないようですが、日本株の個別株には、昔から「るいとう」(株式累積投資)という株式積み立てサービスが存在します。毎月一定の金額で株式を買い続けていく投資サービスです。

これを海外ETFでも適用できるようにするという可能性はあると思います。

ただ、その「るいとう」も、売買手数料が単元株よりもかなり割高であったり、対象銘柄が限られていたりと制限が多く、現在はそんなに盛り上がっている感じでもありません。

コスト意識の高い海外ETF投資家向けのサービスにするのであれば、サービスレベルを一段上げないと利用されないサービスが増えるだけかもしれません。


可能性その2 海外ETFの配当自動再投資サービス(DRIP)が始まる


日経記事のなかで、「海外ETFの欠点」として2つの点がとりあげられています。

欠点(1) 手数料なしで分配金が自動で再投資できないことにより、小口の積み立て投資には向かない
欠点(2) 分配金に二重課税されてしまう

まず、欠点(2)については、前回のブログ記事で指摘させていただいたとおり、国内ETF・インデックスファンドにもあてはまり、海外ETFだけの欠点ではなく、記者さんの間違いだと思われるのでスルーします。

欠点(1) については、そのとおりで、現在の海外ETFは売買手数料が割高のため、分配金の再投資がたとえ手動でもやりづらいです。小額の分配金で同じ海外ETFを買い直そうとすると、いわゆる「手数料負け」になってしまいます。

米国の一部の証券会社では、ETFを含めた個別株を対象にした、「DRIP」(Dividend Re Investment Program)と呼ばれる配当自動再投資制度があります。その名のとおり、配当(ETFの場合は分配金)を自動で再投資できる制度です。手数料負けすることもありません。

インデックス投資ブロガーたちからも渇望されているこのサービスが、SBI証券でも始まるということはあり得ると思います。というか、ぜひよろしくお願いします!

ただ、DRIPサービス開始をもって「海外ETFの積み立て投資ができるようになる」というのも、ちょっと間接的かなとも思います。なぜなら、配当再投資は、べつに積み立てではなく一括投資でも使えるサービスであり、それがなければ積み立て投資ができないというものでもない気がするからです。


可能性その3 海外ETFを使ったラップ口座やロボ・アドバイザーサービスが始まる


海外ETFを素材として、最近流行のラップ口座やロボ・アドバイザーのサービスをSBI証券でも始めるという可能性です。

金額指定で積み立てることができるし、自動的に積み立てることもできるので、「海外ETFで積み立て投資ができるようになる」と言えなくはありません。まあ、ラップ口座やロボ・アドバイザーの投資対象は、海外ETFに限らず、個別株でも投信でもいいわけなので微妙ですが。

既に、楽天証券など競合他社で提供しているサービスでもあり、3つの可能性シナリオのなかでは、個人投資家にとって最もガッカリなシナリオです。「中長期」を見据えたサービスでもなんでもありませんが、実現性だけは高そうです。


期待して待ちます!


以上、SBI証券が語る「海外ETFで積み立て投資」とは、具体的にいったい何ができるようになるのかについて、勝手に3つの可能性を予測してみました。

実際にどれになるのか、複数の合わせ技なのか、あるいはどれでもないのかは現時点ではわかりません。

現在、海外ETFは、ランニングコストは非常に低くて優秀であるものの、投資情報が少ないことに加え、イニシャルコストと手間がかかることから、初心者向けとは言いがたい「玄人向け」サービスになっていると思います。

その海外ETF投資において、個人投資家の利便性が高まるようなサービスが始まることは大歓迎です。期待して続報を待ちたいと思います。

(おわり)


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