こんにちは、きよねこです。
2016年7月26日 元職員の植松容疑者(26歳)によって障害者施設「津久井やまゆり園」で19人殺害、26人重軽傷が行われた悲惨な事件について警備上どうだったのか、同じようなことが起きないために警備はどうするべきだったか考えてみました。
- この施設の障害者の障害はどれくらいか
- 何人被害にあったのか
- 施設には誰がいたのか
- 職員は何をしていたのか
- 職員は被害にあったのか
- 警備員はいたのか
- 警備員は気づかなかったのか
- 警備員は寝ていて良いのか?サボりか?
- どうやって侵入したのか
- 武器は何を持っていたのか
- どうやって犯人逮捕になったのか
- 入所者が救った
- どうすれば良かったか
- 最後に
この施設の障害者の障害はどれくらいか
障害の支援の必要度を示す6段階のうち重い方の4~6に該当
何人被害にあったのか
19人が死亡し、26人負傷。
50分間で45人襲った。
施設には誰がいたのか
夜勤の職員8人と警備員1人の9人いた。
職員は何をしていたのか
職員8人のうち5人は植松容疑者によって結束バンドで拘束された。
残りの3人は分からない。
施設が広いので担当する場所が違っていて気付かなかったのか・・・。不明。
職員は被害にあったのか
殴られた職員はいたが刃物は使われていない。
軽傷。たいしたことはない。
ただし、職員の人は植松容疑者に連れて行かれて、重度の障害があるのかどうか聞いた上で目の前で首を刺して殺害していった。
途中で職員はショックのあまりに動けなくなった。その後、心の病気になっていると聞く。
警備員はいたのか
警備員はいた。
一名。
69歳男性。
警備員は気づかなかったのか
仮眠時間で寝ていた。
警備室は正門にあって、植松容疑者は裏側から侵入した。
津久井やまゆり園は体育館、プールもあるような敷地は約3万平方メートルと広い施設であったので音で気づくことはない。
カメラがついていたとしても仮眠していたので気づくことはない。
警備員は寝ていて良いのか?サボりか?
警備員は仮眠して良いことになっていた時間なのでサボりではない。
通常、一人勤務で泊まりの場合は仮眠時間が契約で決められている。
寝ていたことは警備員に問題はない。
どうやって侵入したのか
ハンマーで窓を割った。
武器は何を持っていたのか
包丁とナイフで刃物3本、結束バンド
どうやって犯人逮捕になったのか
職員の一人を拘束しようとして失敗。
職員は逃げて部屋に閉じこもる
植松容疑者は通報されると思って逃走。
そして自首した。
しかし、実際に通報したのは別の職員であった。
入所者が救った
拘束されている職員を入所者がハサミで切って、救う。
救われた職員が警察に通報した。
午前三時前。
どうすれば良かったか
警備員は起きるべきだったか
警備員は仮眠時間中に深夜2時40分頃、大きな音がしたときに一瞬、目がさめたが、再び寝た。
その物音は植松容疑者が犯行後、施設から出たときのドアの音だそうだ。
ただ警備室から現場の距離はかなりあったのに音が聞こえたというのは、よほど大きな音だったのだろう。
このときに現地に行けば被害にあった人たちの適切な処置と救急車を呼べば死傷者を減らせた可能性はある。
おそらく大きな物音がするのは初めてのことではないのだろう。
住んでいる人がいるなら物音ぐらいはするのは当然のことだ。
過去にも障害者が物音くらい出すことはあったかもしれない。
そのことと仮眠時間は労働外契約で給与は発生していないことも考慮したら、起きて物音のしたところまで行く警備員は少ないかもしれない。
これがビル施設のような人がいない施設なら物音がしたら疑問に思うだろうが、住んでいるような物件なら思わないであろう。
第三者は批判するだろうが、いざこの警備員の立場になると、このことに関しては責める気にはなれない。
窓の防犯システム
窓が割られたときに防犯として警報が鳴るシステムを取り入れておけば良かった。
ただし全ての窓に設置するのはお金がかかる。
