韓国統一部(省に相当)のある当局者は18日、駐英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使の韓国亡命と関連して「(全体として)脱北動機が多様化の傾向にあるのは間違いない」と前置きした上で「(最近は)生活環境やより良い暮らしを目指す『移民型脱北』が増えている」と明らかにした。1990年代よりも前は政治的な動機の亡命、北朝鮮で食糧難が深刻化した1990年代中ごろの「苦難の行軍」以後は生きるための亡命や脱北が多かったが、最近はより良い暮らしを夢見ての脱北が新たな流れになっているようだ。
この当局者は、テ・ヨンホ氏の亡命がこの中のどのケースに当てはまるかは明確にしなかったものの「テ・ヨンホ氏は外国政府と接する機会も多く、また海外の様子も実際に目の当たりにしてきたため、(北朝鮮)体制と外の世界、さらに南北を比較する見方が身についたのだろう」と述べ、テ・ヨンホ氏の亡命は上記の「移民型」とは違ったものであることを示唆した。
このような見方について統一部の鄭俊熙(チョン・ジュンヒ)報道官は前日、テ・ヨンホ氏の亡命を発表する際「子供の将来」が亡命動機の一つだったと伝えている。実際にテ・ヨンホ氏が亡命に踏み切った時期は、自らの平壌への帰還に加え、次男の英国名門大学進学の時期とも重なっていた。亡命の決断に「子供の将来」が重要な要素となっていたことをうかがい知ることができる。
別の韓国政府筋もこの日「最近亡命した北朝鮮外交官たちの中には、子供の将来が大きな理由となっているケースも多い」「実際に北朝鮮外交官の子供たちの多くは海外の事情に精通し、帰国を嫌がっている」と明らかにした。中には平壌に戻りたがらない子供を説得できず、家族全員がやむなく亡命するケースや、子供が先に第三国の大使館などに逃げ込み、家族がそれに従って亡命するケースもかなりあるようだ。