回復不可能といわれていた下半身不随の患者が再び感覚を取り戻した訓練。
- 2016/8/18
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パワードスーツを失われた運動機能の代替に
脊髄損傷などで運動機能を一部失った障害者の脳波を読み取って、パワードスーツを意思通りに動かすことで運動機能をアシストする研究は以前から進められており、すでに実用化を視野にいれた開発が行われています。
ところが、このスーツを脳波によってコントロールする訓練によって驚くべきことが起きてきました。VR(仮想現実)を使って訓練をしたところ、マシンコントロール習得だけでなく動かなくなっていた体の部位が感覚を取り戻し、回復不可能だといわれていた機能自体が回復した例が出てきたと科学雑誌のNatureのオンライン版が伝えています。
VRヘッドセットの訓練で神経系が回復する可能性が
アメリカのデューク大学の研究チームは、脊髄に障害を負って下半身不随に陥った患者8人にVRヘッドセットを使った脳波をコントロールする訓練を実施しました。
開始から10カ月後には介助を受けながらであれば脳波で装着しているパワードスーツを操作して、自分で歩けるようになる患者も現れたということですから、訓練の本来の目的は大成功でした。それに加えてVRトレーニングの途中にパワードスーツを使うだけでなく、さらに自分の足を再び動かすことに成功する被験者が現れたということです。すでに訓練開始から7カ月後には、患者の神経系が実際に回復する兆候が現れ始めていました。
これまでは脊髄損傷などによる下半身不随症状は決して回復することがないと考えられていましたが、下半身不随になった後も最大80%の患者には神経系統自体は残っているという研究報告もあります。VRを使った脳トレーニングによって神経系を回復させる効果がある可能性が指摘されています。
詳細がわかっておらず即断は禁物ですが、これは多くの障害者の方に希望をもたらす素晴らしいニュースだと思います。社会的な投資をする価値が十分にあります。
実験に参加した8人の患者はすべてパワードスーツを使った動作に成功し、さらに下半身の感覚を取り戻し始めていると報告されています。