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子育てイルカが笛を吹く

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4歳以下の子を持つ親は必読!娘(2歳)が原因不明の病気「川崎病」で入院した話

子育て 子育て-病気

先月娘が1週間ほど入院しておりました。

診断名は「川崎病」というものです。初めて聞くという方も多いと思います。僕自身も今回の入院で初めて川崎病について知りました。

この病気は今だに謎が多く、感染経路などの原因は不明。およそ100人に一人くらいの割合でなる病気と言われているそうですが、近年は徐々に増えてきているそうです。(同部屋にも一人いました)

原因不明の病気とはいえ適切な処置さえすれば娘のようにすぐに退院でき、発症から10日後には保育園にも復帰できるようになります。しかし、初期症状が風邪とよく似ており、対処が遅れると合併症が誘発されやすい病気で、それによって入院期間が長引くこともあります。

そこで今日は川崎病の諸症状や入院経験に基づいた体の変化や処置などを記録したいと思います。

小さなお子様をお持ちの方にはぜひ一読いただき、川崎病について名前だけでも覚えておいていただきたいと思います。

 

川崎病とは…

日本川崎病学会の公式HP(http://www.jskd.jp/index.html)を参考にわかりやすくまとめてみました。

川崎病は正式名は「急性熱性皮膚粘膜リンパ腺症候群(MCLS)」とい名づけられています。この病気を発見した医学博士・川崎富作さんにちなんで「川崎病」と呼ばれています。

川崎病は4歳児以下の発症率が非常に高い病気で、全身の血管が炎症を起こします。以下のような身体的な症状が現れるのも大きな特徴です。

  1. 5日以上の発熱
  2. 両目の充血
  3. リンパ節の腫れる
  4. 全身に不定形な発疹がでる
  5. 唇や舌が赤く腫れる
  6. 手足が浮腫む・赤く腫れる

この特徴的な6つの症状のうち5つが現れると川崎病と診断されます。しかし初期段階やお子様によってはあまり症状に現れない「不完全型」の川崎病もあり、診察が難しいのも現状です。

伝染性の病気でないため(原因もわかっていないからその辺も不明)、近くにいても感染ことはありません。そのため感染者が隔離されたり面会できないということはありません。僕たちは病室で常に一緒にいましたし、娘と同室にほかの病気の患児もいました。稀に兄弟で発症する場合があるそうですが、確率は非常に少ないようです(遺伝的要因もある?)。

川崎病の特徴的な6つの症状

1、5日以上の高熱が続く

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川崎病の判断基準として発熱が続き、抗生剤の投与を行っても一向に熱が下がりません。娘も39度~40度の熱が続いていました。座薬を使うと多少熱は下がりましたが、それでも38度以上の高熱が続きました。

2、両目の充血

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Photo by 日本川崎病学会

娘の場合は第3病日(発熱からの3日目)より目の充血が始まりました。目やにはほとんどなかったです。かゆみや痛みはないのか、手でこすったりすることはありませんでした。

3、リンパ節の腫れ

第2病日より左側の首(おたふくで腫れる場所)のみ腫れました。しかしその程度は寝ているとわかりづらいほどです。第3病日より見た目でも腫れていることが分かるぐらい大きく腫れていました(両側)。熱感もありました。

4、不定形な発疹

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Photo by 日本川崎病学会

体全体に不定形の発疹が出ることがあります。特にBCGのあとなどに発疹が出るようです。不完全型の娘の場合は、発疹は全くと言っていいほどありませんでした。

5、唇や舌が赤く腫れる

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Photo by 日本川崎病学会

発熱時から第3病日までは白くなっていました。第4病日より唇も舌も多少は赤かったですが、驚くほど赤くはなっていませんでした。のどの炎症はあったので食事を嫌がることがありました。

6、手足が浮腫む・赤く腫れる

第5病日に大きく手足が浮腫みました。しかし赤くなったり硬くなったりなどの川崎病特有の症状は現れませんでした。そのためか川崎病は完治後に指先の皮のめくれがありますが、それもありませんでした。むくみの原因には点滴の影響も関係してたのではと思います。

 

娘は血液データは非常に悪いものでしたが、現れた症状はどれも軽度(不完全型)であったため一見すると川崎病との診断は難しかったようです。その理由はやはり初期症状が風邪やリンパ節炎などのウイルス性疾患に非常によく似ていたからです。これで診断できた先生には本当に感謝しかありません。

最初に病院に行った第2病日では、広範囲に効果のある通常の抗生剤と熱さましの座薬を処方され、「様子見」ということを言われました。

第3病日も高熱が続いたために同じ病院に再び来院し、血液検査やアデノウイルスなどの検査を行い、データが非常に悪かった(特にCRP)ため、県立病院で詳しい検査をすることになり、川崎病の診断が下りました。

川崎病の怖い後遺症

川崎病は処置が適切であれば治る病気とされています。1990年ごろからは大幅に致死率は減少しました。しかし厄介なこともあります。それが、処置が遅れると合併症である「冠動脈瘤」に発症しやすくなることです。

冠動脈瘤とは、心臓にある大事な血管のひとつに瘤(血管がこぶ状に膨らむ)ができてしまうことです。冠動脈瘤ができると心筋梗塞などを引き起こしやすくなってしまいます。もちろん冠動脈瘤も手術や投薬で改善しますが、入院が長期化したり運動制限されたりすることもあります。

