2016年の夏アニメ、前半戦の総括です。
括弧のない作品は6話までを扱います。それ以外は括弧書きで注釈を入れています。
2クール作品も扱いますが、今回は諸事情につき再放送は扱いません、ご了承ください。今期再放送勢はけいおん2期、SAO1期を視聴。
新作
あまんちゅ!
ダイビングを題材として日常アニメ。
予想していた以上にダイビングの描写が濃厚だった。それも高校の部活ということでかなり斬新な構成となっている。*1ゆるふわな日常を求めていたので少しがっかりしたが、むしろここまで作り込まれているのならこの路線で行っても構わないと思う。
ぴかり、てこの掛け合いはもちろん、途中から登場した二宮きょうだい(姉ちゃん、弟くん)の存在もいいスパイスとなっている。姉ちゃんが熱血キャラだったのは意外だったかも。
一方、所々にキャラの顔をデフォルメさせる描写が見られる。少々使いすぎな気もするが、可愛いので許す。ただ使いどころには気を付けて欲しい。
テンポはゆっくり。作画も終始安定。「いけないコト」などもはや薄い本の素材にしかならない刺激的なサブタイトルも気に入っている。
モブサイコ100
「ワンパンマン」のONE原作の最新作。
ワンパンマンが面白かったのと、放送前の評判が高かったこともあり本作には大いに期待していた。実際1話はかなり面白かったが、2話以降がやや尻すぼみになってしまった印象。会話パートが長すぎて退屈気味な回もあった。5話における、ナレーションの解説が多すぎて話に捻りが無さ過ぎたのも気になった。
ただバトルシーンのクオリティは非常に高かった。作画も粗いながらもその粗さが逆に本作の面白さを引き立たせてくれたのかなと思う。モブの超能力がサイタマのワンパンとは違った強さを見せており、前者との差別化も十分にできていた。
甘々と稲妻
やはり、つむぎちゃんの可愛さに癒された。園児特有の気まぐれなども含めて、丁寧に描写されていたのは大きく評価したい。そして本作の本題である料理シーンも素晴らしい出来だった。パパと小鳥ちゃん主体ながらも、所々つむぎちゃんに手伝わせており「親子で料理している」感が出ているのが良かった。序盤に合った、申し訳程度のラブコメ要素があまり機能していなかったのが少々気がかりだが。
ただ、3話辺りから作画の崩れが多々見られた。制作が同じReLIFEでも作画に不安を抱えており、今後も崩れないかという懸念がある。
毎話変わるアイキャッチ、主題歌も良好の出来。今期も癒しアニメが多い中本作は上位争いを演じている。
NEW GAME!(7話放送済み) ★
今期のきらら枠、ゲーム会社を舞台とした日常系作品。
職場を舞台にしながらも、きららアニメらしくゆるふわな雰囲気で物語は進行。「がんばるぞい」は4話に登場、ほぼ原作準拠のタイミングで出してきた。制作側は内容に自信があるからこそ、このタイミングでぶつけてきたと思われるが、後半もこのクオリティを維持できるかが本作の勝負所である。
一方で、新入社員ながら9時まで働かせたり、残業させたりなど「ブラック企業」的な一面も見せた。シリアスを排したきららアニメとはいえ、社会人の視聴者も多いためここは慎重に扱わなければならないと思う。ただ私自身はまだ学生なので分からない所も多い模様
またテンポの遅さも気になる。内容自体は原作準拠であるものの、6話でやっと1巻を使い切るのはどうかと思う。原作は5巻まで出ているのでもっとハイテンポに進めて欲しかったと思う。
当然のことながら作画は安定。激しく動くこともないので判断材料にはなりにくいものの、安定している事に越したことはない。
ReLIFE(8話放送済み)
今期一番手。10年前の体になって高校生活に戻る設定に期待して見始めたが、ここまではいまいちだったかなと思っている。2話辺りまでは良かったが、それ以降はネタ切れ感が出てきたのかなと感じている。話が進むたびリライフ研究所の真相があきらかになっていくが、これがどう海崎に絡んでいくのだろうか。
EDには毎話90年代の名曲を流す手法を採用した。EDを飛ばさせない工夫ができている点においては評価したいが、ぶつ切りに関してはどうにかならなかったのだろうか。
ラブライブ!サンシャイン!!(8話放送済み)
「ラブライブ!」の新プロジェクトのアニメ化作品。
「Aqours」メンバーはまだ9人集まっておらず、1~2年組6人での活動が続いている。個人的には、μ'sより個性に磨きのかかったキャラ達、無印との時系列など、考察しがいのある要素も多くここまで楽しめている。
