※ 勅封とは勅命(天皇の命令)によって封印されることをいい、仏像としては現在石山寺のご本尊のみとなっております。
石山寺では、平成28年(2016年)3月18日(金)から、33年に1度の本尊『如意輪観世音菩薩』の御開扉を行います。今回、初公開となる本堂内々陣での本尊特別拝観に加え、下記、初代本尊の塑像断片、胎内佛像も特別公開いたします。
初代「本尊 如意輪観世音菩薩」塑像の断片
「本尊 如意輪観世音菩薩 胎内佛像」(重要文化財)
現在、本堂内陣の厨子の中に秘仏として安置されている本尊 如意輪観世音菩薩(重要文化財)。安産・福徳・縁結びの観音さまとして信仰を集め、日本で唯一の勅封※秘仏である。御開扉は33年毎。
平安時代後期の作で、大きさは約5m。左手は膝の上で天を仰ぎ、右手は肘を曲げて蓮華の茎を持った状態で、自然石(硅灰石)の上に据えた木製の蓮華台の上に、右足を曲げ、左足を踏み下げて座る姿で、檜の寄木造り(木造)からなっている。肉身は漆箔を施され、着衣は彩色されている。円満な表情や穏やかな衣文線など、全体に温和な作風であり、本堂が再建された永長元年(1096年 平安時代)ころに造立されたとみられている。
石山寺本堂は、滋賀県最古の木造建築物とされており、内陣は平安時代中期の建築、外陣(礼堂)は慶長7 (1602) 年淀殿の寄進により増築されたといわれている。 相の間には、紫式部が『源氏物語』を起筆したことに ちなむ「源氏の間」がある。
今回、特別に本尊御開扉特別拝観として、初めて本堂内々陣を一般公開する。
初代の本尊は、天平時代まで遡り、全体が塑像で造像され、その上に華美な彩色が施されていて、石山寺創建に関わった聖武天皇の念持仏を含む佛像4軀(展示)を胎内佛像として納められていた。承暦2年(1078)に本堂が火災にあい、本尊も大きく損傷し現在ではその姿は断片でしか見ることができない。
2002年8月、奈良国立博物館の調査により平安時代の石山寺の本尊如意輪観音像胎内から、4軀の小型金銅仏が発見された。飛鳥時代(7世紀)と天平時代(8世紀)がそろっており、このうち飛鳥仏は日本製としては最古級とみられる。
最初の寺院・飛鳥寺や聖徳太子ゆかりの法隆寺を除くと、残っている飛鳥仏は限られているだけに、国宝級の発見。4軀とも当初は、土をこねた塑造の初代本尊の胎内仏だったとみられ、聖武天皇や良弁僧正など、創建にかかわった人物が念持仏として持っていたものを、納めた可能性もあるとしている。
承暦2年の火災の際ごく一部が破損したが、本尊に守られたおかげでほぼ原形をとどめたといえる。
仏像の内部の空洞に納めた仏像。母親の体の中に見立てて胎内という。火災などで破損した仏像の一部や、以前に本尊だった小仏像、発願者が身辺に置いて礼拝していた小さな仏像などを納めることが多い。
像高26.2cm
飛鳥時代(七世紀)
像高30.3cm
飛鳥時代(七世紀)
像高21.3cm
飛鳥時代(七世紀)
像高28.4cm
天平時代(八世紀)
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