グーグルやフェイスブック、アップルなど米IT企業が近年、米連邦議会や政府機関が集まる首都ワシントンDCで、陳情(ロビー)活動を活発化させている。政治や規制当局とは距離を取り、独自にビジネスを発展させてきたが、企業規模と影響力の拡大に伴い無縁ではいられなくなった。特にグーグルは資金投入量で、いまや全米屈指の存在だ。毎日新聞米州総局(ワシントン)の清水憲司記者が報告する。
◇グーグルがフォードと組んで
グーグルのロビー活動の最前線は、早期実用化を目指す自動運転車をめぐる安全規制の動向だ。米自動車大手フォード・モーターと組み、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)への働きかけを強めている。
グーグル・フォード連合のロビー活動を指揮するのは、元NHTSA局長のデビッド・ストリックランド氏。元上司にあたるフォックス運輸長官とは電話でやりとりできる仲だ。伝統的な自動車メーカーのフォードと、自動車業界への挑戦者であるグーグルでは利害が食い違わないのだろうか。ストリックランド氏は毎日新聞の取材に「最善かつ最も安全な方法は、完全な自動運転車の導入。我々はこの原則で一致している」と明かした。
トヨタ自動車など日本勢は、まず高速道路での自動化など運転手の操作を助ける運転支援機能の段階を経ることを見込む。これに対し、グーグル・フォード連合は一足飛びに完全自動運転を目指す。
完全自動運転車にはハンドルやブレーキペダルは不要とされる。規制でそれらの設置を義務づけられれば、完全自動の実現が遠のくかもしれない。ロビー活動は規制の厳格化を避け、早期実現に道を開くのが目的だ。連合には、自動運転車開発を進める米相乗りサービスのウーバー・テクノロジーズやリフトのほか、スウェーデンの自動車大手ボルボも加わり、自動車業界内で「早期実現」か「段階導入」かで温度差があらわになっている。
自動運転には安全面から懸念する声も根強い。元NHTSA局長で、現在は交通安全団体に所属するジョアン・クレイブルック氏は「運転手を実験台にしてはいけない」として、米政府に強力な規制の導入を訴えている。
ただ、米国はシートベルトやエアバッグなどの先進技術を先導してきた歴史を持つ。NHTSAには日欧に先んじて自動運転車をめぐる規制を方向付け、主導権を握る狙いもある。クルマの将来像を左右しかねない論争の中心近くに位置するのが、多額のロビー活動費を投じるグーグルだ。
政治資金を監視する米民間団体「責任ある政治センター」(CRP)によると、グーグルの親会社アルファベットが2015年に投じたロビー活動費は1666万ドル(約17・5億円)にのぼり、5年前の約3倍に急増した。業界団体を除くと、航空機大手ボーイング、複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)に次ぐ3位だ。フェイスブックやアップルも急速に資金投入を増やす。
伝統的にロビー活動に強いとされてきたのは、当局の新薬承認が業績に直結する製薬業界や、地域に多大な雇用を生み出す製造業だ。そこにIT企業が参入してきたのは、企業買収に伴い当局の承認が必要なケースが増えたためだ。加えて、通信大手といった既存勢力のロビー活動を押し返すためでもある。
グーグルがワシントンに事務所を構えたのは00年代前半。米メディアによると、当初は担当者が1人いるだけだったが、最近は100人以上が所属しているという。
設立当初のグーグルのロビー活動を統括し、その後、ホワイトハウス勤務も経験したアンドリュー・マクローリン氏は「目的のひとつは会社の利益のため、もうひとつは(誰にでも開かれているという)オープン・インターネットの原則を守るためだった」と話す。
「グーグルには通信大手AT&Tやマイクロソフトといった『敵』ができたが、彼らはワシントンであまりに強力だった。グーグルも議会や政府に主張を理解してもらう必要があった。ワシントンでは何事をなすにも、民主党と共和党の両方に友人が必要だ」とマクローリン氏は言う。
自動運転車をめぐるロビー活動は成果をあげるのか? マクローリン氏はこの問いに対し、「大きな困難は伴わない」と予想する。「安全確保が条件だが、みんなが自動運転車をほしがっている。この流れを止めようという企業は出てこない」とみるからだ。
現代奴隷の目撃写真
この2年あまり写真家のリサ・クリスティンは世界中を旅して、我慢できないほど過酷な現代の奴隷の現実を記録してきました。彼女はガーナの鉱夫やネパールでレンガを運び出す人々等、心に残る写真を紹介しながら、世界中で奴隷扱いされる2千7百万人に上る人々の窮状を訴えます。
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