函館山の裏側って何があるの? 漁船クルーズで知られざる函館の秘境へ
函館山というと、夜景をはじめ、山麓に広がる異国情緒溢れる街並を思い浮かべる方が多いのでは。でも、山の裏側ってどうなっているか知っていますか?なんとそこには、賑やかな函館の街並からは想像もつかない知られざる光景が…!?漁船に乗って、函館の秘境を海からリサーチ!
函館山の裏側へは船でしか行くことができない!
函館山は、街並が広がる方角は陸地に面していますが、それ以外三方を海に囲まれています。街中から函館山の裏側へ通じている道路もありません。つまり、函館山の裏側へは、船でしか行けないのです。だからこそ、一般的にはあまり馴染みがない場所なのです。
そこで、海のプロ、漁師さんに漁船で案内してもらいました!
今回乗船したのはイカ釣り漁船の「白姫丸」。本業のイカ釣りの傍ら、函館山の裏側を船上から眺めることができる「函館 漁船クルーズ」というアクティビティを開催しています。
函館漁港から往復約1時間の船旅。いざ、知られざる函館山の裏側へ!
街並が途切れると、そこは断崖絶壁の海岸!
救命胴衣をつけて漁船に乗り、函館漁港を出航しました。赤い小さな燈台や函館どつくが後方へと遠ざかり、左手には函館山の麓に広がる外国人墓地が見えてきました。右手は、コンテナ船やフェリーなどたくさんの船が浮かぶ函館湾。その先には北斗市上磯のセメント積み出し設備や山並みを一望。潮風に吹かれ眺める函館沖合の風景、とても爽快!
船が進むにつれ左手に見えていた外国人墓地の風景は後方へ移り、左手に見える建物がまばらになり、ついに建物は何も見えなってしまいました。見えるものは、海と山!
右手や後方を振り返れば、船が行き交う賑やかな海と、函館や北斗の街並が続く海岸線。左手や前方を眺めると、函館山から海へと落ち込む断崖絶壁の海岸線。右後方と左前方の眺めのあまりのギャップにビックリ!
断崖絶壁の海岸線に、人が住んでいた痕跡が!
さらに進んでいくと、崖の中に人工物らしきものがありました。近づいてみると、洞窟をまたぐようにかけられていた吊り橋の跡。
1950年代まで、この先には寒川という集落があり、そこまで通じる道が断崖絶壁の海岸線沿いにあったそうです。しかし、1954年の洞爺丸台風の時に大きな被害を受け、その後人が離れて集落はなくなりました。
この吊り橋は、函館の街中から集落へ通じていた、いわば当時の生活道路の一部。冬の嵐の日などどうしていたのだろうかと、過酷な環境を案じてしまうようなロケーションです。
この付近だけ見ていると、とても函館の街中からほんの少し進んだ場所とは思えない光景です。

さらに少し先まで船が進むと、左手には寒川集落の跡が見えてきました。建物は何もありませんが、石垣などが残っている様子ははっきり見えました。
斉藤さん曰く、石垣の上には小学校があったのだとか。岩が転がる海岸線、背後はほぼ垂直に近い崖に生い茂る緑。ここに学校ができるほどの規模の集落があったとは、全く想像つきません…。
いよいよ函館山の先端、大鼻岬へ
寒川地区を過ぎると、函館山の先端、大鼻岬が見えます。岬をぐるりと回ると、その先には観光地として有名な立待岬や、さらに先には湯の川温泉の街並が!
訪れた日は晴天だったものの霞が出ていたのではっきり見えませんでしたが、空気が澄んでいる日は青森県の下北半島や津軽半島、北海道の恵山や知内の矢越岬なども見渡すことができるそうです。これは絶景に違いありません!
ここで船はUターン。今度は右手に函館山の裏側の海岸線を、左手にはタンカーや船が行き交う津軽海峡と函館湾を眺めながら、函館漁港へと戻っていきました。
函館山の裏側には、人を寄せ付けない過酷な自然環境を彷彿させる遺構と、自然が作り出す造形美を感じる断崖絶壁がありました。この山の反対側には、カメラを持った観光客が多数闊歩している異国情緒溢れる街並があるとは、想像もできません。函館山の表と裏では、全く違う顔を持っているのですね。
函館の街中からほんの少し進むだけで眺められる大自然。ちょっとした探検気分で楽しめる漁船で行く秘境の旅。好奇心旺盛な皆さん、これは乗るべし!オススメですよ!
取材・写真・文/北海道Likersフォトライター nobuカワシマ
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