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国や自治体の政策は、現実を見据えて検討するのが当然の原則だ。甘い前提と…
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国や自治体の政策は、現実を見据えて検討するのが当然の原則だ。甘い前提と試算を出発点にするなら、単なる「期待」や「願望」にすぎない。
日本にとって最大の懸案の一つである財政再建では、とりわけ厳しい現状認識と見通し、着実な実行が大切になる。
ところが政府は、ますます「期待」頼みの姿勢を強めているといわざるをえない。
甘い前提の試算を示し、具体的な取り組みを欠いたまま、達成が見込めない高い目標を「堅持する」と繰り返している。中長期の経済財政試算と財政再建の話である。
指標となる基礎的財政収支(PB)は、15年度は国と地方の合計で15・8兆円の赤字だった。政府はこれを20年度に黒字にする目標を掲げており、国際会議でも再三強調してきた。
政府が発表した最新の試算によると、19年10月に延期された10%への消費増税を織り込み、歳出が一定のペースで増えていくと仮定すると、20年度には5・5兆円の赤字が残る。
5年間で赤字が10兆円減るなら、もうひと踏ん張りではないか。そう考える人がいるかもしれない。だが、現実は甘くはない。歳出と歳入の両面で、試算が甘すぎるのだ。
まずは歳出である。物価上昇率などに基づき、高齢化に伴う社会保障費の増加を含めて推移をはじいたが、一方で社会保障改革で歳出がある程度抑制される効果を見込んだ。しかし、どの制度をどう見直すのか、国民に痛みを強いることになる改革の具体的な内容は手つかずのままだ。
歳入についてはさらに問題が大きい。税収は所得税や法人税を中心に経済成長に左右されるが、毎年度の成長率は実質で2%以上、物価変動を加味した名目では3%以上になることを試算の前提としている。
しかし、足元の13~15年度の実質成長率の平均も、経済の実力である潜在成長率についての政府の見立ても、ともに0%台にとどまる。それらと比べて高すぎる。その分だけ税収がかさ上げされ、PB赤字は縮む計算になる。
成長率を高めて税収を増やす努力は財政再建に必要だ。一方で、歳出を不断に見直し、少しでも抑制・削減していくことも欠かせない。
高めの成長と税収増への期待によりかかり、歳出の見直しには及び腰。そんな姿勢で「20年度のPB黒字化という財政再建目標を堅持する」と言い続けても、説得力は生まれない。
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