広告
公開日:2016.08.22

今さら聞けない「広告の役割」とは

私たちの身近にある「広告」。意識して周囲を見渡すと、様々な広告に触れていることに気が付きます。広告業界は6兆円市場もあります。それだけの巨大マーケットなのに、身近にある広告の認識が未だに誤解されている側面もあります。今回の記事で少しでも広告に対して適切な理解をして貰えたらと考えています。

接しない日は無いほど、広告とは身近にあるもの

TVやラジオを付ければ一定時間単位で15秒〜30秒のCMが流れ、TVショッピングはそのままコマーシャルですし、新聞には広告枠があり、チラシも挟まっていますし、雑誌を見ると記事広告やイメージ広告。電車に乗っていても車内吊り広告、駅には看板やデジタルサイネージ、街の店舗にも看板やチラシ、家や会社のポストにはチラシやDM、Yahoo!やGoogleで何かを検索するとリスティング広告、FacebookやTwitter、Instagram、ブログなどのSNSにも一定の割合で広告、Yahoo!ニュースやグノシー、スマニューなどのニュースサイトでもインフィードなどのネイティブ広告、各種アプリにも広告がありますし、Amazonや楽天、ゾゾタウンなどのショッピングサイト内にも広告枠があります。

その他にも飛行船や気球での広告、トラックを活用した広告、無料コピー用紙の裏やレシートの裏面にある広告、市役所や郵便局にある無料の封筒に印刷された広告など、私たちが日常生活をするにおいて広告と接しない日は無いと言っても過言ではありません。

そもそも広告の役割りは何なのか?

これだけ日常に溢れ、6兆円もの市場規模がある広告産業の役割りとは一体何なのでしょうか。基本的に広告には3つの役割があります。

①情報伝達・・・適切な商品を、その商品を欲しがるであろう適切なマーケットに、正確に情報を伝える役割が求められています。人がものを買わない理由の1位は、その商品の存在を知らないからと言われています。商品の存在を知らせる役割(情報伝達)を行うことが広告の第1の役割です。

②説明機能・・・消費者のニーズを刺激し、感情に訴えかけて、商品やサービスに興味や好意を抱いてもらう役割もあります。他社製品との違い、新しい需要喚起など、説明が必要な事柄を訴求する役割があります。

③社会的な役割・・・消費者の手に幅広い情報を届け、消費を喚起し、社会を豊かにします。流行を作り、文化を担う側面を持ち合わせています。

アメリカの歴史学者デビット・ポッターは「広告とは、社会的影響の大きさにおいて、学校や教会などのような伝統的な制度に匹敵する。広告はメディアを支配し、流行を作りだす巨大な力を持っているという意味で、社会をコントロールする有数な制度の一つである。」と社会における広告の影響力の大きさを述べています。

TVを代表とするマスメディアに触れるほど、インターネットの世界に触れるほど、一定の広告の影響を受けます。広告は子供の教育にも影響すると言われていて、時間帯やメディア、媒体によってはタバコや娯楽産業、健康食品や美容外科、エステサロン、風俗産業などは広告の規制が行われていたりします。最近では整骨院や整体、カイロプラクティックなども規制の対象になってきました。それほど広告とは社会に対する影響が大きいことを示しています。

広告に携わる人の役割

大なり小なり、社会に影響を与えてしまうのが広告。消費者を騙す広告や、勘違いさせる広告、明らかに粗悪な商品やサービスを広める広告、説明が不十分(事実不告知)な広告などは社会悪でしかありません。そしてその様な広告は、アンダーグラウンドに潜るしか無くなっていて、適切なアプローチ手法では広告を出せなくなってしまいました。その様な業者の影響で真面目にやっている広告主やメディアやベンダー、広告代理店が影響を受けているところもありますが、広告業界として時浄化作用が働いている健全な証拠でもあります。

広告主、広告代理店、制作会社、メディア、ベンダーが一丸となって、消費者に適切な情報を届け、社会を良くする役割を担っていると言う自負が必要な時代です。

市場での適切なマーケティング競争

前述を理解した上で広告を含めたマーケティングの競争が市場では行われています。マーケティングの4Pと言われるように、一般的にマーケティングは4つの領域に分けられます。その4つの領域で、どうやって競合と戦うのかという戦略を決めます。

① 商品(Product)・・・消費者に価値提供を行うため、商品のコンセプトを決め、どのような機能・特徴を持たせるかを考えます。その特徴を的確に分かりやすく伝えるためのネーミングやデザイン、キャッチコピーも重要です。

② 価格(Price)・・・商品の定価をいくらで販売するのか、提供する商品の価値から考えて、他社比較の上でどれくらい価格での販売に設定するかを検討します。

③ 販売促進(Promotion)・・・消費者に商品価値を適切に伝え、欲求を刺激し、購入促進を行います。一般的に広告はこの領域に含まれます。また、情報を発信するPR活動も販売促進の中に含まれます。

④ 流通(Place)・・・どんなところで商品販売行い、どうやって販売するのか等の販売に関する戦略です。インターネットや通販で直接販売する方法、店舗販売、多くの店舗に商品を卸しての販売など、販売流通網を考えます。

これら4つの領域をリサーチし、自社商品の立ち位置を決め、戦略を練ります。これらも広告に携わる人間の役割の一つ。

「マーケティングとは広告である」と考え、販促予算のほとんどを広告に費やす会社がありますが、これは大きな誤りの一つです。広告とは、上記4Pの中にあるようにあくまでマーケティング戦略を構成する要素の一つです。商品の特徴(USP)、価格、流通、競合との差別化といった他の項目との関わりを考え、戦略を立てなければ中々成果が出ません。広告はマーケティング活動全体の大きな役割の一つと考えましょう。

まとめ

広告って、携わっている人間にとっては本当に面白いものです。人間心理と統計数字と向き合っていて、自分達の仕掛けた広告やプロモーションで広告主であるクライアントやそのお客様(消費者)の方が喜んでくれれば、これほどの喜びはありません。もちろん毎日、毎回、失敗の繰り返しの業界でもあります。しかし広告主であるクライアントや関係会社(制作会社、広告代理店、メディア等)と協力して同じ目標に向かって挑戦しながら楽しめる仕事でもあります。

しかし、広告は水物、広告代理店は枠売りで責任を持たない、良いメディアや代理店が無い、出稿基準が難しい、広告費は経費だから出来る限り抑えたい(削りたい)、制作費も含めて安く済ませたい、広告代理店や印刷会社、制作会社は下請けだから粗末に扱っても良いなど、間違った認識をしている人も多くいます。※一部では事実ですが、広告業界全体を表す表現としては正しくありません。

媒体(メディア)も、ベンダーも、広告主も、広告代理店も、制作会社も、印刷会社も真面目に消費者のことを考えていたり、広告のことを考えていたりする会社も多いです。

きちんとした情報や認識が市場に伝わり、業界がより良くなればと思っています。

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執筆者:藤 勝行 (http://xlab.co.jp)

4年間経営した会社を倒産後、再度起業したインターネット広告代理店(エックスラボ社)を3期目で年商約10億円グループにまで成長させる。集客をしたい中小企業の経営者や大手企業の担当者、同業他社までも参加するセミナーを開催する起業家。広告マン兼マーケッター。

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