シンクロ デュエット 乾・三井ペアが銅メダル

シンクロ デュエット 乾・三井ペアが銅メダル
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リオデジャネイロオリンピック、シンクロナイズドスイミングは16日、デュエットのフリールーティン決勝が行われ、乾友紀子選手と三井梨紗子選手のペアがテクニカルルーティンとの合計で3位となり、銅メダルを獲得しました。シンクロナイズドスイミングで日本は、前回ロンドン大会で初めて失ったメダルを2大会ぶりに奪還しました。
日本の乾選手と三井選手のペアは、前日行われたテクニカルルーティンで、3位のウクライナに僅か0.0144差の4位につけて、16日のフリールーティン決勝に臨みました。

日本のペアは「嵐のち晴れ」というテーマで、天気の移り変わりを表現したプログラムを泳ぎました。演技最初のリフトをきれいに決めた日本のペアは、スピードに乗って大きなミスなく演技し、疲労の出る終盤もキレのある足技を見せました。日本はフリールーティンで94.9333をマークして、テクニカルルーティンとの合計を188.0547とし、合計得点でウクライナを0.9189上回って逆転し、銅メダルを獲得しました。

シンクロナイズドスイミングで、日本は正式競技に採用された1984年のロサンゼルス大会から7大会連続でメダルを獲得しましたが、前回のロンドン大会でメダル無しに終わっていて、2大会ぶりにメダルを奪還しました。

ロシアが合計得点で194.9910をマークし、この種目、5大会連続で金メダルを獲得、銀メダルは192.3688で中国でした。

「力はすべて出しきった」

演技を終えた直後、乾友紀子選手と三井梨紗子選手は、井村雅代監督と一緒に報道陣の前に姿を見せました。

目に涙を浮かべていた井村監督は「『プールから水があふれるくらいの演技をしなさい。今まで本当にたくさん練習してきたから、そのすべてを使って、出し切ってきなさい』と言って送り出した。予選でミスしたところもよく我慢した。この選手たちの力は、出し切った。あとはどういう結果になっても 神のみぞ知っているでしょう」と話し、笑顔も見せました。

乾選手は「たくさん練習したら泳ぐ前には自信を持って臨めると井村先生から言われ続けてきたことがよくわかった」と話し、三井選手も「きょうのために今まで練習してきた。思い切り泳げてよかった」と2人とも満足そうな表情でした。

取材のあと、乾選手と三井選手は、井村監督と一緒にライバルのウクライナの演技が終わるのを待ちました。そして、電光掲示板に得点が表示され日本がウクライナを上回ったことを確認すると、3人で肩を抱き合って喜びました。井村監督は「よくがんばった。おめでとう」と、感激の面持ちの乾選手と三井選手にねぎらいの言葉をかけていました。

メダル「すごく重い」

表彰式の後、乾友紀子選手と三井梨紗子選手のペアは、首から提げた銅メダルを報道陣に披露しました。

乾選手は「すごく重たいし、大きい。ずっとこのメダルを取るために頑張ってきたので、井村雅代先生を信じてやってきてよかった。北京オリンピックのあと、自分たちの代で世界選手権でメダルを取れず、4年前のロンドン大会でもふがいない結果に終わり、自分がメダルを取り戻す、という気持ちで続けてきた。それを達成できてよかった。練習は裏切らないということをいま感じている」としみじみと話していました。

三井選手は「表彰式は、今まで見た中でいちばん最高の舞台だった。代表に入ってから毎日が地獄のようで大丈夫かなと思ったときもあったが、乾選手と井村先生についていくことができて、自分は幸せ者だと思った」と涙を浮かべながら話していました。

日本代表のキャプテンの乾選手は、2日後に控えるもう1つの種目、チームに向けて、「いい流れを作る役割を果たせたと思う。この勢いを加速させて、私たちがチームの中でいい意味で目立って盛り上げていきたい」と話していました。2人はこのあと、この日66歳の誕生日を迎えた井村監督のもとに駆けつけ、監督が欲しがっていたプレゼントのメダルをかけていました。

シンクロ井村監督「メダルは日本復活のいいきっかけに」

井村雅代監督は、選手たちが表彰式を終えたあと、改めて取材に応じ、「彼女たちを強引に引っ張ってきたので、彼女たちの首にメダルがかかってよかった。日本のシンクロナイズドスイミングにとっても、選手が増え復活するいいきっかけになると信じている。スポーツは強くないとだめだ」と、2大会ぶりのメダル獲得を改めて喜びました。

井村監督は日本と中国の指導者として、9大会連続のオリンピックでいずれも選手たちをメダル獲得に導いてきました。井村監督は今までのメダルとの違いを尋ねられ、「今回はどうしてもメダルを取らせたかった。乾と三井は、物事をフィードバックして理解するタイプの選手なので、メダルを取ったら今までの努力や練習の意味が分かると思っていた。きょうで2人は、選手として、人間として、大きく成長したと思う」と話していました。

また、この日が66歳の誕生日だったことについて、「3位と決まった瞬間に選手たちから「お誕生日おめでとう」と言われた。メダルもかけてもらい、今まで何回もメダルをかけてもらったが、今回のメダルは実際にものすごく重くてびっくりした」と笑顔で話しました。