生理的に無理じゃなければ結婚は“始めて”みるのが吉?
—— Instagramでフォロワー6万人を超えている愛猫ダニョの『ダニョ カワイイ #DANYO CAWAII』を出された鈴木えみさんに、「家族」と「仕事」についてお話を伺えればと思います。
鈴木えみ(以下、鈴木) はい。よろしくお願いします。
—— 現在の家族構成を伺ってもよいですか。
鈴木 夫、もうすぐ3歳になる娘。後、ダニョを含めて猫2匹、犬2匹ですね。
—— おお。たくさん飼われているのですね。
旦那さんとは、「付き合って2週間でプロポーズされ、3ヶ月に入籍」のいわゆるスピード婚と聞きました。他のインタビューでは「直感を信じた」とあったんですが、よく早々に決断できましたね。
鈴木 よく言わるんですけど、3ヶ月という短い期間ながら、自分をさらけ出して、受け止めてくれたんですよね。それだけで十分だったといえばそうなんです。
—— 普通はなかなかそんな風に決断できない気がします。後になってチャンスを逃したと後悔する人も多いと思うんですけど、結婚の決断に関してアドバイスするとすれば何かありますか?
鈴木 うーん、人それぞれですから、あまり偉そうなことは言えないんですが……。
—— cakesでも、「この人と結婚してもいいのか?」なんて読み物は多いんです。もしも友人に相談されたらどんな風に答えますか?
鈴木 そうですね。すごい極論ですけど、生理的に無理じゃなければ結婚してみたほうがいいんじゃないかって答えるかもしれないですね。というのも、わたしは自分のことは自分でなんとかできるけど、自分以外のことは、思い通りにはいかないって思ってるんです。
—— いい意味で期待しすぎない、という感じでしょうか。
鈴木 そうです。家族でもきっと嫌いな時だってあるじゃないですか。夫婦もそれと同じだと思うんです。なので、誰と結婚したって、お互いにとって完璧ってわけにはいかないし、何年付き合って結婚したって、お互いに変化もしていくものだから、新たな一面って絶対にでてくる。それはお互い様かなって。
—— なるほど。
鈴木 なので、逆に勢いにのっかっちゃって、後から調整していったほうが長続きもするし、いいと思いますけどね。調整して調整してゴールインだと、あとは下がっていく一方なのかなってなっちゃいませんか? 結婚をスタートにすれば長いように感じるというか。
—— とても実践的な考え方ですね。
鈴木 うちの場合は結婚してすぐ子供ができて、「ふたりきりの恋愛」がいま一回お休みになってるから、さらにここからが楽しみなんですよ。子供がこのあと独立して自分の人生を歩みだしてから、また二人の時間が始まるわけじゃないですか。その楽しみもありますね。
—— 旦那さんの年齢は近いんですか?
鈴木 一つ上です。
—— こんな家族にしたいというような、理想はありますか。
鈴木 「チーム感」を大事にしています。基本3人で一緒に行動するようにしてます。朝ごはん夜ごはんは必ず全員で食べる、とか。休みの日は絶対家族でお出かけ、とか。やぶったら罰金とかそういうことはしてないんですけど(笑)。それが暗黙のルールになってます。
生まれ育ちは上海、両親との同居はわずか3年。
—— よければすこし鈴木さんが育った家庭環境についても伺ってもいいですか。
鈴木 はい。わたしは上海で生まれて、幼少期も上海で育ちました。小学校に入る頃までは両親と一緒に住んでたみたいなんですけど、あまり記憶はなくて。途中両親が仕事の都合で日本に戻って、わたしはしばらく上海の祖母の元で育てられていたんです。
その後、中学校に入るとき日本に戻って、また一緒に暮らし始めました。自分がはっきり記憶している期間でいうと、家族3人で住んでたのって3年くらいしかないんですよね。そこからわたしはモデルの仕事を始めて東京に出てきてしまったので。
—— 家庭環境はそれぞれみな違うものですけど、流石にその環境はさびしくはなかったですか?
