初公判で「無罪を主張します」
2014年2月の東京都知事選を巡り、自陣営の運動員に違法な報酬を配ったとして、公職選挙法違反(運動員買収)に問われた元航空幕僚長、田母神(たもがみ)俊雄被告(67)は27日、東京地裁(家令和典裁判長)で開かれた初公判で「無罪を主張します」と述べ、全面的に争う姿勢を示した。
紺色のスーツ姿で入廷した田母神被告は、4月の逮捕前より少しやせた様子だったが、はっきりした声で用意した文書を読み上げ「お金を配ったこともなく、共謀もしていない」と強調。「多くの皆様にご迷惑をかけ誠に申し訳なく思っている」と謝罪した上で、「道義的な責任は感じているが、起訴状に書かれているようなことはない」と訴えた。
検察側は冒頭陳述で、元選挙対策事務局長、島本順光(のぶてる)被告(69)が貢献度に応じて報酬額を決めたリストを作成し、田母神被告が了承した上で、応援演説などをした元自衛官の友人らにも報酬を配ることや、一部協力者の報酬を増やすことを指示したと指摘した。弁護側は次回以降に冒頭陳述する予定。
島本被告は自身の公判で無罪を主張し、元出納責任者の鈴木新被告(58)は起訴内容を認めている。
起訴状によると、田母神被告は、島本、鈴木両被告と共謀し、14年3月中旬〜5月上旬、投票を呼びかけた報酬として運動員5人に計280万円を払ったほか、事務を統括して選挙運動をした報酬として、同3月中旬に島本被告に200万円を払ったとされる。【近松仁太郎、飯田憲】