包丁は贈り物として喜ばれます。包丁には「新たに切り開く」という意味合いがあり、とても縁起のいい贈り物で、結婚式や新生活のお祝いなどに用いられます。また、包丁はとても実用的な道具ですので、もらった方にとっても本当に嬉しいプレゼントとなります。
僕はいちおう料理人としてのキャリアもあるので、本職用の牛刀はじめ、刺身(柳刃)包丁、薄刃包丁を持っています。これまでにも人の包丁を借りたりして、色んな包丁を試してきました。また包丁好きでもあるので、よくネット上でいろんな包丁を眺めて楽しんでいます。
包丁は色んなメーカーから色んな種類が出ているので、選択肢が多すぎて初心者は選ぶのが難しいです。よくわからい専門用語もついてきて混乱します。でも、失敗もしたくない。
今回は、他人にプレゼントするという視点で、おすすめの包丁をいくつか紹介したいと思います。もちろん、自分用に購入する場合も参考になります。
選ぶべき包丁の種類
プレゼント用の包丁と考えた場合、「三徳包丁」または「牛刀(ぎゅうとう)」と名のつく包丁でステンレス製を選ぶのが良いです。
どちらも分類で言うと「洋包丁」にあたり、一本で魚・野菜・肉の調理すべてをこなすオールマイティーな包丁です。万能包丁なので家庭向けです。
三徳包丁は家庭でよくある一般的な包丁。100円ショップで売っているのも、いちおう三徳包丁と呼ぶでしょう。これのサイズの大きなものを牛刀と呼ぶ、と考えていいです。牛刀の方が切っ先が尖っていることが多く、180mm以上の大きい洋包丁を牛刀、180mm以下の小さいものを三徳包丁と一般的に呼びます。高価な牛刀は料理人も愛用しています。
これに対し「和包丁」があります。プレゼント用としては向きませんが、説明しておきます。和包丁の代表的なものがこちら。
- 出刃包丁:魚をおろす
- 柳刃包丁:刺身用の切り身をきりだす
- 薄刃包丁:野菜を刻む、桂剥きなど
それぞれ特定用途向けに作られた包丁です。例えば、出刃包丁でキャベツは切れません。また鋼製が多く錆びやすので、日々のメンテナンス(防錆)が大変です。なので、和包丁は贈る相手によっては、使いみちに困る場合もあります。ただし、贈る相手が下に該当するような人ならば、これらの和包丁を選択してもOKです。
- 毎日包丁を研ぐことが苦痛にならない
- 大きな魚を捌く
- 刺身は自分で切りつけないと気がすまない
包丁のサイズ
家庭用で最適なのは180mmまでの包丁です。
ネットなどで買う場合はこのサイズをよく確認しましょう。三徳包丁ならだいたい150mm~180mmのサイズです。180mm以上の牛刀は、210mm、240mmというように30mmずつ大きくなっていきます。
よくネット上では、「おすすめの包丁は210mmの牛刀で決まり!」的な記事を見ますが、なぜそれを家庭用におすすめするのか理由がわかりません。210mm以上の包丁は大きいので、よく考えてから選ぶ方がいいです。
一般家庭の台所(まな板)は小さい。使い手も圧倒的に女性が多く、手も小さい。大きくて重い包丁は邪魔になります。そしてなにより危ないです。まな板から飛び出し包丁の柄が体にあたって、下に落としてしまうこともあるし、そこに子供がいたら・・。
確かに、「うちは牛刀を使ってるよ!」と言ったほうが、通っぽくてかっこいい気がするのはわかります。それに、料理人用の240mm以上の牛刀などは切れ味も抜群でしょう。だけれど、家庭では確実に持て余します。180mm以下の三徳包丁でも、「V金10号」とか書いてあれば、めちゃくちゃ切れるし本当に実用的です。
自分用でもプレゼント用でも、台所の大きさにあった包丁選びをしましょう。まぁ「うちはアイランド型の広いキッチンで、大きな牛肉の塊をよく切るんだ」というちょっとリッチな家庭では、大きな包丁でもよいかなと思いますが。
包丁の値段
4,000~5,000円以上がよいです。
上限は予算と気持ち次第。当然、安い包丁より高い包丁の方がよく切れます。それに1000円、2000円の包丁ではプレゼント用としては貧相ですね。性能面でもすぐ切れなくなるし、メンテナンス性にも乏しい。使い捨てになりがちです。
また包丁の良し悪しの一つの境目が、だいたい4、5,000円にあります。
贈り物としておすすめの包丁
ここまでを踏まえて、贈られて嬉しい包丁をピックアップしてみたいと思います。いくつかおすすめの包丁を紹介しますが、この中ならどれでも愛用されると思います。どれも評判のよい包丁です。
