由緒ある英国の郵便事業ロイヤル・メールは、2018年以降、従業員の確定給付型年金を維持できなくなる可能性があると述べた。同社はこのドラスチックな措置を取る唯一の企業ではないだろう。年金基金が将来の給付金支払い能力を計算する際に使う国債利回りは急落している。このことは、世界中の年金制度を危機に陥れている。
確定拠出型年金に入っており、自分が払い込んだ掛け金の利益で退職後の生活をまかなわなければならない人たちにとっても、年金給付利率の大幅下落は、厳しい将来の見通しを意味している。
年金を取り巻く暗い光景は、先進国の労働者の生活が悪化した一つの側面だ。経営幹部の報酬が急増する一方で、大半の人の実質賃金は停滞している。
ここに自動化やアウトソーシング(業務の外部委託)、低コスト競争から生じる雇用喪失を加えてみよう。すると、従業員が不満でやる気がなく、不信感を持っているとさまざまな調査が示しているのは意外ではない。
■機械的に働いているだけ
PR会社エデルマンが毎年実施している信頼度調査「エデルマン・トラストバロメーター」の最新版によれば、大勢の労働者がもはや自分が働いている会社を信用していない。日本では、勤め先を信用している人が40%しかいなかった。フランスでは48%、英国では57%だ。米国では従業員の3分の2近くが勤務先を信用しているが、この数字は米国のほかの悲観的な調査と比較してみなければならない。
米国の労働者を対象としたギャラップの最新の世論調査は、34.1%の人が「意欲的に従事」していることを示していた。「情熱」を持って働き「勤務先と深い結びつき」を感じているといえる。このほか、16.5%は「積極的に無関心」だった。つまり、単に不満なだけでなく、同僚の仕事を損なっている人たちだ。
49.5%を占めた最大のグループは単に、意欲的でなかった。精神的に「チェックアウト」しており、ただ機械的に働いているだけだ。この数字はそれほど悪く思えないかもしれない。3分の1以上は仕事に熱意を持っており、その他多くの人も、少なくとも誰の邪魔もしていないからだ。