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【編集局から】
なぜ特攻が行われたか 真相究明が最良の慰霊
この夏、連載企画「歴史戦」の取材で、昭和12年10月に中国河北省正定でオランダ人のカトリック司教ら9人が殺害された「正定事件」を見直すにあたり、当時の史料の読み込みを行っています。そんなとき『忙中本あり』の著者でもある元国会議員の赤松正雄氏から紹介されたのが『戦争の罪と罰 特攻の真相』(芙蓉書房出版)でした。著者の畑中丁奎(ちょうけい)氏は大阪府内で教師をしながら、こつこつと防衛省防衛研究所が所蔵する記録などを読み込み、なぜ特攻が行われたかに迫りました。巻末の10ページ以上にわたる参考文献の数からも著者の熱意が伝わってきます。
特攻の評価にはいろいろな見方がありますが「真相が究明されることこそが最良の慰霊行為である」と畑中氏は強調します。私たちも同じような思いで連載に取り組んでいます。戦後71年目の夏が終わっても「歴史戦」は続きます。(編集局次長兼政治部長 有元隆志)