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絶対諦めなかった レスリング、声援背に金3連発

2016/8/18 13:49
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 【リオデジャネイロ=村田篤史】最後まで諦めない強い気持ちが、逆転での3つの「金」につながった。17日夜(日本時間18日朝)の女子レスリング決勝。初出場の登坂絵莉選手(22)が残り数秒の逆転勝利で勢いづけ、伊調馨選手(32)も終了間際に前人未到の4連覇を達成。同じく初出場の土性沙羅選手(21)も逆転で金をもぎとった。

 ■伊調 伊調選手が4連覇を目指したレスリング女子58キロ級決勝は終盤まで1ポイントを追う展開に。「時間切れか」と思われた残り数秒。絡みつく相手から右足を抜いて背後を取り、2ポイントを奪って逆転勝利を収めた。

 敗戦がニュースになるほどの「絶対女王」。この日も貫禄の試合展開で勝ち上がったが、決勝戦は苦戦を強いられた。

 「正直に言うと、戦う前は怖かった。でもたくさんの人が今まで支え応援してくれたので、勇気をもらって戦うことができました」という伊調選手。表彰式では中央で高々と揚がる日の丸を見つめて君が代を口ずさみ、歌い終えるとスッと天井を見つめて目を閉じた。

 表彰台を降りると、右手で「4」をつくった後、左手で4つ目となる金メダルを持ちながらほほ笑み、軽くキスをした。

 ■登坂 伊調選手の前に決勝に臨んだ48キロ級の登坂選手も終盤の逆転劇で初めての金をつかみ取った。

 1ポイントのリードを許して迎えた残り約10秒。起死回生の思いで相手の足元へ飛び込んだ。「もうここしかない。これで(金を)取れなかったら後悔すると思った」。前回ロンドン五輪銀メダルのスタドニク選手(アゼルバイジャン)の右足を抱えてから床にたたきつけた。2ポイントを奪った直後に試合終了を告げるブザーが鳴り、両手をたたいてマットに倒れ込んだ。

 勝利の瞬間は「いろんな人の顔が浮かんだ」という登坂選手。「一番は弱い時から信じてくれた家族」と言い、小学生の頃にレスリングを勧めてくれた父の修さん(52)、母の安津子さん(52)が見守るスタンドに向かい、感極まった表情で何度も拳を突き上げた。

 「娘の夢がかなってよかった」。修さんは興奮冷めやらぬ様子で勝利をかみしめた。

 表彰式では首にかけられた金メダルをうれしそうに見つめた。「すごい重いです」。22歳らしい、さわやかな笑みがこぼれた。

 ■土性 2人の逆転劇を受けて迎えた69キロ級決勝。世界選手権で優勝経験がなく初出場の土性選手は身長174センチと大柄なボロベワ選手(ロシア)に比べ、身長が約15センチ低くリーチで劣り、防戦を強いられた。だが0対2とリードを許した残り約30秒、相手に上から抱えられたが、ぐるりと体をねじってその両手をふりほどくと、正面から素早くタックル。尻餅をつかせて2ポイントを一気に奪い返してリードを奪った。

 最後は相手の攻めをかわし、終了のブザーを聞くと、両手を強く握りしめてマットを駆け回り、顔をくしゃくしゃにしながら両手を広げ、大きな声を上げて喜んだ。

 「本当にうれしい。たくさんの方に支えられてきたおかげで取れた」と土性選手。レスリング女子の初日から3人続けての劇的な逆転勝利での金メダルに「(伊調)馨さんも(登坂)絵莉さんも最後の最後まで諦めなかった。最後まで絶対諦めずにやろうと決めていた」と笑顔を弾ませた。

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