こんにちは、みやもです。
今回ぼくは1年以上ぶりに寄稿を依頼しました。
寄稿していただいた方は、児童養護施設で育ったうさぎさん。
うさぎさんとは、共通の知人を介して知り合いました。
先日、渋谷のカフェで初めて会って2時間ほど話したのですがうさぎさんの半生が本当に衝撃でした。
そして、ぼくは気づけば、「今までの人生をそのままブログに書いて世の中に発信しませんか?」とお願いしていたのです。
今回の寄稿は、ぼくはあえて一切の編集をせずにうさぎさんの文章をそのままにして投稿しています。
ぜひ、一人でも多くの人々に読んでいただきたいです。
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こんにちは。うさぎです。
児童養護施設って聞いたことありますか?
ものすごく簡潔にいうと、家族の代わりに子供を育てるところです。
私は、2歳くらいから東京都の児童養護施設で生活をしていました。そして、そこでずっと周りから否定され続けて生きてきました。
この世界で生きていくことは、難しすぎると思っていたんですよね。私。
幼い時から、ルールだから従うとかがとにかくできなくて。なんで?ってすぐに大人に聞き返してたんです。
すると、「ルールは守るものだから。」って返ってきて。
最後には、「そういうものなの!」って怒られて。
納得いかないことに従うのがなんでかすごく嫌だったんです。まあ、怒られるのは怖いから結局は従うんですけど。
「私の考え方がおかしいのかな」とは、うすうす感じ始めたんです。
けど、根本的な考え方を正すってなかなか難しかったんですよね。
何も変われないまま小学生低学年になった頃、新しく入ってきた女性職員に目をつけられてしまって。虐待を受けるようになりました。
他の大人がいないところに何かしらの理由で呼び出されては、お腹を蹴られて髪を引っ張られました。多い時は週に5回くらい。
私、言葉遣いが悪くて、なおかつ生意気なもんだから、イライラして仕方がなかったんだと思います。
最初、暴力振るわれたらキレてやり返してたんですよ。
そしたら、私がやり返し始めたくらいにその人叫び始めるんです。「誰か呼んできて! がうさぎが暴れてるから!」って。
駆けつけた職員の人たちが見るのって、私がその人に蹴りかかってるところなんです。で、その人が言うんですよ。 「うさぎに注意をしていたらいきなり暴れだして、、」って。
誰一人、私の言っていることを信じる人はいなかったですね。どんなに私が泣こうが叫ぼうが。
お腹を蹴られたりとか髪を引っ張られたりとかって、その時めちゃめちゃ苦しかったり痛かったりするだけで傷跡にならなかったんですよ。
だから余計、誰も信じなかったです。
「その人に謝りなさい。」ってみんなに言われました。
先に暴力を振るわれたんだというと、「止める時に足が当たっちゃったのかもしれないです。ごめんね、 。」って。「ほら、この人は謝ったんだからお前も謝れ。」って。
毎回そうなるんです。
「おまえばかじゃん?言うこと聞いてりゃいいだけでしょ。」って友達はみんな言うんです。
「大人は、そんなに難しいことをやれとは言ってない、あなただけじゃない。」って。
でも、私には、難しかったんです。
なんで疑問も抱かずにそれに従えるのかが理解できなくて。
自分がおかしいのは分かってるけど、考え方がどうしても直せなかったんです。
でも、それって私の周りにいる人はみんな当たり前に出来ていたんですよ。
疑問とか以前に、「え、だってそういうものでしょ?」って。
当時、私にとって施設の中から見えるものが全てで。
それ以外の世界があるなんて知らなかったんです。
だからそこにいればいるほど、自分がいかに出来損ないかって思えてきて。
ただただ、苦しかったんです。逃げたくて、死のうとする度に何倍もの暴力が返ってきて。押さえつけられて、怒鳴られて。
でも、施設の他に帰る場所なんてどこにもなくて。
子供の気持ちなんて関係なく、周囲にいかに迷惑がかかるか、自分の立場、世間体。
