挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
花騎士 ~とある団長とモミジの物語~ その1、団長について 作者:crowkie
1/1

お茶の時間

 団長は禿ている。戦っているうちに次第に頭が禿げてしまった。
 フサフサの時期はとてもかっこよかった。現在はただの親父だ。
「団長」
「どうしたモミジ?」
 団長は今、報告書を読んでいる。黒の着物を来てそのテーブルにはリリウッドで採れた緑茶がある。
 段々と趣味が親父くさくなっている。確か、ここにきた時はバナナオーシャンで取れたコーヒーを飲んでいたような気がする。おしゃれを決め、女の子、もちろん花騎士フラワーナイト、を口説いていたのだが、今はそんなことはいっさいしないようだ。
 私に話しかけながら団長が口を大きく開けて欠伸をした。非常に退屈そうだ。
 それがなんでこんなことに(親父臭く)なったんだろう・・・
「いえ、なんでもないです」
「そっか」
 団長は私の行動に対し、特に気にした様子はなかった。
「ところで、新しい勤務先の話は知っているか?」
「いえ、確か、一緒に転勤でしたね。なんでも、ほとんどの男団長が裸足で逃げ出しと噂の場所らしいですが・・・」
「それで俺に白羽の矢が立ったらしいな。別にどんな勤務地でもかまいはしないが、激戦区はいやだな」
「でも、優秀な方々が集まっていると聞いてます。その点はどうなんですかね」
「優秀ねえ」
 団長が嫌そうな表情をした。
「面子が問題なんだろうな」
「そうなんですか?」
「いろいろと問題を起こしている面子らしい。おそらく、掃き溜めのように集められたらしいぜ」
「掃き溜め?」
「まあ、国の上のやつらなんて、優秀な花騎士の子孫がエラそうにしているだけで格別すごいとは思わないがな」
「でも、彼らのおかげで成り立っている部分もありますよね」
「まあ、国民が不満にならない程度には優秀だからな」
「以外ですね。国の制度に不満があるなんて」
「まあ、花騎士なんて率いているとそうおもっちまうもんだぜ」
 団長は大きくため息をついた。
「なるほど、掃き溜めってのは」
 先ほどいった、あまり聞き捨てできない言葉に対して、団長は言葉につまりながら言った。
「俺は女としての本能からすれば、団長の独り占めぐらいは許してやれよとは思うんだがな」
「そんな子がいるんですか?」
「そういう子を集めて団長に対応させていたんだがな」
「うまくいかなかったと・・・」
「そいうこと」
「しかし、そんなところに団長も言ったら・・・」
 私が言おうとした危ないという一言をさえぎる様に団長が返す。
「俺は特別だからな。そういうのは無視できるはず」
 しかし、ここに来た頃の自分を思い出し、少々自信がないためか、言葉そのものには力はなかった。
「団長なら大丈夫だと思いますが・・・」
「そのためにお前も一緒に来てもらおうと思っている」
「それは大変ですね」
 これは私もきっとただではすまない。気苦労が多そうだ。けど、そんな私をじっと団長は見つめ言った。
「俺はお前を信頼している」
 そんな目をして言われたら、ちょっと気がある女の子なら落ちちゃいますよ。
 けど、彼から私に対する重いが届いた気がした。だから、私も答えなければいけない。
「わかりました、団長。私は団長の一番ですから・・・任せてください」
 私はそっと彼に向けて親指を立てた。彼もそれを見て微笑んだ。

 私は一番でなければいけない。それが約束だから・・・
 亡き姉との・・・

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