一階のみとしてもお金はかかるが、やらないよりはやったほうがいい。
私は一階に窓をつけること自体が防犯の観点からしたら問題があると思う。
このように簡単に割って入ることができるからだ。
人感センサー設置不足
「人感センサー」は居住者用のところには設置していなかった。
ここでいう人感センサーは光がつくというものではなく、人を感知したら防犯として警報が鳴るようなものであろう。
障害者施設の設備がわからないのだが、常に人が動いているスペースになら設置しても意味がない。
それとも障害が重いレベルの人たちが入居していることを考えると我々のように体が動くわけもない。
自由にドアから出て棟の中を動き回るようなことは出来なかったのかもしれない。
もしそうなら棟の中で人感センサーを設置するのは効果がある。
特にここのような広い施設内で警備員が一人しかいないことを考えたら費用対効果は高い。
防犯カメラを全てにつけるにはお金がかかる、そして全てのカメラを監視するのも大変、見逃す可能性がある。
そして何よりも今回のように仮眠時間があるとカメラを見ることはできないが、人感センサーがあれば反応して警報が鳴り、警備室に音が届く。
情報の共有が出来ていない
植松容疑者が辞めた直後、施設側は危険かもしれないと警戒していたと話していた。
しかし、このことを警備員には伝わっていなかった。
警備員は聞いていないと言っている。
施設側と警備側の情報の伝達が出来ていなかった。
こういうことは珍しくなく、施設は施設のみで情報を終えて、伝えないことは多くある。
手紙の時点で何かできたはず
2月。事件の五カ月前に衆議院議長公邸の警備室に10枚の手紙を渡した。
内容は、
・障害者を殺害
・職員の少ない夜間に行う。
・職員は結束バンドで縛る。
・二つの施設を狙っている。
ここで手紙には具体的に施設名も書いています。
相模原市は危険な可能性があるということで植松容疑者を強制的に入院させました。
その後、12日後に退院。
この時点で手紙の内容はどう考えても脅迫罪にはなる。
ネットで殺害予告しただけで逮捕する事件もあったくらいなのだから、今回のような施設名まで出した上で殺害すると書いた手紙なら逮捕は可能だったはずだ。
対応が甘かった。
鍵を奪われた
植松容疑者が窓を割って入ったときに職員の1人が異変に気付いて行った。
女性 二十代半ば。
しかし殴られ鍵を奪われてしまった。
ここの施設は棟ごとで鍵がついているので、もし鍵を奪われていなかったら被害が抑えれた可能性がある。
物音に気付いてすぐに行ったのは良いが、こういう場合のセオリーとして女性が一人で行くべきではない。
まずは警備室に連絡して警備員が行く。
それか仮眠時間と職員が知っていて警備員のところに連絡しなかったのだとしたら、他の男性職員に連絡して、一緒に現場に行くべきであった。
外部通報を取り入れていない
外部の通報システムを取り入れていなかった。
異常があったときに外部の警備会社に自動で連絡が行くものだ。
例えばセコム、アルソック、セントラル警備などが有名だろう。
流れとしては、
外から侵入があった場合に警報となって警備室と外部の提携している警備会社に通報が行く。
そこから外部の警備会社は現場に連絡するか、場合によっては連絡しないで現場に直行する。
場所によるので明確ではないが、遅くても30分以内には到着している。
連絡をもらって外部から現場に来る警備員には50代、60代のような高齢の警備員はいないことが多い。
20~40代くらいの若い警備員が来る。
つまり、ある程度は動ける警備員だ。
ここで当務していたような69歳のような高齢者警備員とは違うので迅速な対応が出来た可能性がある。
ただし警備の役割としては誤解が多いが犯人の逮捕ではなく、クライアントの安全の確保が優先。その次に犯人確保ではなく自身の安全確保である。
犯行時間が極めて短いこともあってギリギリにはなってしまうかもしれないが、それでも植松容疑者は事件を終えるまでに50分以上はかかっている。
