日銀が2014年度の国内総生産(GDP)統計に疑問を呈し、内閣府が反論したと報じられている。
政府の公表数字では、14年度の実質成長率はマイナス1・0%だったが、日銀リポートの試算ではプラス2・4%だったという。14年4月に消費税率を引き上げた影響で消費が落ち込み、マイナス成長になったとみられていたが、リポートでは消費増税しても景気は落ち込まなかったというのだ。「消費増税しても景気への影響は軽微だ」と主張した財務省の御用学者が聞いたら、泣いて喜びそうだ。
経済学の基本原理では、GDPを生産面、分配所得面、支出面から見ても同じ値になるという「三面等価の原則」がある。まず、GDPは付加価値の合計であるとして、各生産部門で生産された付加価値の合計が、生産面からのGDPだ。また、付加価値の合計は従業員への賃金、資本家への配当や企業の内部留保、政府への税金などに分配されるが、これが分配所得面からのGDP。そして分配された所得がどう使われるかを消費、投資、輸出入に分けたのが支出面からのGDPとなる。
日銀のリポートでは、政府のGDP算出が主として支出面からだとして、分配面からの試算を行っている。分配面の試算でのポイントは、税務統計を使うことである。税収は、消費増税してもそこそこ好調であるために、税務統計を使うと分配面のGDPは大きくなるわけだ。
日銀リポートは、「消費増税しても景気への影響は軽微だ」と言ってきた黒田東彦(はるひこ)総裁への援護射撃にもなっている。財務省としても、消費増税による景気の落ち込みを否定したいので、この日銀リポートの意見には賛成だろう。