弊害も生み出す中国国有企業改革の実相


大西康雄 (おおにし・やすお)  日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを経て現職。

世界の記述

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中国の国有企業改革が正念場を迎えている。2015年9月に改革の政策文書である「国有企業改革深化に関する指導方針」が公表されて以降目立つのは、企業合併による合理化の動きである。たとえば、実現すれば粗鋼年産6000万トンと、世界1、2位を争う規模となる宝山鉄鋼と武漢鉄鋼の合併の動きが報じられている。

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 このほかにも、過剰生産能力が問題となっている石炭、建材、ガラス等の重厚長大部門を中心に上位企業同士を合併させる方針が示されている。政府当局者の説明によるとこれは、重複を省くことで過剰生産能力削減という政策目標を実現すると同時に、物流経費など経営コスト削減による資金効率向上を狙ったものであるが、結果的に従来以上の巨大企業が誕生することになる。

 もともとの国有企業改革スタート時には分割による市場競争導入が目指されたが、ここ10年来の国有企業合理化策の主旋律は合併へと逆転し、中央政府直轄の国有企業グループ数は03年の196から15年の107まで統合されている。

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大西康雄(おおにし・やすお)

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを経て現職。

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