「あなたはいさせてもらってるんだから。それが社会だから。」と、何度も何度も言われました。
次第に、「世の中はそういうものなんだ。仕方が無い。いさせてもらってるんだから。」と、何も疑問を抱かなくなってきました。
そんな自分が「とても安定した、良くなった。」と思っていたんです。
しかし、そうではなかったです。
ほぼ毎日、気がついたら真っ暗な部屋の隅で体育座りしているんです。ふと時計を見ると夜になっていて。部屋に帰ってきてからの4時間くらいが全く記憶がなくて。腕からは血がダラダラ流れていて。涙がボロボロ出ているんです。
ほんとに。何一つ悩みとかもなかったんですよ。
少し嫌なことがあっても、「ま、それがこの世界だもんね。仕方ない。」って思えていたから。
でもまた気がついたら腕から血が流れているんです。
ある時、仲のいい先輩に髪の毛を結んでもらってたんですよ。そしたら、「お前髪やばいよ!」って言われて。
写真を撮ってもらったら髪の毛の3分の2が白髪になっていたんです。
若白髪なんて可愛いもんじゃなくて、なんで17でこの量の白髪がでるのかって思いましたよ。
地毛の茶髪は好きだったのに染めなきゃいけなくなるし。
たぶん、思考回路が壊れてしまっていたんだと思います。
もう、自分が気持ち悪すぎて。怖くて。
いつか、記憶がないうちに人殺してるんじゃないかとか、ほんとに心配になりました。
組織とかって、どうしても強いんですよね。
いじめ、虐待、ハラスメント等々、簡単に
隠せちゃうんです。そういうのが明らかになって取り上げられる時って、大抵人が死んだ後だと私は思っています。
それこそ仕方が無いことなのかもしれないですが、私はそれがとても悲しいです。
証拠がなければ事態が動かせない。命は大事だと言っておきながら、それが問題として取り上げられるのは命が失われた後。
生きたくても生きれないのって、辛いと思います。
でも、死にたくても死ねないのも、とても辛いです。
私は死にたくても死ねない環境に陥った時、死にたい以外考えられなくなりました。
お願いだから殺してくださいと、私を取り押さえている警察の方に何度も何度も言い続けました。
私、人間運がとてつもなく良いんです。
これだけはほんと、世界で一番良いんじゃないかと思うくらい、人に恵まれています。
恵まれているからこそ、人の繋がりのありがたみや、あたたかさ、凄さを何度も体験してきました。おかげで今、前を向けています。
私がどうにかしてあげるとか、何でも頼ってとかではなく、ただ声をかけてくれるだけで私はとても救われました。
心配とか思ってることとかを口に出さなくても、いつも通り接してくれる優しさが、とても救いになりました。
他の自殺願望がある人や、現実から逃げたい人がどうなのかはわかりません。
ただそのほんの少しの優しさで救われる人もいます。
今、あなたがここまで長い文章を読んでくださったことも、ずっと意見を否定され、聞いてすらもらえなかった私からしたらとても大きな優しさです。あなたのような優しさの気持ちが、巡り巡ってひとりで抱え込んでいる人に届くことを心より願います。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。 うさぎでした。
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いかがでしたでしょうか?
ぼくはこの話をうさぎさんに直に聞いた時に、30歳にもなって恥ずかしい話ですが、おもわず涙が流れました。
たくさんの大人に否定され続けても「私は人間運がいいんです。」と答えられるうさぎさんに凛々しさを感じました。
ぼくがうさぎさんのような人生を送ったらどうなってたのかとおもうと想像するだけでゾッとします。
社会にはうさぎさんのようにたくさんの困難と向き合いながら、自分の無力さを感じながらも生きようとしている人がいます。
そんな人たちにできること、それはシンプルに「声をかけること」。
そこから始まるのだとおもいます。
この記事を読んだあなたにも何かを感じてもらえると幸いです。
それでは!
わっしょい!