07« 2016 / 08 »09
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.
暑気払い
お盆ホリデー、いかがお過ごし?
私は夫がキャンプにいったので、今週は思い切りダラダラ過ごそうと決めていた。
朝は寝坊して、昼はHulu廃人、夜はワインにオリンピック三昧!
・・・をしたら、なんだかかえって疲れてしまった…
しかし、金メダルラッシュの女子レスリングは凄いな。
ちょうどタイミングよくお誘いがあったので、ウッキウキるんるんで元町のお店へ。
SIMOMURAさんは、これで二度目。
メニューはその日の仕入れで決まるという完全予約制のお店。
個室で落ち着けるしリーズナブル。気兼ねなくタクシーで帰れる近さも魅力!
この日も器の空のコースで。
一杯目はスパークリングで乾杯。
前菜のハマグリは撮り忘れ〜〜〜
暗めの室内はやっぱり明るい単焦点レンズのほうが綺麗だな。
これは付属でついていたキットレンズなので、ちょっと残念な感じ。
二杯目からは白ワイン。
お造り
ミル貝と冬瓜のスープ仕立て、胡麻豆腐、
ピュアホワイトの天婦羅、鮎、イチジクのフライ、鯛の西京焼き
和牛盛り合わせは、大根おろしとワサビ、スダチを絞って。
ここでアワビちゃん登場
キモと味噌のソース焼き。
友人は「私はお刺身で食べたかったわ〜」と言っていたけど、ワインがすすむ〜
酢の物は鱧の南蛮風
定番の土鍋ご飯は初サンマにスダチ。
軽く一杯づついただいて、あとはオニギリにしてお土産にしてくれる。
デザートはスイカ、西京味噌をつかったSIMOMURAロールに抹茶豆腐
楽しすぎてあっという間に時間が過ぎてしまって、
18時にお店に入ったのに、お会計は22時半をまわっていた!
食事は何を食べるかよりも、誰と食べるかが大切。
楽しい時間をくれた友人に感謝感謝♪
- 関連記事
category: 雑談その他
キング「ジョイランド」読書会
久々に読書会に参加した。
課題本はキングの「ジョイランド」なのだ。
場所はいつものお店。
まずは、カンパ〜〜〜イ!
いつもの飲み放題付きのコースなのです。
正直食事は美味しくない…
完全個室という環境優先なのですわ。以下、「ジョイランド」の内容に触れておりますので、未読の方はご注意ください。
今回の平均得点は、、、、6.1点
思ったよりも得点伸びず。
最高点は9点、最低点は3点。
キングは比較的万人向けだと思っていたけど、全然そうじゃなかった!!!(笑)
ちなみに私は8点でした。
感想も、良い点よりも悪い点のほうが目立ったかな?
*読みやすく、どんどん読み進められる
*うまくまとまっている
*70年代のノスタルジーを感じる
という反面、
*キングのベストではない
*主人公にイライラしてノレなかった
*漫画のように主人公補正がかけられた主人公が嫌い
*無用な登場人物が多すぎる
*予想通りで驚きや意外性がない
*遊園地の説明が長すぎて退屈した
*「キャリー」のようにグっとくるものがなく、物足りなかった
いいところ、少なっ!
キングの特徴は、プロットよりも人物描写に重きを置いており、エピソードを積み上げていくことでキャラを構築していくことにあると思うのだけど、それが性に合わないという人が多かったのかな?
というか、デヴが嫌われたというべきか…(汗)
また、ミステリとしての感想も、一部にはボロクソでした(笑)
あとは、読者の年齢も多少影響があるのかも。自分自身が若いと、この「若かりし頃を振り返るキング自身のフィクション」も楽しめないのかも。振り返って懐かしむということ自体が難しいのかな。
毎度毎度30代のメンバーとの感覚のギャップを感じるのだが、この日も改めて感じてしまったわ(笑)
私も若い日本人作家のものは、本当にもうとことんダメだもんなぁ…
また、今回はなぜだか「作中に◯◯がでてきた」から、加点したという人が多かった。
(いつからフィギュアスケートのGEO形式になったんだ?!)
結構面白かったので、加点ポイントをちょっと紹介してみると、、、、
加点ポイントその1:マイクの母アニーが銃でレインを打ったシーンが好きだから
加点:4点
なんという高い加点!このシーンがなければ、なんと3点だったのだそうだ!(驚)
"アニーよ、銃をとれ"???
