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斉木楠雄のΨ難 番χ編 Ψ先端のVRゲーム

作者:門倉翼
 燃堂と共にSAOの世界に飛んだ斉木は――!?

※『斉木楠雄のΨ難』と『ソードアート・オンライン』を勝手にコラボさせた二次創作です。
 僕の名前は斉木楠雄。超能力者だ。
僕は生まれた時からステータスが飛び抜けており、また全てのスキルを有していたため、レベルアップした喜びや新たなスキルを手に入れた達成感というものを味わった経験がない。まあ、最近ではそんな平穏な人生も悪くはないと思っているのだが、これは一体何なのだろうか。
『ソードアート・オンライン』(略称SAO)。ナーヴギアというヘルメット型のゲーム機を頭に装着することにより、脊髄の情報をシャットダウンし、寝たままの体勢で異世界に飛べるという、時代の最先端を行く画期的なゲームは。
 もしかしたらこのゲームならば、僕の持つありとあらゆる超能力、例えば透視により服や肉が透けたり、テレパシーにより200メートル以内にいる人の心の声を聞いたり、そういうことが一切なくなり、本当のレベル1の、常人としての状態からゲームを堪能することができるのではないだろうか。
 何という夢のあるゲームだろうか。SAOは、川原礫先生が僕の為に考案してくれたといっても過言ではない(※過言です)。これはさっそく手に入れなければならない。近くの中古屋を回って、一番安いハードとソフトを買うとしよう。
 しかし、テレパシーにより店員や客から内容のネタバレを食らう恐れがあるため、ゲルマニウムリングを指に嵌めておこう。これを嵌めてしまえば、僕のテレパシー能力は一時的に失われるのだ。また、サイコメトリーも危険なため、いつも通りだが透明の手袋を嵌めておこう。よし、これで準備は万端だ。あとは中古屋に行けば――
「おう、相棒。SAOしようぜ。お?」
 何故だか燃堂が僕の部屋に入り込んできた。というよりも、普通に不法侵入ではないか。玄関のドアに鍵を掛け忘れたのだろうか。ちっ。しかし、好都合だ。燃堂はハードとソフトを二人分持って来てくれたようだ。何だ。たまには気が利くではないか。見直したぞ、燃堂。よし、燃堂と一緒にフルダイブするのは癪だが、乗り掛かった舟だ。この際、初心者である僕に操作方法などをレクチャーしてもらおう。
「何かよお、これ被って『リンゴ・フルーツ』っていうとフルダイブできんだぜ。俺っちはもうレベル2まで行ったんだぜ。すげえだろ」
 それを言うならば『リンク・スタート』だろう。しかし、言い間違えても飛べるというのは凄い。勿論、燃堂が、ではなく、制作スタッフが、だが。また、レベル2くらいならばスライムを五匹も倒せば普通になれるだろう。何の自慢にもならない。しかし、ゲームとはいえ燃堂如きに先を行かれるのは癪だ。
見せてやろう、超能力者の力をな……!
「じゃあ、行くぜ! ゴリラ・デザート!」
『リンゴ・フルーツ』じゃないのかよ。どんどん『リンク・スタート』から離れて行っているぞ。しかし、燃堂はぴくりとも動かなくなった。もうフルダイブしたのだろう。それならば僕も言うとしよう。リンク・スタート!(※言ってない)

 何とリアルな世界観だろうか。殆ど現実と変わらないではないか。設定としては中世ヨーロッパに近い感じなのだろうか。
「おう、相棒! 早く一狩り行こうぜ! イャンクックなんて楽勝よ!」
 それは違うゲームだ。やれやれ。まあ、僕はこのゲームについては何も知らないため、ここは黙ってこの馬鹿に付いて行くとしよう。それにしても、本当に心の声が聞こえない。試しに建物の壁や地面などに触ってみても、何も読み取れない。本当に、この世界にいる間は僕は超能力の呪縛から解き放たれたのだ。
「おう、相棒。何泣いてんだ? ションベンでも漏らしちまったのか?」
 泣いてないし漏らしていない。涙も尿も。しかし、ここは一体どういう世界なのだろうか。僕はSAOのことをタイトルくらいしか知らない。まあそれは僕が、この日の為にネタバレを華麗に回避してきた甲斐あってのことだが。
「おう、とっととモンスター倒してレベル上げようぜ。攻略組のイモトって奴に追い付かねえとな」
 何だ。最近は珍獣ハンターもゲームをやるのか。そう、RPGの醍醐味といったらモンスターとの戦闘だろう。しかし、レベル1に初期装備の僕がいきなり強い敵と戦っては、すぐに死んでしまうだろう。ここはスライム相当の敵と戦って、着実にレベルを上げていくとしよう。
「ここら辺はザコばかりだからつまんねえぜ。もっと強い敵が出るとこ行こうぜ」
 馬鹿言え。いくら体力馬鹿の燃堂と超能力者の僕のコンビとはいえ、このゲームの中ではレベル2と1ではないか。ここはザコモンスターを狩りまくって、レベルを上げることが先決だろう。
「ん? ああ、確かにな。死んでばっかいると、せっかく溜めた経験値が減っちまうしな。じゃあ、チョコボとかモーグリ辺りを殺すか」
 FFのマスコットキャラを殺すな。これはSAOだと何度言ったら解るんだ。全く。
「何か相棒とションベンの話してたら、ションベンしたくなってきたぜ。一旦落ちるわ」
 僕はお前とションベンの話などしていない。だがまあいい。燃堂が落ちている間に、僕だけでレベル上げに励むとしよう。要は剣でモンスターを斬り倒せばいいのだろう。どうやらこのゲームでは反応速度が命のようだが、僕はそれすらも神懸かっているのだ。
「お? ログアウトボタンがねえぞ? おお?」
 馬鹿な。そんなはずはないだろう。よく探せ。仕方ない。僕の方もウィンドウを開いて――ない。いや、ないはずがないのだが――ない。どこにもない。ログアウトするためのボタンが――存在しない。これはどういうことだろうか。運営に問い合わせてみるか?
 しかし、この時の僕達はまだ気が付いていなかった。これが一人の男の陰謀だったということに。〈完〉
 燃堂と共にSAOの世界に飛んだ斉木は――!?

※『斉木楠雄のΨ難』と『ソードアート・オンライン』を勝手にコラボさせた二次創作です。

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