名作アニメ生んだ撮影台 トトロ、ポケモンに使用 [福岡県]
透明なシートに登場人物などを描いた「セル画」を撮影する「アニメーション撮影台」が門司区西海岸の映画資料室「松永文庫」に寄贈され、同文庫が入る旧大連航路上屋1階で一般公開されている。「となりのトトロ」(1988年)をはじめ、多くの名作を撮影した機材で、同文庫は「稼働する撮影台は国内に数台しか残っていないとされ、貴重な資料」としている。
撮影台は高さ約4メートル、重さ約1トン。セル画や背景画を置く撮影画板や上下に動く可動式カメラの取り付け台、撮影用ライト、操作盤などで構成されている。
アニメの制作会社「スタジオコスモス」(埼玉県)が1970年代から2004年まで使用。スタジオジブリの名作や「ポケットモンスター」シリーズの撮影にも用いられた。その後、個人の所有を経て同文庫に寄贈。文庫開設3周年を記念して7月下旬から常設展示している。
同文庫によると、日本のアニメは長い間、撮影台を使ってセル画を背景画に重ねて1こまずつ撮影する手法で制作されてきたが、近年はコンピューターによるデジタル制作に移行しているという。このため、80年代に国内で約500台あったとされる撮影台は年々減少。重くて大きいことから保存や展示は難しく、稼働する撮影台は現在、数台しかないとされる。
同文庫の凪(なぎ)恵美学芸員は「アニメがどうやって制作されたのかが分かる機材。国内でも展示されている場所は限られているので興味がある人は見に来てほしい」と話している。
=2016/08/19付 西日本新聞朝刊=