小物にμ'sを出すなどファンサービス満載。ただ、内容の二番煎じ感がどうしても気になる。「スクールアイドル」になる動機に明確な違いがあったりファーストライブの展開に捻りを入れたり差別化を図ろうと頑張っているが、やはり細かいところで無印と被ってしまう。そして6話ではやはり廃校ネタを使ってしまった。廃校アニメ自体は嫌いではないが、廃校設定に頼ってほしくなかったと思う。
また、無印では終始安定していた作画も本作では崩れ気味。ここは後半の巻き返しに期待したい。そして9人集まるのはいつになるのか。9話次回予告でも3年組が入るカットは無かったので、9人そろって終わる感じなのだろうか。
Rewrite(第1クール、7話放送済み)
「key」最新作。2クール以上で放映されることが決まっている。
話題度こそ高いが、個人的にはあまり心を打たれなかったというのが第一印象。元々keyアニメ慣れしていないためというのもあるが、どう楽しめばいいかよく分からない。
一方で作画に大きな不安を抱えている。静止画でさえも不安定なのに、毎話大丈夫か?としか思えない。
クオリディア・コード
途中参戦、2話よりリアルタイム視聴。
3人の原作者とレーベル、2つの出版社から成る原作の販売手法が特殊だったので、アニメでも一捻りのある内容を期待していたが、蓋を開けてみれば普通のラノベアニメだった。東京・千葉・神奈川の3勢力がどのようにアンノウンを攻略するのかが本作の見どころかもしれないが、個人的にあまり楽しめなさそうな内容だったと感じている。また毎話アンノウンを倒すだけの単調な展開に飽きを感じさせてしまうのも気になった。他、6話の回想ももっとコンパクトにできなかったのではと思う。
また、作画が不安定であるのと、エフェクトの使いまわし具合が酷いのも気になった。さらに本編のクオリティに合わない主題歌歌手陣(OP:LiSA、ED:ClariS※4話まで)と難のある仕上がりになった。
ヒロイン死亡や露骨なフラグ立てをするなか、後半はどのような展開になるのだろうか。
91Days
オリジナルアニメ。1920年代のアメリカを舞台とした作品で、「禁酒法」の下での権力争いが濃密に描かれていた。
高品質な銃撃戦に毎回しびれさせた。特に6話での、ネロが死んだふりしてオルコをハメた描写が印象に残っている。4話では本筋からそれた、いわゆる「休息回」だったが、本作の雰囲気を壊すことなく進行していたので良かった。
ちょっと難しいので理解に時間を要したが、何とか大筋は掴めている感じ。話題度こそないものの、個人的にはかなり楽しめている。後半の展開にも大いに期待したい。
この美術部には問題がある! ★
中学の美術部を舞台とした部活ラブコメ。
中学生特有の初々しいラブコメ要素と安定したギャグセンスを高く評価したい。特別目新しさはないものの、ここまで安定した面白さを見せている。個人的には4話の「缶接キッス」を神回認定したい。
美術部を舞台としているアニメなので作画も重要だが、こちらも問題なし。feel制作のアニメは安定しているので今後も安心して見られそうだ。
原作との相違点はコレットさんの登場タイミングを除けばあまり見受けられないが、原作を読んでいたときとアニメを見た時で雰囲気のずれがあったかなと感じられた。アニメも特別出来が悪いわけではないが、もっと原作の雰囲気を大切にしてほしかったと思う。
OPには水樹奈々、EDには上坂すみれと有名アニソン歌手を採用。ただ、聞き重ねるたびに本作の雰囲気と合ってないのではと気になった。でも5話の挿入歌は良かった。
レガリア(※4話をもって放送休止)
オリジナルロボットアニメ。
1話の展開こそ微妙だったが、2話以降面白さが加速、「百合」×「ロボット」の融合が素晴らしいと感じた。バトルシーンはCG不使用で全て手書き、非常にキレのあるバトルで見応えがあった。キャラデザ、メカデザはおおむね良好、作画も崩れず問題なし。
ただ、本編中では理解しづらいストーリーや、3話で突然屋台が出たり日本食が普通に出てくるあたり設定の詰めの甘さが見られた。前述のように、西洋風の建築様式が並ぶ現代国家という舞台設定が上手く生かし切れていないのも気になった。
こういった「萌え×硬派ジャンル」のアニメは前期の「ハイスクール・フリート(はいふり)」を思い出させるが、こちらははいふりとは違い、30分に萌えとシリアスの両方を詰め込んできた。実際両方楽しめることには満足である。ただ15分になっただけで、このままだとはいふりの二の舞にならないかと言う懸念もある。
