つれづれイタリア~ノ<77>200kmじゃ物足りない? イタリア全土で過激化するグランフォンドの魅力とは
世界中が終焉を迎えるオリンピックに目を向けていますが、本日スペインではグランツールの一つ、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が始まります。そしてイタリアでは数多くの自転車競技大会や、アマチュア向けのサイクリングイベントが行われています。
「ツール・ド・沖縄」級の市民大会が年間100回以上
イタリアでは日本と比べて数多くの自転車ロードレース競技大会が行われています。当コラムの過去の記事「『迂回路に高速道路』と即断 ロードレースの安全を支えるイタリア警察の機動力」で説明したように、イタリアの警察の理解と長い歴史のおかげで比較的に簡単に道路使用許可状を受け取ることができるからです。衰えを見せない自転車ブームに乗って、一般市民レーサーが参加できる大会は数も種類も増え続け、グランフォンドと呼ばれる大会が以前と変わらず人気を博しています。
2月から10月にかけてイタリア全土で100を超えるグランフォンドが行われ、もはや「飽和状態」ともいえるほどですが、参加者が減る兆しはありません。イタリアの美しい景色とおいしいエイドステーションのフードをめがけて、海外からの参加者も増えているからです。日本国内で例えると、日本各地で毎年100回「ツール・ド・沖縄」級以上の市民大会が行われている状態です。中でも人気が高いのが、以下の大会です。
イタリアで人気のグランフォンド
・ノヴェ・コッリ(9つ峠大会)
開催時期:5月上旬、開催回数:●回、距離:200km、参加者:1万2000人、獲得標高:3840m
・マラトナ・ドレス・ドロミテス(ドロミテ自転車サイクルマラソン)
開催時期:7月上旬、開催回数:30回、距離:128km、参加者、9000人、獲得標高:4230m
・ラ・ピナ(ピナレッログランフォンド大会)
開催時期:7月中旬、開催回数:20回、距離:158km、参加者:5000人、獲得標高:3034m
※グランフォンド大会の規定(イタリア自転車協会サイトより2014年版)
走行距離:120~200㎞、獲得標高:2000~4000m
ご覧の通り、距離と獲得標高がきつければきついほど参加者が増える傾向があるようです。サイクリングイベントも同様です。過酷を極めるサイクリングイベントといえば、10月トスカーナ州キャンティ地方で行われるエロイカ大会。スチール製のヴィンテージバイクに乗りながら、プロもいやがるアップダウンを走破する大会です。
世界で最も過酷な大会の1つ「1001マイル イタリア」
グランフォンドに満足できず、さらにより過激な大会を求めるアマチュアレーサーの増加に伴い、距離、強度を極限にまで高めている大会も増えています。以前にここで紹介した「ウルトラサイクリング・ドロミティカ」のほか、さらにエスカレートしたサイクリング大会が開催されています。その名前は「1001miglia Italia(1001マイル イタリア)」です。
今年で4回目の開催を迎えた大会ですが、「Les Randonneurs Mondiaux」(世界ランドネ大会協会)に加盟し、世界でもっとも過酷なサイクリングイベント大会の一つとなっています。
1001miglia Italia(1001マイル イタリア)
開催日程:2016年8月16~22日
距離:1616km
獲得標高:1万5978m
制限時間140時間
エイドステーション:14カ所
ベッドつきの休憩スペース:10カ所
参加費:185€
定員:600人
開催日程をみてわかるように、まさに現在進行中のイベントです(2016年8月20日現在)。今年はおよそ500人が参加し、日本、韓国、台湾を含め37カ国のライダーがスタートラインに並びました。ミラノ北部にあるネルヴィアーノ市をスタートとし、イタリア中部の山岳地帯を目指してネルヴィアーノ市に戻る1616kmのコースです。現在、公式フェイスブックのページで大会の様子を確認することができます。
大会の魅力は景色の美しさとルールの厳しさにあります。距離はもちろんのこと、獲得標高1万5978mという条件が魅力的。さらに、ショートカットなどの不正を避けるため、発覚した場合、実行委員会が参加者全員に申告を義務づけています。ペナルティが時間として加算され、悪質な場合は5時間のタイム追加、または大会からの追放です。
ペナルティの例
フロント・バックライトのつけ忘れ:1時間
交通ルール違反:1時間
走行中の携帯電話の使用:1時間
参加者以外のサイクリストのドラフティング行為:1時間
反射材付きベストの無着用:2時間
公式サポートカー以外からサポートを受けた場合:5時間
このレースが終わったら、イタリアは確実に秋の足音が聞こえてきます。そしてヴィンテージバイクイベントが一気に増える季節です。
イタリアへ行く機会があったら、ぜひともサイクリング大会の開催日程に合わせて行ってみてください。旅の楽しみが倍増します。
東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ」
フォトギャラリー
- 「1001マイルレース」中、レストランで食事をとる参加者 ©1001miglia Italia
- エントリー会場はネルヴィアーノ市の修道院 ©1001miglia Italia
- ブラジル人の参加者 ©1001miglia Italia
- 台湾人の参加者 ©1001miglia Italia
- 日本からの参加者 ©1001miglia Italia
- 「1001マイルイタリア」の地図 ©1001miglia Italia
- 選手に欠かせないタイムテーブル ©1001miglia Italia
- 16日、21時にスタートラインに立つ参加者 ©1001miglia Italia
- 16日、21時にスタートラインに立つ参加者 ©1001miglia Italia
- 疲労困憊で倒れる選手たち。場所をかまわず体を休めます ©1001miglia Italia
- 16日、暗闇の中で走る参加者 ©1001miglia Italia
- ローマ北部にある古代ローマの橋。「1001マイル イタリア」の通過ポイント ©1001miglia Italia
- 朝の光を浴びながら疾走する選手たち ©1001miglia Italia









