ポケモンGOの日本での配信が始まった7月22日。大手ハンバーガーチェーン「マクドナルド」の全店が、ゲームに必要なアイテムを入手できる「ポケストップ」または、キャラクター同士が対戦できる「ジム」になった。
マクドナルドの店の前には、ポケモンGOで遊ぶユーザーが見られ、レジに並ぶ人が明らかに増えている店もあった。
こうした集客効果について、日本マクドナルドは具体的な数値などは明らかにしていない。だが、7月の既存店の売上高は、前年同月比で26.6%増、客数については9.8%も増えた。2014年夏以降の業績悪化から回復基調にあることを差し引いても、大きなプラスのインパクトをもたらしたといえるだろう。
調査会社マクロミルが8月4~5日にかけてインターネットで、ポケモンGOユーザーを対象にした調査によると、回答した312人のうち、15.7%の人が、マクドナルドでフードやドリンクを購入していた。
日本マクドナルドの唐澤俊輔ナショナルマーケティング部長は、「過去にない新しいマーケティング活動なので、その効果の判断は難しい」としながらも、「SNSなどで『久しぶりにマックに行った』といった声が多数届いており、集客につながったとの実感はある」と相応の手ごたえがあったとの見方を示す。
外食業界に詳しい、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「店に行ったときの肌感覚や報道などから、都市部では10%、地方では20%程度の集客効果とみていたので、トータルで約16%という数字は予想以上に高い」と評価する。
一方で、20.5%の人は入店せずにマクドナルド周辺でプレーしていた。だが、マクドナルド側は、「本来は外で楽しむゲームで、楽しみ方は人それぞれ。ゲームをしながら小腹がすいたり、喉が渇いたりした時に、マクドナルドに立ち寄ってもらえればよい」(唐澤部長)というスタンスだ。
マクドナルドの約2900店のうち、400店がジムで、2500店がポケストップとなっている。特にポケストップは、対戦を行うジムとは異なり、その場所に近づいてアイテムを得たら即立ち去るユーザーも多く、集客にはつながりにくい面もある。
こうしたジムやポケストップの配置については、ゲーム全体の設計に関わるため、マクドナルドに決定権はなく、ポケモンGOを開発・配信する米ナイアンティックが決めている。ただし、マクドナルド側からは、全国で顧客が楽しんでもらうために、例えば「都市部にジムが偏らないように」「都道府県に1つはジムを置いてほしい」といった要望は出したという。