川崎病の治療はガンマグロブリンと呼ばれる血液製剤が使われるのですが、これを投与するタイミングによって、冠動脈瘤ができる確率が大きく変わってくきます。(早すぎる投与は川崎病に効果がうすいらしい)

川崎病を発症後7日以降から瘤ができやすくなり9日以降に処置をした場合、この冠動脈瘤ができる確率が大幅に上がるとされています。

適切なタイミングでのガンマグロブリンの投与には、発症した日時が正確に必要となるため、日ごろから子供の熱があるときは体温測定をして、親は子供の状態を把握しておく必要があります。

川崎病の治療方法

ガンマグロブリン療法

主に用いられる治療法は「ガンマグロブリン(免疫グロブリン)療法」と呼ばれるものです。川崎病に最も効果のある薬と言われていますが、なぜ効果があるかはいまだに解明されていません。

またガンマグロブリンは他人の血液を使って作られたものになるためメリット・デメリットがあります。

メリット
  • 川崎病の特効薬のようなもの
  • 昔のようなリスクはなく、安全性が確認されている
デメリット
  • 血液製剤であるため、まだ発見されていないウィルスや菌が混入している可能性がある

このようなデメリットがあるため、投与前には医師より説明と同意書への捺印が求められます。しかしながら、投与しなければ合併症のリスクも増えるため、僕はママと話し合い同意し、投与が決まりました。

アスピリン

ガンマグロブリンと並行して投与(経口)されるのがアスピリンです。

これは血管の炎症を抑えるのと血液が固まりにくくする薬です。川崎病の合併症である冠動脈瘤を防ぐ効果があります。これは退院後もしばらく(約3か月予定)は服用することとなります。副作用としては肝機能が低下する場合があります。その際はアンギナール散が用いられます。入院中は娘も肝機能も少し悪かったので、アンギナール散を経口投与しています。(かなりニガい)

退院後の今はアスピリンを服用しています。

その他

ガンマグロブリンでの効果が少ない場合や再発(再燃)する場合はステロイドを用いることもあります。ステロイドを使うと免疫機能が低下するため、入院が長期化する可能性が高いです。万が一風邪などにかかるとやっかいなので。

川崎病になった娘の入院記録

こちらは別記事で詳細を記したいと思います。退院後の検査結果もこちらに書く予定です。しばらくお待ちください。

川崎病の治療・入院費用について

投薬の種類(ガンマグロブリンやアスピリン以外に栄養剤や水分補給として生理食塩水やブドウ糖液も点滴しています)や回数によって大幅に変更があると思います。部屋は4人部屋を使用。入院3日目までは食事を頼んでいません。

健康保険に加入しています。

この場合ですが、すべて診療代・薬代・入院費すべて含め約17万円となります。

ここで全国健康保険協会(協会けんぽ)の高額医療費制度を利用します。

高額医療費制度とは…

高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます。高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。協会けんぽHPより

この制度をつかって診療代が約8万円となり入院費約1万と合わせ9万円を一度病院に支払うことになります。これは書類の提出があります。また所得によって変動がありますのでこちらでご確認ください。

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

そして僕の暮らす市町村にはこども医療費助成金制度があります。

こども医療費助成制度とは…

子供が病気やけがで病院へ行ったときにかかった医療費(歯科治療分を含む)や、
病院等の処方箋で薬局からお薬をもらったときのお薬代などが助成される制度です。

この制度によって、支払った8万円の診療代・薬代が無料となります。これは2か月後に自分が指定している銀行に返金されます(自治体によって振り込み日は違う)。結果的には入院費(ベッドや食事、プレイルーム)の約1万円となりました。

どちらも本当にありがたい制度ですね。

子供の年齢や各自治体の補助範囲の違いがあると思います。大きな病院には必ず医療費や入院費の相談や補助制度に詳しい事務スタッフがいる窓口があるので、そちらで相談してみるといいと思います。6歳児以下ならほとんどの自治体で食事費と部屋代だけになると思います。

さらに我が家は別途で医療保険(コープ共済)に加入していたので、入院1日6000円の見舞い金をもらいました。これは交通費や駐車場代、仕事を休んだなどの、入院したがためにかかった費用に充てることできました。小さな子供はこども助成制度があるため、保険への加入は必要ないと思われがちですが、こども助成制度は地域格差が激しい制度なので、自分たちが暮らす自治体の制度(例えば何歳まで無料とか)を把握し、保険への加入を検討しておいたほうが良いでしょう。

ちなみに川崎病になり、心臓に病気があるとわかったあとは、保険への加入はできなくなる場合があります。(入れる保険もあり)

まとめ

川崎病の初期症状は普通の風邪やウイルス疾患に非常によく似ています、そのため病院にいっても「様子見」され初期の治療に遅れが出る場合があり、せっかくすぐ治る病気でも長期化してしまうことがあるそうです。

川崎病という名前だけでも覚えておくだけでも、初期の対応は全然変わってくると思うので、4歳児以下のお子様を持つ方の助けになると思いこの記事を書いてみました。

娘は今後定期的に冠動脈瘤ができていないかのエコー検査がしばらく続きます。今後の経過も定期的に報告できればと思います。