新たな概念「BoT(Banking of Things)」、あらゆるモノがつながる世界で銀行はどう変わるか
近頃、金融サービス業界でデバイスやクラウドからのデータを利用した「Banking of Things(モノのバンキング)」を構築しようとする動きが出てきている。
American Bankerの最近の記事には、新たなコネクテッドデバイスやものすごい勢いで増え続けるデータから銀行が受けるだろう、あらゆる影響についての考察が述べられている。
たしかに業界の一部の専門家は、「モノのバンキング」と呼ばれる時代の到来に肯定的だ。彼らは自宅や職場のあらゆるものから生成されるデータが十分に活用される世の中を想定している。
「モバイルデバイスやウェアラブルの急増により、あらゆるものが接続されることは、銀行が膨大なデータを集めることが可能になったことを意味する」とNextAnglesの副社長、ジェリーリン・クラーク氏は語る。
「15年前で銀行が顧客のことを調べるタイミングといえば、ローンの申し込みなどの出来事があるときくらいだった。しかし、IoTによるデータ収集が可能になった今、我々は顧客に対してよりパーソナライズされたサービスを提供できる」と彼女は言う。
データの氾濫とより大きなリスク
クラウドコンピューティングやストレージの進歩のおかげで、金融機関はこれまで管理やインフラの維持のためにとって置かれていた資金を、生成されるデータの解析などに回せるようになる。
「(Citi)銀行では、データセンターやメインフレームといったインフラのために、これまで多くの予算が割かれていた。だが、これらをクラウドに移すことで多くの選択肢が可能となる」と、かつてCitiグループの北米リテールバンクでCIOの任についていた彼女は語る。
コンサルタント企業 DataArt の上級副社長、アレクサンダー・メキエンコフ氏もまた、「この流れはイノベーティブな金融商品の開発の道を開くチャンスだ」と考えている。だがしかし、「銀行は役立つ新しいサービスの提供を行いつつも、それが顧客の人生に無用に入り込み過ぎないよう弁えることが大事である」と警鐘を鳴らす。
「銀行は取引を非常に慎重に行わなければならない。特にセキュリティについては強く念頭に置く必要があり、また、提供するものは顧客、銀行双方にとって利益があるものでなければならないことを忘れてはいけない」と彼は言う。
だが、もしイノベーションを追い求める金融機関が顧客を助ける側であれ監視する側であれ、旨味のあるポイントを見つけたのであれば、できることは何でもやろうと彼らはコネクテッド技術を活用するようになるだろう。
ReadWrite[日本版] 編集部
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