私はキングの駄洒落かなと思ってしまった(笑)
その2:ピンクフロイドがでてきたから
加点:4点
これは単に懐かしかったかららしい。しかし郷愁は強し。
ピンクフロイド様様です。
その3:ブルックスブラザーズがでてきたから
加点:不明
えと、出てきたっけ???と思ったら245ページに出てた。
遊園地をやめたエリンが、調査結果をもってデヴに会いにシーン。
ま、確かにメンズは素敵かな…
え、そこっ?!!という感じだけど、、、
アニーが射撃が得意で、デヴが失恋をピンクフロイドを聞くことで癒し、ブルックスブラザーズのスーツが出てきて本当によかったです(笑)
その他では、エディの幽霊がマイクのもとを訪れてデヴの危機を訴えるというのは、出来過ぎ、やりすぎの声多数。他方、マイクの遺灰を凧であげて空に流すシーンは好感度が高かった。
私個人がやや疑問に思ったのは、もしもレインの射殺事件担当の刑事が、もっと真面目に仕事をしていたら、デヴの下宿からアニー宅に電話をかけた履歴がないことに気がついていただろうということかな。
いま一つは、文春編集部による本書の解説が、「ミスター・メルセデス」の宣伝のようになっていたこと(笑)大丈夫、キングファンは出れば必ず買います!
ただ、キングは読んだことがないという方には、本書は試金石としてオススメ。なんといっても文庫一冊という手軽さだし、万一趣味に合わなくても1000円の出費で済む。
本書が気にいった方なら、こちらの良さも絶対にわかるはず。
「11/22/63」は10月に文庫化されるらしいです(笑)
最後にこそっと・・・
ナダル頑張れ!!!!
- 関連記事
-
- キング「ジョイランド」読書会 (2016/08/14)
- 英国大使館のレシピで作ってみよう! (2016/05/03)
- 土砂降りの『彼女のいない飛行機』読書会 (2016/02/22)
- 新春恒例エドガー賞作品『ボトムズ』読書会 (2016/01/17)
- 悲しみのイレーヌ読書会 (2015/11/23)
category: 読書会
tag: 海外ミステリ 読書会国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 / 伊藤祐靖
ナダルさんがダブルスで決勝進出(嬉)!!!
さすがにミックスダブルスは棄権したみたいだけど、そもそも無茶しすぎ。
きっと全米とかもう捨ててるんだな(笑)
シングルスは、、、
もし順当にいけたとしても、今のナダルはデルポに勝つのは無理な気がするし、錦織君はマレーに分が悪いかな。となると、3位決定戦でナダルと錦織君が当たることになってしまうのだが、ごめんなさい。もしもそうなったら、ナダルを応援してしまうわ。
だって、ナダラーなんだもん!
そういうと、皆から「そんなのダメよ〜!」と怒られるのだが、私にだって多少の愛国心はある。他の競技はもちろん日本を応援しているのよ。それに正直、ナダルがデルポにたどり着けるかもわからないし…(←弱気)
しかし、「国のために死ねるか」と本書のタイトルのようなことを言われたら、スミマセン、無理です。死ねない…
時代錯誤感漂う強烈なタイトルに惹かれてDLしてみたら、これが驚愕の内容だった。
著者の伊藤祐靖氏は、私よりは上だが、まぁ同世代と言ってよい1964年生まれの元自衛隊の特殊部隊の創始者。
同じ時代に青春を過ごしたとは思えない内容に、ただただ驚かされた。
おっちゃん凄すぎです・・・
そもそも、自衛隊に特殊部隊があること自体、私は知らなかった。
特殊部隊といえば、アメリカ海軍のネイビーシールズや、陸軍のグリーンベレー、英国特殊部隊SASなどが有名。映画やドラマの中の彼らはまさに無敵の存在だ。それに相当するものが自衛隊の中にあるなんて!!!ええ?という感じ。
しかし、その映画で活躍するアメリカの特殊部隊の実態は、著者曰く、「だらしない兄ちゃんたちの集まり」にすぎないという。米軍特殊部隊の技量は異様に低いが、そこに米軍が強い秘密があるという。米軍は、各自個人の負担を最小にし簡単な業務のみを与え、それを確実にこなすことで組織として動かすことで強大な力を生み出しているのだという。
日本はどうかというと、そもそも日本の自衛隊は軍隊でもないし、自衛官は命を失う覚悟もない。そこだけに着眼するなら、取るに値しないが、日本人にはそれを覆すだけの特異な点があるという。それは、何にせよ、トップレベルの人間は少ないが、ボトムのレベルが高いのだ。要するに、優秀ではない人間が極端に少ないのだという。