鈴木 自分にとってはそれが普通だったので、特にさびしいとか自分がすごい不幸だとかいう意識はなかったです。おばあちゃんにも本当に愛情を注いでもらっていたし、年の近い従兄弟だったりともよく遊んでもらったり、常にまわりに人がいたので。
—— フォトブック『13』では、「女らしさとは、媚ではなく、強さだ」「Toughnessの裏側にはいつだってLonelyが共存している」と書かれていたのが印象的でした。簡単に結びつけ過ぎかもしれませんが、そういった意識が家庭環境から培われたところはありますか?
鈴木 うーん、そうかもしれないですね。今思えば、その環境があって今の自分があるので、強い依存をしないでいられたこともよかったのかなと自分なりに受け入れてはいます。
—— そうなると、ご自身もそんな環境だったから、自分の子だってきっと大丈夫、と思って、放っておくという考えもありそうですが、なぜなるべく一緒にいてあげたいと思えるんでしょうか?
鈴木 わたしの場合はそれでも祖母や親戚いつも周りにいたんです。でも今は、東京で暮らしてて、主人の実家も遠いので親戚がまわりに住んでないんですよ。なのでなるべく一緒に居てあげたいし、幼馴染もできてほしい。
だから、子供の歳が近い友人と家族ぐるみでの付き合いをしたり、人にはたくさん会わせるようにしています。それでも子どもとはいずれ離れるものだから、やってあげられる間にできるだけのことはしたいな、と。
—— なんというか、当たり前なんですけど、大人ですね(笑)。
鈴木 親の自己満なんですけどね。愛情いっぱいに育てたほうが、グレても戻ってくるかなっていうのはあります(笑)。
—— 愛情をもって育てることを、親の自己満足だとは、なかなか自分では言えない気がします。
鈴木 やっぱりそれでも子育ても思い通りにいかないとは思ってるので。たとえば留学行ってほしいな、とかは思ってるんですけど実際いくかどうかわからないし、決めるのは自分ですから。それにわたしも結構自由にやらせてもらってたので。きっと同じ感じというか、もしかしたら娘は自分よりももっと我が強いんじゃないかなっていうぐらいの覚悟はしてます(笑)。
—— とても冷静ですけど、しっかり「溺愛」されている感じですね。
鈴木 はい(笑)!
ペットを飼うきっかけは「一人暮らし」
—— お話伺ったりしていると、頼もしいというか、すごくしっかりされた方だなという印象なんですが、今まで無性にさびしくなるような時はなかったんですか?
鈴木 あー、一人暮らしを始めたら、さびしくなってペットを飼い始めたんですよね。モデルを始めて、16ぐらいのときに上京して、最初は母が一緒に住んでくれてたんですけど、その後、一人暮らしになって。
—— なるほど。ペットはそこで大事なパートナーになるんですね。最初は猫ですか?
鈴木 はい。「アビシニョン」という種類の猫でした。
—— 「ダニョくん」はいつごろ家族に?
鈴木 ダニョはいま4歳なので、2012年からですね。
『ダニョ カワイイ』より
—— 写真集まで出されて、「息子」がついにお仕事デビューという心境ですか、ダニョくん。
鈴木 そうですねえ。でも、ダニョはもともと撮影現場で出会ったので。
—— そうかプロとして出会ったんですね(笑)。
鈴木 あはは、そうなんですよ。そこから一目惚れして無理言ってひきとらせてもらって。インスタでみんなにかわいがられてるので、初仕事という意識でもないです。
『ダニョ カワイイ』より
—— ペットって一人暮らしのときと家庭を築いたときとで存在変わりました?
鈴木 犬、犬、猫、猫の多頭飼いなので、四匹でも仲良くよろしくね、って感じですね。
—— 「チーム感」ですね(笑)。次回は鈴木さんの13歳でモデルの道に入られてから今までのお仕事についてお話伺えればと思います。
次回「かわいいは正義だけど、立派な人間って……なんだろう?」へつづく
構成:中島洋一 撮影:吉田和生