自民党が先の東京都知事選をめぐり、小池百合子知事らの処分問題への対応に苦慮している。
小池氏を不用意に刺激すれば、同氏が「選択肢」としている新党結成を誘発し、来年に控える都議選や、再来年までに行われる衆院選で自民党の脅威となりかねないためだ。党執行部は小池氏との関係修復を図る考えだが、知事選で激しく対立した党都連の反発が根強く、慎重に対応する方針だ。
同党の二階俊博幹事長は18日、静岡県裾野市で記者団に、小池氏からリオデジャネイロ五輪の閉会式に出席すると電話連絡があったことを明らかにした。その上で「自民党と敵対するものをつくる気配は、少なくとも感じなかった」と語り、党内の動揺を抑える意向をにじませた。
都知事選で、小池氏は党方針に従わず立候補し、都連を「敵役」に見立てて圧勝した。都連は小池氏や、その支援者の処分について「除名相当」との立場。しかし、ある党幹部は「処分なんかしたら、小池氏は新党結成に走りだすかもしれない」と処分には否定的な見解を示した。東京選出の若手国会議員は「小池新党ができたら、都議も国会議員も大変だ」と危機感をあらわにした。
小池氏の失職に伴う衆院東京10区補選への対応も、自民党にとって悩みの種だ。同区へは、都知事選で小池氏を支援した若狭勝衆院議員(比例東京)が立候補に意欲を持っているとされる。都連内で処分対象の若狭氏を公認すべきだとの声は乏しいものの、「若狭氏を蹴れば、小池新党から出馬となりかねない。そうなれば自民候補は勝てない」(若手)と不安は尽きない。
執行部は、処分問題を先送りするとともに、衆院補選では小池氏との対立回避を模索する構え。党内では「小池氏とはうまく付き合うしかない」との意見が広がっており、都連には不満がくすぶりそうだ。
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