著者曰く、詰まるところ戦争とは、その国の底辺と底辺の勝負なのだから、日本は優位なのだという。
目からウロコのような説明だったが、その後の復興を思えば納得できるかな。
ところで、この日本の特殊部隊構想の発端は、99年に起きた能登半島沖不審船事件であったらしい。著者は当時の護衛艦「みょうこう」の航海長だったのだ。
そのとき、北朝鮮の工作船と思しき船は停止し、上から立ち入り検査を命じられたのだが、それはすなわち死を意味したのだ。銃撃戦になれば犠牲者はでる。海上自衛官は射撃訓練こそ受けているものの、防弾チョッキすらなかった。おまけに工作船には必ず自爆装置が装備されている。
工作船内を立ち入り検査しろという命令は、すなわち、海上自衛官に「国のために死ね」ということに等しかった。
著者は、彼ら自衛官にそれを強いるのは酷だし、それができる特殊な人間というのはいる、と強く思ったという。
以降どのような決意で特殊部隊を作り上げたのかは一読に値する。
スパイなど特殊任務に就く人が、肉体や能力はもちろん、その精神の強さが私たちとは全く異なるように、特殊部隊の人間もまた全く違うのだ。
話は逸れるが、以前読んだ「サイコパス 秘められた能力」を思い出した。普段、ただただ悪く恐ろしいものとして扱われがちなサイコパスだが、実はそうでなく、「恐怖心のなさ」が必要とされる仕事だってあるのだという内容だった。
後半、自衛隊を辞め、フィリピンのミンダナオ島で知り合った海南民族の弟子(というか師匠)とのエピソードには、驚愕することだろう。真実は小説よりもとよくいうが、まさしく下手な小説よりも読み応えがある。忘れてはいけないのが、その海南民族の弟子が持つ、常に殺すか殺されるかという人生観は、彼女(なんと女性なのだ!)の体験から培われたものであるということだ。
著者自身がこのような道を歩むことになったのは、父親の影響によるものが大きい。親子の会話やその根底にある思想には唖然としてしまうほどだ。
何しろ、彼の父は陸軍中野学校時代の時に蒋介石暗殺を命じられ、75年に彼が台湾で死ぬまでの30年間、射撃訓練を欠かさなかったのだというのだ。戦争は終わったが、命令は取り消されなかったからだという。
私の亡き祖父も戦争にいき、当時小学生の私にその当時のことを話してくれることがあったが、祖父は、今の時代の大多数の人々同様、非常に冷静に日本の立ち位置を見ていたので、そのギャップにとにかく驚いてしまった。
著者の父も著者自身も、ある意味、生まれながらの職業軍人だ。一般人の私個人とは思想も価値観も全く異なる。全面的に賛成とはいかない。
ただ、例えば先の能登半島沖不審船事件のような有事の際に、犠牲になるのはこういう人々だ。いや、彼らのような人は特殊ケースなのではないか。内心は、そもそもが自衛隊は、軍隊ではないという立場だから入隊したのだという人もいるだろう。彼らにも家族はいるし、仕事なんだから死んで当然などとは私には言えない。
それには、ただやみくもに戦争反対!を叫ぶのではなく、「戦争を回避するためにはどうすればよいのか、そして、万が一、戦争に巻き込まれたら日本はどうすべきなのか」を国民が真面目に考えなくてはならないのだろう。
- 関連記事
-
- 国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 / 伊藤祐靖 (2016/08/12)
- プライベートバンカー カネ守りと新富裕層 / 清武 英利 (2016/07/26)
- 古書泥棒という職業の男たち 〜20世紀最大の稀覯本盗難事件 / トラヴィス・マクデート (2016/06/09)
- 「教育超格差大国」アメリカ / 津山恵子 (2016/05/09)
- 和僑〜農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人 / 安田 峰俊 (2016/05/02)
category: ノンフィクション・新書
tag: 自衛隊 特殊部隊 文春新書人類再生戦線 / A・G・リドル
連日メダルラッシュのリオ・オリンピック。
競泳の男子800m自由形リレーと体操では感動をもらった!
