ピサの斜塔はなぜ傾いたのか?

ピサ斜塔は、もとは大聖堂の鐘楼、つまり鐘をついて人々に時間を知らすための塔です。これが傾いて斜塔として有名になりました。はじめから斜めにしようという意図があって建築したわけではなく、地盤が弱いために傾いてしまったものです。
torre2

ピサは海に近く、またアルノ河とセルキオ河に挟まれた土地になっています。そのため柔らかく水を含んだ粘土や泥炭が積み重なった沖積層という地盤です。沼や潟に積もった泥・粘土・砂の層が段々重ねになっているのです。

斜塔のある地盤は地表から砂の混じった泥の層、砂の層、粘土層という順番になっています。この3番目の粘土層(パンコーネと呼ばれ、地表から10~21mの深さにこの層があります)の柔らかさが、斜塔の北側と南側で違う、これが斜塔傾いた一番大きな原因です。

1960年代、現地の地下水汲み上げによって地下水位が下がり、傾斜が急激に進みました。1964年からイタリア政府はピサ斜塔を崩壊から回避するための支援を国際的に求めました。

1990年には安全上の問題により公開を休止し、傾斜角を是正するために改修工事が行われました。当初は沈み込んだ側(3m以上沈下)と反対の北側におもりを載せることでバランスをとろうとしましたが、根本的な解決には至りませんでした。

おもりが載せてある状態。
トッレ3

その後、北側の地盤を掘削するという工法が採られました。前述の柔らかい土地を穿孔機で取り除いたのです。
日本の建築会社の提案では、薬液を注入して地盤改良を行う(粘土と砂を岩盤状にする)などの案もありましたが、透水性の低い粘土層への注入は難しかったので、この案は採択されませんでした。
そして2001年、10年間にわたる作業が終了し公開は再開されました。

2008年には監視担当のエンジニアで地質学者でもあるジャミオルコウスキ教授により、少なくともあと300年は倒れる危険がないとの見解が示されています。
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伊藤裕紀子

Author:伊藤裕紀子
イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。

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