外部の警備員が来るのに遅くとも30分くらいだと考えると被害を抑えることは出来た可能性が高い。
事実、植松容疑者は職員の一人が部屋に逃げ籠っただけで通報を恐れて現場から逃走したのだ。
この外部通報システムをやまゆり園は取り入れていなかった。
植松容疑者を恐れてカメラを増やしたと言っていたが、カメラを増やすよりも外部への通報システムを取り入れるべきであった。
職員は何か出来たのか・・。
結論を言うと難しい。
刃物を持った二十代の動ける男性相手に女性やその他の職員が抑えることまで要求するのは無理がある。
ただ、可能性のひとつとしては、この事件に限っては職員が対応するしかなかった。
8人の職員のうち5人は拘束されている。
もう一人は拘束されそうになって逃げている。
残りの2人は鉢合わせしなかったのだろう。
警備員は契約上、仮眠の時間帯だ。
そして警備室は居住者スペースとは違うので現場は遠く、気付く可能性は低い。
居住者は障がい者レベルの高い人たちばかりが中心。
中には軽度もいただろうが、それでも障がい者であることには変わりない。
この状況を考えると、現場で植松容疑者に会った職員しか対応は出来なかったと思う。
拘束された職員5人が同時で会ったわけではないので、仕方ないが・・・この上で出来るとしたら・・の話をしよう。
まず植松容疑者に会った状況で出来たことは何か。。
1、すでに目の前にいたら、椅子やカバンを持って距離を置き、大声でまわりに知らせる。
まわりとは近隣は遠いので無理だ、寝ている居住者や他の職員に知らせるためだ。
それと同時に携帯のようなものを持つことが出来るなら警察と他の職員に連絡も良い。
2、会ったとしても距離がある場合または遠くから植松容疑者の様子を見ることができたら、相手に気付かれた、気付かれていないとしても走って逃げる。
その上で警察に連絡。
簡単に言うと、逃げる!まわりの職員と居住者に知らせる!警察に連絡!
この三つだ。
居住者全員に知らせる方法としては警備室や管理室には火災が発生したときのために全館に放送できる設備があるはずだ。
それを使うといいだろう。
基本的には漫画とは違って、戦うという選択肢は無しだ。
逃げる、警察に連絡、全館放送。
特に警察に連絡と全館放送は優先すべき。
戦って勝てるかどうかわからないのだ。
負けてしまえば、警察に連絡も出来ない、全館放送も出来ない。
どうしても戦うとしたら警察に連絡した上で救助が来る間にも、犯人が殺害をし続けているような状況だけだ。
警察に通報したと知らせても逃げることなく、警察が来るまでの10~15分の間、殺害を続ける。そんな状況なら戦って少しでも時間を稼ぐのは良いかもしれない。
戦うとしたら椅子を持って相手との距離、刃物対策のクッション代わりにするか、セロハンテープ、ボールペン、ケース、なんでもいいから投げるなどか、、、どちらにしても、そのときたまたまその場所に椅子などがあればいいが、廊下だと何もないだろう。
かなり厳しいとは思う。
時間稼ぎで戦うと決めたとしても何かは道具は持っていってほしい。
警備員を変えるのも良い。
今回の警備員は契約上で決められた時間で仮眠時間を取っていたので罪はない。
法的にも契約的にもそうだ。
もし仮眠時間が気になるなら、警備員を二人にすべきだ。
そもそも本来は一人警備ではやれることはたかがしれているのだ。
こういう状況や火災のような状況であっても、一人しかいないのでは対応は難しい。
最低、泊まりの警備員は二人であるべきだというのが持論だ。
もしお金がなくても無理だという場合は、せめてもっと動けそうな警備員に変えた方がいい。
これが仮眠時間じゃなかったとしても、69歳の警備員に何か出来たのかは疑問だ。
異変に気付いて警察に連絡は出来たかもしれないが、もし巡回中に目の前で遭遇しても、職員たちと同じように拘束されるのがオチであろう。
69歳では戦うことも、それどころか逃げるのも無理だ。