「(松田)丈志さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない!」とかドラマよりドラマなセリフや〜ん。しかも有言実行!
内村君なんて、団体では6種目フルでこなした上に、個人総合でも堂々の金だもんね。
チームメイト一人一人の頑張りがすごかった。
おめでとうございます。そしてありがとう!
ところで、ニュースの度に、何度も何度も繰り返し放映される素晴らしいパフォーマンスの合間を縫って読んだのが、本書「人類再生戦線」なのだ。「第二進化」に続く、アトランティス・ジーン・シリーズの第二弾なのである。
・・・んだけど、その「第二進化」をすっかり丸っと忘れていたので、思い出すのに少し時間がかかってしまった。最近は九九すらもヤバイ私…(汗)
本書は、かのオカルト・ミステリ雑誌「ムー」の愛好家ならお馴染み、"人類は宇宙人によって創られた説"をベースにしたSFである。
↓こういうヤツね。
どうでもいい人にとってはどうでもいいだろうけど、私は結構この手のものが好き。
人間のDNAの97パーセントが地球外生物の遺伝子コードであるとか、古代の遺跡になぜか宇宙船らしき絵が描かれているとか聞くと、想像も膨らむというもの。だからこういう小説もわりと好きなのだ。
バカバカしいと切り捨てるのは簡単だが、それはもったいない。
この小説の作者のようにこの手のオタクというのが、結構細かく調査も行い、理論武装もしているので、それに乗っかって「ロマン」を感じるほうが楽しい。
さて、本書は「第二進化」の続編なので、前提として一作目を読んでいることが前提となるのだが、簡単にあらましを説明しておくと、主人公は遺伝子学者のケイトと、元CIAのデイヴィッドの二人。
デイヴィッドは巨大テロ組織イマリ・インターナショナルが地球の人口を大幅に減らそうとする「トバ計画」の情報を掴む。イマリは劇的に人口が減ることによるボトルネック効果で、人類に「第二の進化」をもたらそうと目論んでいた。
その計画の鍵となるのがケイトの研究で、そのためケイトはイマリに狙われていたのだ。彼女は危ういところをディヴィッドに助けられる。イマリの計画を阻止しようと二人はイマリの研究所に潜入するが、そこで「ベル」と呼ばれる装置を見つける。それは、人々に疫病を発生させる装置だったのだ…
本書「人類再生戦線」では、その疫病が世界中に広がり人類は絶滅の危機にある。しかし、中にはその疫病を生き残る人もいた。イマリはその疫病を息抜き進化を遂げることができた人間で、軍隊を作ろうとしていたのだ。イマリを率いるのはドリアンだったが、彼の中にはアトランティス人兵士のアレスが宿っていた…
各国は疫病を抑え込むための新薬オーキッドを開発したが、その効果は日増しに薄れる一方。疫病は変異し、死者は増加していく。疫病に耐性のあるケイトと、アトランティス人の”チューブ”によって蘇ったデイヴィッドは、対策を練るが、次第にケイトの心の中にアトランティス人科学者の記憶が蘇ってくるのだった…
とまぁ、、、、まぁあらすじだけなぞると、荒唐無稽…(笑)
しかし、笑ってばかりはいられないところも多々あるのだ。
人類は確かに、"ある時爆発的に"進化を遂げたのだ。脳が発達し、道具や言語を操るようになった。
そして、歴史を知る手立てとしては、言語、物語、遺物などがあるが、神話に関しては各文化に共通で、人間には"二人の始祖"が存在している。インドではマヌとヤマ、ゲルマンにはマンヌスとユミル、古代ローマ人にはロムルスとレムス、古代ヘブライ人にはカインとアベル…
他に共通するのは、大洪水の話と、壮大な戦いの末に悪の存在を倒すというものだという。
また、ペストや黒死病といった疫病がもたらした世界の見方も大変興味深かった。疫病の流行は、強大な帝国の終焉させ、蛮族の優勢をもたらしたというのだ。
単なるキワもの話ではなく、このような”事実”がうまく物語に取り入れられていて、知的好奇心を満足させてくれる。
さすがは個人出版からスタートして、今やアマゾンレビュー(米国)が4000を超える人気小説になっただけのことはあると思うわ。CBSによる映像化の話も進んでいるそうだ。
一旦フィニッシュした感もあるのだが、三作目も近日刊行予定なのだとか。
如何せん、すぐ忘れてしまうので、なるべく早くお願いします〜!
