廃業を余儀なくされる仲卸業者が続出
「ほら、あそこもあそこも電気が消えてるでしょ。あっちとあっちは明るいけど、隣の店が移転まで一時的に借りてるだけ。実は場内はもうすっかり、シャッターのないシャッター商店街みたいなもんなんだよ」
一般客も買い物ができる朝10時過ぎ、立ち寄った場内の仲卸業者は、店の回りを指さして、そう話した。
築地市場に出かけたのは、8月に入ってからのとある平日のこと。この日も場内の飲食店は押し寄せた国内外の観光客で、どこも長蛇の列。場内にはターレと呼ばれるおなじみの電気自動車が所狭しと走り回り、いつもの築地市場の賑わいはまったく変わっていないように見えた。なのに11月7日に予定されている豊洲新市場への移転まで3カ月を切って、早々に撤退する業者は日に日に増えているという。
そのほとんどが、新市場へは移転せず、廃業を余儀なくされた仲卸業者。前の仲卸業者の店の回りだけで言えば、「最終的に少なくとも3~4割」の店は移転せずに、廃業の道を選ぶことになるらしい。
後継者がいないとか、不景気とか、それぞれ事情はあるんだろうけど、何より新市場に移るには新しい設備などにお金がかかる。小さい店であればあるほど、たとえ移転したくてもできずに、泣く泣く店をたたむケースも少なくないという。