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OUTLAST 作者:今宮奈央
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chapter2-2

門は開いていた。
コソコソとやる事をやっている割には不用心ではないだろうか。
とりあえず敷地内に車を乗り入れ守衛室の手前に駐車して、車を降りた。
目の前の小汚いプレハブ小屋から守衛らしき人影が出てくる様子はない。
ゲートとしての役割を果たしているのか疑わしかった門をふと見やる。
「ここ本当にやってるのか?」
わざわざここまで来て、実は夏休みに入って暇な子供が送ったいたずらメールでした。なんてシャレにならない。こっちは大事な車に傷を入れているのだ。この暗い中、手ぶらであの気味の悪い森を帰るなんて冗談じゃない。
守衛室の先に目をやる。
俺は山頂として似つかわしくないその光景に息を飲んだ。
そこには映画にでもでてきそうな洋館。そびえる という表現がよく似合いそうな建築物がたっていた。
山頂の医療施設としてはサナトリウムがあげられるが、どこもこんな感じなのだろうか。
ここに来て洋館建築の造形美が見られるとは思ってもみなかった。
手に収まっているハンディカムに入口から見えるその全貌を注意深くおさめていく。

病棟に見入っていた俺は突如、背後の大きな物音に慌ててふためいた。
身構えながら振り向くと先ほどまで開いていた門がおもむろに閉じ、戻る道が閉ざされた。
とんだホラー映画だ。
人間が入ったら閉じる門などあってたまるか。
それは俺が敷地内に侵入したことを院内の誰かが把握していて、セキュリティルームかどこかからか門を閉めたことを示していた。
メールはいたずらなどではなかった。
この精神病院は確かに生きている。もしくは蘇った。
そして俺が何らかの目的のためにおびき出されたという可能性も頭に浮かんだ。
もう引き返すことはできなくなった。

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