- 関連記事
-
- 人類再生戦線 / A・G・リドル (2016/08/11)
- 旋舞の千年都市 / イアン・マクドナルド (2016/07/22)
- パンドラの少女 / M・R・ケアリー (2016/05/30)
- 第二進化 / A・G・リドル (2016/05/17)
- 明日と明日 / トマス・スウェターリッチ (2016/02/02)
category: SF ファンタジー
tag: 早川書房 文庫 SFジョイランド / スタィーヴィン・キング
熱戦続くリオネジャネイロ・オリンピック。
驚いたのは、ジョコビッチの初戦敗退。。。
えええーーーーー!!!
ナダルじゃなくてジョコが所詮敗退?!(←失礼!ナダルさんは一回戦は快勝デシタヨ!次も勝てますように!!!)
ま、しかし相手はデルポだしなぁ。ジョコさん、ドロー運悪すぎでしょ…
試合は見てなかったんだけど、スコア見ると7-6,7-6と、2セットともにタイブレークという接戦。デルポミサイル炸裂だったのかも。
今回こそはとジョコも金メダルを狙っていただろうし、ほとんど唯一持ってないタイトルだから悔しいだろうなぁ。
全仏後すぐにウィンブルドンとハードスケジュールで、本来トップ選手は今頃は全米に備えて調整している時期。疲れとかもあったのかな?
しかし、ここにきてようやくデルポも復活か。長かったけど、全米も面白くなりそうだわ。
キングには珍しく、文庫本一冊というお手頃なボリューム帯。キングは初めてという方にも手に取りやすいサイズ感だと思う。
また、キングといえば、「ホラーの帝王」のイメージが強いだろうが、今回は阿鼻叫喚のホラーは封印。なんと青春ミステリなのだ。
物語の舞台は1973年のアメリカ、ニューハンプシャー大の学生である"ぼく”、デヴィン(デヴ)・ジョーンズは、ひょうんなことからその夏、ノースカロライナの海辺の町の遊園地でアルバイトをすることになる。
ことの起こりは、初めてのGFだったウェンディが、ボストンで女友達と一緒にアルバイトをすると言い出したたためだ。デヴとウィエディはともに大学内でバイトをしながら学ぶ苦学生で、2年もの間、"あれ”を除けば何をするにも一緒だったというのに…。
一人で大学に残るのもつまらないと思ったデヴは、偶然目にした広告で、その遊園地で働いてみようと思う。その広告の一行目には「天国の近くで働く!」とあり、彼女を失うかもしれないという恐怖にさいなまれていたデヴは、この上なく惹かれてしまったのだった。
面接に訪れたデヴは、ジョイランドの占い師マダム・フォルトゥナことロジーから「あんたの未来にいるのは女の子と男の子で、そのうちの一人は心眼を持っている」と言われる。その時は、ウェンディにしか頭になかったデヴだったが、60歳を超えた今、思い出してみると、マダム・フォルトゥナはこの日絶好調だった。
同じ下宿のバイト学生仲間、トムとエリンとも仲良くなり、本格的に遊園地での仕事がスタートする。
熱射病にかかりそうになりながらも、遊園地のマスコット犬ハウイーの着ぐるみを着て、幼い子供たちを喜ばせるのは、デヴにとっては楽しい仕事だった。
そんなある時、デヴは遊園地の幽霊屋敷(ホラーハウス)にまつわる恐ろしい噂を耳にする。過去にそこで、殺人事件があり、殺害された女の子の幽霊がでるというのだ。その女の子、リンダ・グレイは、歳の離れた男と一緒にホラーハウスに入ったのだが、喉をかき切られて殺され、男は一人で何食わぬ顔で出ていったのだという。その男とリンダ・グレイは一緒に写真をとっていたが、帽子に濃いサングラス、砂色の山羊髭をはやしていた男は、ブロンドでさえなければ誰でも当てはまる容貌だった。ただ一つ、手の甲にあった鳥のタトゥーを除いては。しかも、その男はリンダ・グレイの他にも何人もの女の子を殺害していた連続殺人犯だった。
デヴは、マダム・フォルトゥナから、「絶対にホラーハウスに近づくな」と警告を受けていたにもかかわらず、トムやエリンと一緒に、仕事が休みの日に肝試しとばかりにホラーハウスに入る。
そこで、トムが女の子の幽霊を見てしまい…
