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29日から非公式会議 議論本格化

 【ブリュッセル八田浩輔】英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことを受け、EU側は早期の離脱交渉の開始を求めている。正式な交渉は英国がEUに離脱を通告した時点から始まるため、当面は通告時期を巡る英側の対応が焦点だ。英国を除くEU加盟国は、29日に開催する非公式の首脳会議で英離脱に関する議論を本格化させる。

     「『離婚の手続き』を協議する」。欧州理事会のトゥスク常任議長(EU大統領)が24日に加盟国首脳に送った首脳会議の招待状にはこう書かれていた。29日に英国を除く27加盟国で、EUの基本条約に沿った実務的な離脱手続きやEUの将来像について話し合うとの連絡だ。英離脱は今回の首脳会議で「主として時間を割く必要がある」問題との認識も伝えた。

     基本条約などによれば、英国は離脱通告後、加盟国としての権利を失うまでの2年間で、EUからの離脱協議と並行して貿易協定など新たな関係について合意する必要がある。EUにとっては、難民問題など他の懸念を抱える中で英国との交渉に相当な労力を費やさなければいけない。EU側や加盟国がいらだっているのは交渉開始のボールが英国側にあり「政治的圧力」でしか交渉開始を早める手段がないからだ。

     キャメロン英首相は24日の声明で辞任を表明し、10月までに選出される次期首相にEUとの交渉を委ねると説明した。一方、次期首相候補で離脱派を率いたジョンソン前ロンドン市長は同日、EUへの通告について「急ぐ必要はない」「短期間では何も変わらない」との認識を示した。

     英国内には、交渉期間が短いと自国に不利な条件でも受け入れざるを得ないとの警戒論がある。EU筋によると、離脱が発効するまでの間はEU加盟国であるため、米国など第三国と単独で貿易協定などに関する交渉は行うことはできないという。

     EUは24日、英国に対し「相当な苦痛が伴うものとなっても、国民が下した決定を早急に実行することを期待する。(交渉の)遅延は不確実性を必要以上に長引かせる」とする共同声明を発表。英国離脱のショックを早期に収拾し、他の27カ国の結束強化を図る考えだ。

     28、29両日にブリュッセルで予定されているEU首脳会議では、初日は公式会議で難民問題などを協議。その後の夕食会でキャメロン首相が国民投票の結果や英国内の状況について説明する。公式の離脱通告にはあたらない。

    英出身の委員が辞任

     一方、EUの行政執行機関である欧州委員会の大臣に相当する英国出身のジョナサン・ヒル委員(金融市場担当)が25日、辞任を表明し、受理された。

     ヒル氏は声明で「英国出身の欧州委員として何も無かったかのように業務を継続できない」と説明した。

     欧州委の資料によると、短期契約も含めた英国籍の行政職員は全体の3.8%に相当する1126人(今年2月現在)。加盟国の国籍を持つことが採用の条件で、離脱後の処遇問題が浮上している。

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