登坂が金メダル レスリング女子48キロ級

登坂が金メダル レスリング女子48キロ級
k10010640721_201608181209_201608181210.mp4
リオデジャネイロオリンピックは17日、レスリングの女子48キロ級で登坂絵莉選手が金メダルを獲得しました。
オリンピック初出場の22歳、登坂選手は、1回戦でカザフスタンの選手を相手に積極的に攻めてポイントを与えず勝ちました。
続く準々決勝も勝ち、迎えた準決勝では、ことし2月の国際大会で敗れた中国の選手と対戦しました。登坂選手は、第1ピリオドで2ポイントを奪われてリードされる展開になりましたが、第2ピリオドで相手の足を取ったあと、連続してポイントを挙げ、逆転勝ちしました。
そして、決勝では前回、ロンドン大会の銀メダリスト、アゼルバイジャンのマリヤ・スタドニク選手と対戦しました。登坂選手はスピードのある相手に苦しみ、思うように攻撃の形を作ることができませんでしたが、1ポイントを追う第2ピリオドの終了間際に得意のタックルで相手の足を取って倒して2ポイントを挙げ、逆転勝ちしました。
登坂選手は、初めてのオリンピックで金メダル獲得です。

「残り30秒全く覚えていない」

登坂選手は、先制を狙っていた序盤、相手の勢いに押され、先にポイントを奪われて「パニックになった」と言います。その後も追う展開が続き、第2ピリオド途中にはセコンドとしてついていた栄和人チームリーダーから「守るな」と声が飛ぶなか、試合終了間際、タックルで相手の右足を取るとしゃにむに背後に回って2ポイントを奪い、劇的な逆転勝ちで金メダルを獲得しました。
登坂選手は「残り30秒くらいの時に『もう無理かも』と思った。どうやって足を取ったのか全く覚えていないが、つかんだあとは絶対離さない、絶対倒すという気持ちだった」と振り返りました。
登坂選手は、姉のように慕い選手村でも同じ部屋の吉田沙保里選手からけさ「頼むよ」と声をかけられたことを明かしたうえで、「私が金メダルを取ることで頑張れると沙保里さんが言ってくれるし、柔道の田知本選手から金メダルを見せてもらったことを伝えたら、『私は絵莉から見せてもらうから』と言ってくれた。きょう見せることができるのがうれしい」と、先輩につなぐ金メダルを首から誇らしげにかけながら、笑顔で話していました。

登坂選手 これまでの歩み

登坂絵莉選手は富山県出身の22歳で、初めてのオリンピック代表です。9歳でレスリングを始め、吉田沙保里選手などと同じ道場でトレーニングする愛知県の至学館高校に進学し、そのまま系列の大学に進むと急成長しました。
最大の持ち味は、抜群の反射神経に基づくスピードある動きで、2013年から世界選手権を3連覇し、オリンピックの金メダル候補に名乗りを上げました。そして、オリンピックに向けて、あえて1つ上の階級で全日本選手権に出場するなどパワーのある外国選手を見据えた対策を進めていました。
この春に社会人になった登坂選手は、吉田選手を姉のように慕っていて、どんなに劣勢でも負けない、「絶対女王」になると公言していました。

地元・富山では同級生らが喜びの声

登坂絵莉選手の地元、富山県高岡市では同級生などが金メダルの獲得を喜びました。
登坂選手が卒業した富山県高岡市の木津小学校の体育館には、同級生や地元の人など、500人を超える人が集まり、応援の寄せ書きや横断幕を掲げて試合を観戦しました。
決勝戦の試合終了間際に、登坂選手が逆転のポイントを獲得すると、集まった人たちは歓声を上げて総立ちになりました。そして、そのまま試合が終わり、金メダルが決まると、隣の人と抱き合ったり、涙を流したりして喜んでいました。
決勝の前に登坂選手からLINEでメッセージが届いた小中学校時代の同級生の女性は「登坂選手は『まかせろ!』『金メダル』と送ってきてくれました。本当に、そのとおりになって心が震えました」と話していました。
また、登坂選手が通っていたレスリングクラブに所属する小学6年生の女の子は「リードされても絶対逆転すると信じていました。私も登坂選手のように強くなりたい」と話していました。