ほろ苦いデヴの失恋、トムとエリンとの生涯にわたる友情、そして、マダム・フォルトゥナの予言に出てくる男の子…
キングの代名詞でもある「ホラーの革新者」はなりを潜めているものの、キング小説の良さを十二分に堪能できる。キングの良さとは、なんといっても「読みやすい文章」「生き生きと描かれる登場人物」「真実味ある創作」だ。「読みやすい文章」「生き生きと描かれる登場人物」というのには、誰も異論はないだろう。
編集部による解説でも言及しているが、子供の描写にかけてはちょっと他にない巧さだ。大抵、キング作品に出てくる子供は、よく考えてみるとその年齢よりも大人びていることが多く、本作でもそれは例外ではないのだが、ついつい知らず入れ込んでしまう。
プロットそのものよりもキャラクターに重きを置いているのもキングの特徴だろう。
どこで読んだのか忘れてしまったが、キングの編集者が「作家自身の人生を生きているように読者に思わせることができるなら、その作家は天才だ」と言っていた。それはまさしく、本書に当てはまるものだ。多少の年代や年齢、通っていた大学の違いはあるものの (キングはメイン州立大学卒)、デヴは、フィクション上のキングだといっていい。キング作品に触れたことのある方なら、きっと朴訥で善良な青年デヴにキングその人自身を感じるはず。
ホラー的要素はなりを潜めているものの、本書でも「不思議な現象」は物語の重要な役割を担っている。マダム・フォルトゥナの予言然り、後半に出てくる男の子の能力然り、意外な人物の行動然り…
これもまた、リアリティある「真実味のある創作」だと言ってもいいだろう。
そして、そこにはキングならではの優しさが溢れていたりもして、ちょっとほろりとさせられる。
本書はキング作品には珍しく(私が知らないだけなのかも。何しろ多作な作家でもあるので、全部は読んでないし、また読めない)、ミステリー仕立てになっているのも特筆すべきだろうか。昨年キングがエドガー賞を受賞したのには、それこそジョコビッチが初戦敗退したのと同じくらいのレベルで驚いたが、キングという人にジャンルの壁はないんだなぁ。
リンダ・グレイ殺しの真相は少しだけフーダニット的にも仕上がっており、そのヒントとなるのがマダム・フォルトゥナの言葉。どれくらいの人が犯人がわかったのか、週末の読書会がちょっと楽しみ。
また、キング作品というと、小説よりも映画のほうが馴染みが多い方も多いだろう。なにせあのボリューム。キング自らが自分自身を「ベストセラー・サウルス」と評し、クジラのような小説を書くと言っているくらいなのだから。
だが、読んでみると驚くほどスイスイと読めるし、それ自体がかなり映像的視覚的であることにも気づきはしないだろうか。そのため、読者は自分のなかに映像を作りあげつつ読み進むことができるのだ。
人によっては「超長編は贅肉まみれで、中短編のほうがいい」ともいうが、私はその贅肉の部分も含めて愛しているけどな。肉も大事なんだってば(笑)
話が横に逸れてしまったが、キング作品が映画に失敗しがちなのは、あまりに映像的視覚的なせいかもしれない。キングの読者が、そもそも時間にも予算にも限界のある映画に満足できるわけがないではないか。
キング自身、キューブリック監督の「シャイニング」はとりわけお気に召さなかったようだが、キング自身が脚本、メガホンを撮ったものの出来もイマイチであったというから、そもそもキング作品は映画化に向いてないのだろう(笑)
とはいえ、「ショーシャンクの空に」「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」などはなかなかよい出来だとも思うけど。
- 関連記事
-
- ジョイランド / スタィーヴィン・キング (2016/08/08)
- 悪徳小説家 / ザーシャ・アランゴ (2016/08/04)
- 古書贋作師 / ブラッドフォード・モロー (2016/07/25)
- 無実 / ジョン・コラピント (2016/07/18)
- 埋葬された夏 / キャシー・アンズワース (2016/07/16)
category: ミステリ/エンタメ(海外)
tag: 海外ミステリ キング 文春 文庫