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人間魚雷「回天」…少年兵の体験描く 徳島の中学生が映画製作
再現ドラマ
反田さんはこうした佐藤さんの体験を丹念に追い、生徒ら約30人が出演する43分の再現ドラマに仕立てた。5年前から人権教育の一環として映画製作を取り入れており、今回は回天の製造に従事していた伯父の手記に「搭乗員はどんな気持ちで乗っていたのか」との言葉を見つけたのがきっかけになった。
ナレーションを担当した佐藤さんは「出撃前に母親と面会する場面に、戦争の真実を感じて」と訴える。特攻に行くことを漏らさないように努めるも母親は感づき、沈黙が流れる。「親は子が死にゆくつらさを表現できず、子は本当のことを話せない。戦争は親子にこんな別れ方を強いる」
母親役を演じた3年の高麗望海さん(15)は「『死んでほしくない』という当たり前の思いを口に出せない苦しさを感じた。同年代がどんな気持ちで戦争を生きたのか考えさせられた」と振り返る。作品は9月、同中の文化祭で披露される。