関虎徹 V金10号 鍔付 三徳包丁 180mm YG300
「V金10号」と書いてある包丁は、だいたい切れ味は保証されます。今まで家庭で安い包丁を使っていた人なら、その切れ味は感動するレベルにあると思います。V金10号で1万円以上の牛刀は、和食の料理人でも使っている人は多いです。
- メリット:V金10号としては価格が安い/切れ味抜群(家庭用としては十分)
- デメリット:薄いので硬いものほど切りづらくなる/硬いものを切ると刃こぼれしやすい
藤次郎 プロ DPコバルト合金鋼割込 三徳 170mm F-895
「藤次郎」は名の知れた包丁で、評判も高い。こちらも切れ味よい。特徴はもの凄くバランスが良いこと、価格、切れ味、重量感、清潔感、メンテナンス性どれも優れています。
- メリット:とにかくバランスがいいので選びやすい/デザインがスタイリッシュ
- デメリット:一体型の柄が好きではない人がいるかもしれない。そういう人は、同メーカーのこちらがおすすめ。藤次郎 DPコバルト合金鋼割込 口金付 牛刀 180mm F-807
グローバル 三徳 刃渡り 18cm G-46
「 グローバル」も世の中で広く使われている有名な包丁です。藤次郎とならび、バランスもよい。刀身と柄が一体構造の包丁は、雑菌がつきにくく衛生的。
- メリット:よく切れる/衛生的/バランスが良い
- デメリット:同レベルの包丁に比べやや価格が高い/研ぎ方にクセあり
Misono(ミソノ) 440 三徳庖丁 No.881/18cm
「Misono」は藤次郎やグローバルに比べれば、知名度も低い包丁ですが、この包丁の評価は高いです。安定感があり実用的でしっくりくる。いい意味で普通の包丁。切れ味も秀逸。
- メリット:切れ味よし/変なクセがなく実用的で使いやすい
- デメリット:ちょっと高い
関孫六 ダマスカス 三徳包丁 165mm AE-5200
「ダマスカス」と呼ばれる包丁は、刀身の波打つ模様が特徴的。このまだら模様のデザインが好きな人が多く、人気は高いです。
ちなみにこの模様が切れ味を左右するわけでなく、「ダマスカスだから切れる」ということはないです。むしろ、ダマスカスと銘打つレベルの包丁は切れ味も鋭い、というのが正しい。特に男性はこのデザイン好きなので、贈られると嬉しいなぁ。
- メリット:とにかくかっこいい
- デメリット:「ダマスカス」分、値段が高い
堺一文字光秀 洋包丁 ステンレス FV10 三徳包丁 (万能包丁) 180mm
最後は高い包丁を紹介します。「堺一文字光秀」は堺の包丁で有名。これの牛刀版を僕は愛用しています。このレベルになると性能面で不満がでることはなく、家庭用途では物足りないので、大きな肉の塊なんかを切りたくなります。研ぎやすい。
- メリット:V金10号で切れ味はもちろん全て抜群
- デメリット:プレゼントとしては高い
その他の包丁と砥石
三徳包丁や牛刀以外にも、あると便利なものがいくつかあるので、ついでに紹介しておきます。
ペティナイフ
ペティナイフもあると便利です。三徳包丁しかない家庭でもペティもあると使えるので、贈り物としてプレゼントされても困りません。トマトやキュウリなどを少量切ったりするていどなら、三徳包丁より使いやすい場合があります。
パン切り包丁
洋食派でパンを食べる機会の多い家庭ではパン切り包丁が役立ちます。三徳包丁でも切れますが、ちょっとオシャレなパン切り包丁があると気分も違います。
砥石
砥石は包丁と相性ありますが、とりあえずは「刃の黒幕#1000」が1つあればいいでしょう。包丁研ぐのが好きで仕上げにこだわるなら、仕上砥として「シャプトン 刃の黒幕 メロン 仕上砥 #8000」があってもいい。
包丁研ぎホルダー
これがあると包丁を研ぐときに包丁の角度を一定に保てるので綺麗に砥げます。相性の良い包丁ならとても助かります。しかし、最適な角度は包丁によって違うので、この製品の角度に合わないなら、むしろ無いほうが良い。
贈り物には包丁を
包丁をプレゼントされると嬉しいです。特に料理好きはいい包丁があるとテンションがあがり、腕をふるいたくなります。
包丁はお飾りにならないプレゼントなので、家族や親しい友人の記念日にぜひ贈ってみて下さい。母の日なんかに何を贈ればいいのかわからないという男性の人も、困ったら包丁を選択肢として考えてみてはどうでしょう。いい包丁は間違いなく喜ばれますよ。