新型ミサイル開発し、石垣島配備へ
- 2016年08月20日
- 社説
■尖閣海域波高し
猛暑が続く中、あっという間にプーリィ(豊年祭)やソーロン(旧盆)が終わった。ソーロン迎え日の15日は終戦記念日と重なり、祖先の霊や戦死者への思いから平和の尊さを深く感じた。第2次世界大戦の死者は5000万~8000万人、日本が310万人、沖縄20万人、八重山3700人と推定される。恐ろしい死者の数だ。大戦後も朝鮮、ベトナム戦争をはじめ近年のイスラム国や過激派による多くの紛争やテロが起き犠牲者も数知れない。戦禍を逃れてヨーロッパへ難民が流入し、受け入れ国では極右政党や団体が台頭、難民との間に社会不安を引き起こしている。
アジアでは南沙諸島や南シナ海全域の管轄を主張する中国と近隣国に軋轢(あつれき)が起きている。国際仲裁裁判所は中国の主張を全面的に退ける判決を下したが、中国は判決に反発し国際社会と対立している。
尖閣諸島海域では公船や漁船の領海侵犯により緊張が高まっている。中国の近現代史は西欧諸国や日本の侵略、国共内戦など戦争で多くの犠牲者を出した。それだけに戦争の痛みを一番知っているはずだ。経済大国となった今、平和外交に徹すべきである。フィリピンと中国が対話外交を始めたのは歓迎したい。
■日本の新型ミサイル開発と配備
中国に対して、日本政府は閣僚による靖国神社参拝や南シナ海、南沙諸島問題でフィリピンへの海上自衛隊練習機の貸与、尖閣沖の領海侵犯する中国公船や漁船の映像を公開し危機感をあおっている。冷静な対応をすべきだ。
一部新聞報道によると政府は、尖閣諸島の防衛を強化するため新型のミサイルを開発し、宮古島市や先島の主要島に配備するという。開発するミサイルは輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイルといわれる。GPS(全地球測位システム)を利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する多国籍軍などを近隣の島々から攻撃する能力を持ち、飛距離は300㌔を想定しているという。軍事力による対抗だ。石垣島や与那国島も配備の対象となろう。
また、防衛省は離島防衛強化のため陸上自衛隊に配備する水陸両用車について米国と共同開発を検討するという。中国を念頭に置いて新開発されるミサイルや水陸両用車など尖閣や離島奪還作戦等八重山と関わりのあるものだ。これは自衛隊配備計画とも関連するものだ。このままでは自衛隊のPAC3やヘリ部隊の配備も考えられる。
■防衛省の概算要求に注目
オスプレイや米軍機、米艦船等の飛来や寄港も、日米安全保障条約における日本国内の施設や区域を自由に使用できるという条項からすれば、常態化する恐れもある。石垣島が国防の最前線基地になりかねない。防衛省や沖縄防衛局の二度にわたる説明会は、質問の趣旨をはぐらかし、災害救助等、自己宣伝に終始した。
石垣市議会でも誘致は時期尚早、という与党議員の意見もあり誘致請願は否決された。にもかかわらず、自衛隊基地建設を当然のように政府は新型ミサイルを開発し、2023年度に配備するという。市民を愚弄(ぐろう)しているとしか思えない。
中山市長は八重山防衛協会顧問というから当然、自衛隊誘致推進の立場だ。議会での誘致決議を受けて誘致容認を描いていたかもしれないが、防衛省の来年度予算の概算要求とあわせて、その動向に注目したい。
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