大地震後に発表する活動見通し 「余震」など表現を見直し

大地震後に発表する活動見通し 「余震」など表現を見直し
k10010642701_201608191622_201608191624.mp4
ことし4月の熊本地震を受けて、政府の地震調査委員会は、大地震のすぐあとに発表していた地震活動の見通しに関する情報の出し方を見直すことを決めました。大地震の発生からおよそ1週間は、余震ということばを使わずに「同じ程度の地震に注意が必要」などと呼びかけるとしています。
気象庁は、政府の地震調査委員会が示した計算方法に基づき、予想される余震の規模や発生回数を発表していて、ことし4月の熊本地震でも最初に震度7の揺れを観測したマグニチュード6.5の地震が起きた翌日に、「今後3日間に震度6弱以上の余震が起きる可能性は20%」という情報を発表していました。
しかし、その後さらに規模の大きい地震が起きたことを受けて、政府の地震調査委員会は、大地震のすぐあとに発表していた地震活動の見通しに関する情報の出し方を見直すことを決めました。
それによりますと、大地震の発生からおよそ1週間は、「余震」ということばを使わずに、例えば「今後3日間は、最初の大地震と同じ程度の地震に注意が必要」などと呼びかけるとしています。そしておよそ1週間後からは、それまでに起きた地震のデータをもとに余震の発生確率を計算したうえで、これまでのような「%」ではなく、例えば「震度6弱以上の地震が起きる確率は、大地震発生直後の3分の1程度になった」などと、表現を見直して発表するとしています。気象庁は、19日からこの方法に基づいて情報を発表することにしています。

平田委員長「重く受け止め」

政府の地震調査委員会の委員長を務める東京大学地震研究所の平田直教授は、記者会見で、「『余震の確率は20%』などと被災された方が聞くと、地震は起きない確率が高いと思ったかもしれず、重く受け止めている。このため、今後は大きな地震の発生から2、3日の間は再び強い揺れの地震が起きる可能性は高いと、より明確に出すことにした。気象庁が出す情報に引き続き注意してもらいながら、防災・減災に務めてほしい」と述べました。

見直しのきっかけは熊本地震

今回の見直しのきっかけとなったのは、ことし4月の熊本地震でした。気象庁が使っている余震確率の計算方法は、最初に発生した地震が最も大きい「本震ー余震型」の地震活動のみを対象にしています。しかし、熊本地震では、当初本震と見られていたマグニチュード6.5の地震が起きた2日後に、さらに規模の大きいマグニチュード7.3の地震が発生したため、政府の地震調査委員会は、熊本地震のような地震活動には、この計算方法が適用できないことがわかったとしています。
また、マグニチュード6.5の地震が起きた次の日に発表した「今後3日間に震度6弱以上の余震が起きる可能性は20%」という情報の中で、「余震」という言葉を使ったことで、「最初の地震より大きな地震は発生しない」というイメージを住民に与えた可能性があるともしています。
今回見直された方法では、大地震の発生からおよそ1週間は、「本震ー余震型」の地震かどうか見極めをつけるのは難しいことから、余震の発生確率は発表せず、「今後3日間は同じ規模の地震に注意が必要」などと、「余震」という言葉を使わずに今後の見通しの情報を発表するとしています。また、複数の断層帯がずれ動いて起きたとされる熊本地震を教訓に、大地震が起きた領域の周辺に、地震調査委員会が長期評価を公表している活断層があれば、情報の中でその存在を示したうえで、地震活動が平常より活発になっているかどうかなどについても言及するとしています。さらにおよそ1週間後からは、例えば「震度6弱以上の地震が起きる確率は、当初の3分の1程度になった」という表現とともに、「依然として平常時のおよそ10倍になっている」などという表現を加えて、引き続き注意を呼びかけるとしています。