おそらく警備歴が長いというよりは定年退職をして仕事がないから警備員をやっているという年齢だと思う。
40代くらいのベテランの警備員にするか、経験は浅くても若くて動ける警備員にするか、変えることは出来たはずだ。
または警備歴は浅いが元警察官の年配者なら50代、60代でもいいだろう。
警備員には元警察官もいる。
大抵は指導係などで現場以外のが多い気がするが、それでも現場にも元警察官で定年退職して警備員をやっている人はいる。
警備会社とやまゆり園の関係だと客は施設側なのだから警備員の変更は出来た。
一人警備である以上は仮眠時間であることには変わりないのだが、今後の対応としては少しは違うかもしれないというところだ。
何度も言うが個人的にはベストは二人警備であるべきだと思っている。
一人警備だと巡回中はカメラを監視することが出来ない。
この施設は巨大だから時間もかかるだろう。その間はノーマークになってしまうのだ。
むしろそれなら巡回しないで警備室でずっとカメラを監視していた方がまだ警備になっているだろう。
職員に武器を持たせる
夜間の職員は担当する棟だと見回りもあったかもしれない。
仮になかったとしても今回のように植松容疑者は殺すと手紙を出していたことは施設側は把握していただろうし、危険だと認識していたのだから、道具は持参させるべきだった。
道具は大きな音が出るもの、マイクでもブザーでもいい。
それと武器だが、これは過剰正当防衛という声もあるだろうが、はっきり言うが相手がナイフ持って殺しをやっている、または殺そうとしている状況で過剰も何もない、やるしかないだろう。
防刃ベスト、警棒、スプレー、盾などが考えられる。
ちなみに私の欲しいものリストにも存在している。
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ここは日本なので銃はよほど努力と危険な橋を渡らないと犯人も手に入れることはできないだろう。で刃物対策だけでいい。
最後に
長々と書いてしまったが、私がやまゆり園殺人事件において防犯視点で思ったことだ。
防犯というのは何も起きないとお金だけかかってしまうものだ。
無意味にも思えてしまうかもしれない。
しかし、今回のような事件はどこでも起きる可能性はあるのだ。
植松容疑者が別の障がい者施設で勤務していたら、標的はそこだったかもしれない。
もしかしたら障がい者施設じゃなかったとしても他のところでも同じようなことが起きた可能性はある。
たとえばパチンコ屋さんで勤務していて、「朝からずっとギャンブルばかりしてるような、こんな連中に生きている資格はない」と危険な思想になって行動していたかもしれない。
ありえなくもないだろう。
防犯というのは備えであって、起きてしまってからでは遅いのだ。
起きる前に普段から備えておくこと。
それはここで書いたようなシステムを取り入れる、職員に道具を持たせる、外部から侵入があった場合のマニュアルや練習、火事が起きたときの練習、救命、様々だ。
こうして普段からの稽古、鍛えることで、実際の場で影響する。
普段、何もしない者がいざその場面になっても対応は出来ない。
もちろん、普段、訓練していても本番は訓練通りなわけがないので想定以外のことが起きてしまうだろう。
それでも普段から何も想定しないで過ごすよりは良い結果になる可能性は高いはずだ。
組織がこういう訓練をやってくれないとしても、それぞれ個人が自分ならどうするか、こういうことが起きたらどうするか、と想定して考える癖をつけることが始めよう。
あなたの勤務先でナイフ持った相手が来た、どこからくるのか、どうするのか。
火事が起きた、どこで起きるのか。地震が起きた、どれくらいの影響があったか、どうするか。
勤務先だけではなく家で起きることもあるのだ。
我々が個人、個人で想定した上でどうするかと頭の中で考えを巡らせるだけでも、何も考えていないよりは対応はできると思う。
私たちは私や私の大事のものを守るために日々、何もないときから備え、鍛えなけばいけない。