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伊豆市長、リオ視察出発 高額宿泊費に賛否

◆税金で行く必要ない/東京五輪に生かして

菊地豊市長

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 二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックで自転車競技の会場となる伊豆市の菊地豊市長が十四日、開催中のブラジル・リオデジャネイロ五輪の視察に向かった。川勝平太知事が宿泊費の県条例規定の大幅超過などを理由に視察を断念する中で、菊地市長の宿泊費は市条例の規定を超えながら、リオ行きを決断した。市長本人が視察する意義を、まちづくりや総合的視野と強調しているが、市民には賛否両論がある。

 「地元での開催を成功させることが使命。あらゆる方向から現場を確認したい」。菊地市長は、本紙の取材にリオ視察にかける強い思いを示した。

 市東京オリンピック・パラリンピック推進課によると、視察には市長と職員三人の計四人が参加。そのうち、市長と職員一人は十四〜十九日の二泊六日、他の職員二人は十四〜二十二日の五泊九日滞在する。

 市長の視察費用は航空運賃(エコノミークラス)と宿泊費で計六十二万六千百五十円。宿泊先のホテルは三つ星クラスのスタンダードルームだ。市条例では、市長の宿泊費は一泊一万三千五百円が上限だが、現地の宿泊費の高騰で規定内で泊まれる施設は見つからなかったという。

東京五輪・パラリンピックで自転車競技が行われる伊豆ベロドローム=伊豆市大野で

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 視察の点検項目は五百にも上る。市が主体となるとみられるボランティアの活動状況、競技会場周辺や街中での掲出物、バリアフリー化、地元の受け入れ態勢などを確認する。

 菊地市長は、東京五輪を「世界レベルのリゾート地を目指す長期的目標における優れた中間目標で、あらゆる視点からまちづくりを進める大きな契機」と位置付ける。市は総合計画(一六〜二五年度)で、二〇年度の年間観光交流客数の目標を一四年度比百八万人増の四百五十万人、二〇年度の外国人宿泊客数を同十万人増の十一万二千七百人と設定する。その上で、視察の意義を「職員は五輪競技を成功に導くために必要な事項を調査する。総合的な観点から視察できる職員は市長である」と強調する。

 成果の説明に関しては、「議会で報告するとともに、広報紙やコミュニティーFMなどで紹介する」との考えを示した。現地時間の十五〜十七日には交流サイト「フェイスブック」で情報発信する予定。

 市長の視察に対し、修善寺温泉で喫茶店を営む波多野紘一さん(70)は「税金を使ってまで視察に行く必要はない」と否定的だ。同じ地区で雑貨店を営む女性は「視察自体は良いと思う。それを生かしてほしい」と注文した。

◆首長視察は2市のみ

 東京五輪・パラリンピックで競技開催が決まっている東京以外の北海道、宮城、埼玉、千葉、神奈川の一道四県の十市町で、首長による視察は、伊豆市以外でセーリング競技の神奈川県藤沢市のみだ。

 藤沢市は鈴木恒夫市長と職員三人の計四人が十五〜二十日にリオを訪れ、競技会場付近を見学し、事前キャンプの誘致活動を行う。市長が視察する理由について、市の担当者は「成功には市長自ら状況を確認し、さまざまな課題に対応することが必要」と指摘。「誘致活動では各国の競技団体のキーパーソンに市長自らトップセールスをするのが最も効果的だ」と説く。

 千葉市は、熊谷俊人市長と職員六人が二〇一二年に五輪・パラリンピックが行われたロンドンを今年十月に視察予定だ。市の担当者は「ロンドン大会は最も成功したといわれており、大会が残したものや障害者スポーツへの取り組みを確認したい。地元経済界のメンバーも同行して準備に取り組む」と述べた。

(佐久間博康)

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