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前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

韓国はいつまで竹島を政治的パフォーマンスに使うのか

武藤正敏 [前・在韓国特命全権大使]
【第9回】 2016年8月22日
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8月15日にヘリで竹島に上陸し、領有権を主張した韓国国会の超党派議員団 Photo:AP/Aflo 

「光復節」に合わせて
竹島に上陸した韓国国会議員団

 8月15日、韓国の光復節(韓国の植民地からの解放記念日)に合わせ、韓国与党セヌリ党の羅卿〓(ナギョヌォン、〓は王偏に爰)前外交統一委員長を団長とする10名の韓国国会超党派議員団が竹島に上陸し、同島の領有権を主張した。光復節は韓国にとって特別な日であり、日本に植民地にされたことを想起する日でもあり、竹島問題に関連する行動がとられやすい日である。

 韓国メディアが伝えたところによると、議員団は上陸目的について、「日本が領有権を主張する中、われわれの領土を守る意思を国民に伝え、愛国心を鼓舞するため」と述べている由である。

 他方で朴槿恵大統領は同日の演説で、「韓日関係も歴史を直視する中で、未来志向の関係を新たに作っていかなければならない」と強調し、慰安婦問題について言及を避けている。13年、14年の光復節の演説では日本に歴史問題での対応を迫ることに主眼を置いていた。昨年は日韓関係改善に重点を置きながら、対日関係にも一定の分量を割いて述べている。今年の光復節演説は、日韓関係については一言触れただけで、日韓関係を改善しようとする意向を明確にした。今回の議員団の行動はこうした中で行われた。

 今回の議員団の行動に対して、地元・島根県の人々は「韓国信用ならぬ」として怒りを表明し、こうした不法行為が定着しないかと、産経新聞は懸念を表明している。それはまた、慰安婦合意に基づき韓国側が設立する慰安婦を支援するための財団へ日本政府が10億円の拠出に合意し、その手続きを進める中で行われたものであり、日本人の間には韓国不信が強まっている。

 日本として、日韓関係を進める韓国政府とこれを妨害しようとする議員団の行動をどう理解すればいいのか。竹島と慰安婦合意をどう位置づけて考えるべきかとの疑念も芽生えている。こうした疑問に対し、私なりの考えを述べたい。

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武藤正敏 [前・在韓国特命全権大使]

むとう・まさとし 1948年生まれ、1972年横浜国立大学経済学部卒業。同年、外務省入省。在ホノルル総領事(2002年)、在クウェート特命全権大使(07年)を経て10年より在大韓民国特命全権大使。12年に退任。著書に「日韓対立の真相」、「韓国の大誤算」(いずれも悟空出版)。


前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

冷え込んだままの日韓関係。だが両国の国民は、互いの実像をよく知らないまま、悪感情を募らせているのが実態だ。今後どのような関係を築くにせよ、重要なのは冷静で客観的な視点である。韓国をよく知る筆者が、外交から政治、経済、社会まで、その内側を考察する。

「前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」」

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