文楽の人形遣い 吉田文雀さんが死去 人間国宝

文楽の人形遣い 吉田文雀さんが死去 人間国宝
人形浄瑠璃、文楽の人形遣いとして活躍し、戦後の文楽の発展に貢献してきた人間国宝の吉田文雀さんが20日夜、兵庫県内の病院で亡くなりました。88歳でした。
吉田文雀さん、本名塚本和男さんは東京で生まれ、幼い頃、関西に移り住んで文楽に親しみ、昭和20年、17歳のときに文楽座に入って人形を操る人形遣いとなりました。渋みのある落ち着いた芸風で、女方から立役まで幅広い役をこなし、作品や役に対する深い解釈に裏打ちされた人物表現は、高く評価されました。
また、文楽全般の豊富な知識を持ち、長年にわたって公演で使う人形の首を選ぶ役を務めたほか、作品の解説も担当してきました。
こうした功績で平成6年に、いわゆる人間国宝に認定され、平成11年には勲四等旭日小綬章を受章しました。
文雀さんは80歳を過ぎても精力的に舞台をこなしていましたが、その後、体調を崩し、ことし3月に引退を表明しました。その後は自宅で後進の指導などに当たってきましたが、20日午後9時すぎ、兵庫県西宮市の病院で亡くなりました。88歳でした。
これにより、人間国宝の人形遣いは吉田簑助さん1人となりました。