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 南アジアやアフリカの送電網がほとんど整備されていない地域で、電気のある暮らしが急速に広がっている。かぎを握るのは、太陽光パネルを使った簡素な機器と、低所得者層の実情にあった販売手法の組み合わせだ。貧困問題の解決はビジネスチャンスにもつながる。日本企業も本腰を入れ始めた。

 レンガ造りの家の中で、子どもたちが本を読んでいた。インド・ニューデリーの東約200キロにあるゴート村。明かりは、小さな太陽光パネルとリチウムイオン電池、LED照明を組み合わせたソーラーランタンだ。

 「ケロシン(灯油)の明かりは、暗くて煙で目が痛かった。これで夜も勉強できるようになった」。大学生のポージャ・チャンドラさん(18)と中学生のアカシュ君(12)のきょうだいは口をそろえた。家の外では母親のマヤさん(45)がもう1台で夕食の準備をしていた。

 送電線はあるが、電気がつくのは日に2~3時間。昨年末に2台買ってから、市場で野菜などを売って暮らす一家の生活は明らかに上向いた。夜も商売ができるようになり、収入が2割増えたという。約900世帯の集落では、ランタンの明かりの下で店を開いたり、工芸品を加工したりする人たちも目につく。

 この村で一番売れているのはパナソニック製だ。機能を絞って、価格を1500~2500円に抑えた。インド全体ではこれまでに約5万台売れた。

 ソーラーランタンはインドで年間約300万台が売れている。大半は欧米のベンチャー企業製。日本製はこれまで「機能や品質は高いが価格も高い」と敬遠され、もっぱら社会貢献として寄贈されてきた。そこにあえて参入したのが、パナソニック・インド事業開発センターの柿本敦さん(39)たちだ。

 電気が使えると、教育や健康も…

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