一方で、3話終了後に4話を以て1ヶ月間の放送延期が発表された。クオリティの都合とされているが、本作スタッフのtwitterからアニメーターの給与未払い問題による説も浮上している。延期は残念なことだが、9月以降の仕切り直しに期待したい。
DAYS(第1クール)
高校サッカーアニメ。4話放送前に2クールで制作されることが決まった。
序盤はやや期待外れな展開が続いたものの、5話の試合回辺りから面白くなってきた。サッカーの競技描写よりも、「青春」あるいはスポ根要素を描くところに力が入っており、サッカーを知らない人でも十分楽しめる内容であるのは評価したい。
つくしと風間の友情描写はやや腐女子狙いな点も見られるが、さほど露骨でもないので腐向け嫌いでも特別抵抗感を持つことはないと思われる。
ただ、作画にやや不安を抱えている所は気になる。今後試合回が続く中で作画が崩れないかどうかが本作の正念場となるであろう。
継続
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない(第2クール、全3クール、20話放送済み)
第2クールに入り早速、岸部露伴が登場。今後仗助たちとどう絡むかが気になる。
第1クールに続き内容自体は敵スタンドを撃破し杜王町の謎を探る内容が続いている。一見単調そうだが、毎回仗助たちの高度な頭脳戦が展開されるので見ていて飽きさせない。クレイジーダイヤモンドも戦闘目的だけでなく、治癒能力をフルに生かしている所も感心したい。
4部に限ったことではないが、単に面白い、迫力があるだけではなく、考えさせられる(特に露伴の発言)要素も多く、作り込まれているなと感じる。
OPも第2クールに合わせてチェンジ。神風動画が絡んでいないため映像はやはり微妙だが、曲自体は決して悪くない。
Re:ゼロから始める異世界生活(第2クール、19話放送済み)
今期話題沸騰の本作。第2クールに入り「第3章」のストーリーが展開されている。
第2章では戦闘シーンで足を引っ張ったスバルだが、第3章では頭脳面でもその未熟さを露呈した。王選の候補たちから交渉を拒否され虚を突かれ、魔女には肉体的、精神的絶望を見せられた。メンタル的にも限界を超える展開が続いたが、これができるのも本作の特権。失敗してもやり直せる「死に戻り」設定がフルに生かされている所を大いに評価したい。そして19話からはいよいよ反撃がスタート、白鯨にどう立ち向かうのかが非常に楽しみである。
第2章より、レムはヒロインぶりをフルに発揮。第3章ではさらに、スバルを守る「信念」あるいは「愛」が深く描写されていた(特に18話)。
また、第2クールに入り声優の演技力の高さをうかがわせるシーンが多く見られた。スバルやレムらの絶望感を強く訴えかける演技にはグッと来た。人気声優陣が「人気」だけでなくその「実力」を見せた所にも評価したい。
OPは前期EDを担当したMYTH&ROID、EDにエミリアの声優(高橋李依)を起用。前期同様カットされることが多く、なかなか聞けない。ただ前期と違いOPに特別な演出(ループ再生で一巡する演出)があるわけではなくごく普通のOPになってしまったのは残念。
クロムクロ(第2クール、20話放送済み)
P.A.WORKS制作のオリジナルロボットアニメ。
第2クールはエフィドルグとの戦いに主眼を置くストーリーが続いた。特に、姫に酷似したエフィドルグ「ムエッタ」と剣之介の関係が深く描かれており、19話では剣之介とムエッタがクロムクロを操縦する展開で終わった。20話以降は由紀奈救助へのクライマックスとなるが、それと同時に本作の謎(クロムクロが何故戦国時代から存在したのか、黒幕の正体、エフィドルグの目的等)も明らかになるのだろうか。
ただ所々で脚本のガバガバさが見られるところは気になった。個人的には剣之介が姫を助ける展開にご都合主義な感じがして雑だなと思った。また富山推しな要素と本作の内容もうまく嚙み合っていない所にも不満が残った。
バトルシーンは前半クール同様緊迫感のある展開で見応えがあった。17話では空中戦も展開、やはり空中戦になるとクロムクロも一段とかっこよくなった。ただクロムクロ単体で飛行できないのは惜しい。
OPとEDは第1クールから変えているが、やはり疾走感や作り込みに欠けていると感じる。特にEDは第1クールに続く手抜き仕様、ここはどうにかならなかったのだろうか。
シーズン総括は10月初旬うp予定。