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参院の選挙制度 合区の弊害軽視できぬ

 今回の参院選から導入された、選挙区の合区の見直しを求める声が地方などから起きている。

     都道府県単位が原則だった選挙区を統合する合区は「1票の格差」を是正するための措置だ。しかし、有権者の選挙への関心を低下させる弊害は軽視できない。国会は参院のあり方も含め、合区によらない選挙制度の抜本改革を議論すべきだ。

     今回から「鳥取・島根」「徳島・高知」4県の選挙区が二つの1人区に統合された。最高裁判決が1票の格差は違憲状態として選挙制度の見直しを求めたことを受けて、格差を3倍未満に抑えるため導入した。

     これに対し、全国知事会は合区の早急な解消を求めるとともに、選挙制度をめぐり、憲法改正についても議論するよう決議した。都道府県ごとの民意が国政に届かなくなることには問題があるとの理屈である。

     今回の参院選では対象となった4県のうち、島根を除く3県で投票率が過去最低を更新した。「徳島・高知」は選挙区別の投票率が46・26%と全国で最下位だった。

     参院選挙区が都道府県単位であることは有権者の意識としてすでに定着している。無理に選挙区を作った結果、選挙の存在が遠くなり、有権者の関心低下を招いたことの表れだろう。

     合区による格差是正は、国会が選挙制度の抜本改革に踏み切れずにいる中で取られた、いわば苦し紛れの対応である。

     大都市への人口集中には歯止めがかからない。このままでは合区の解消どころか、他の選挙区にも合区が波及する可能性がある。国会の怠慢が現在の状況を生んだと言っても言い過ぎではあるまい。

     では、どうするか。参院選挙制度の抜本改革は、衆参両院の役割の見直しと切りはなせない。

     自民党は参院議員を各都道府県を単位とする選挙区から少なくとも1人は選ぶという前提で、憲法改正を含めて検討するよう主張している。

     確かに「1票の平等」原理とは別の「地方代表」の性格を参院に持たせることは、ひとつの選択肢だ。ただ、現在の参院は法律の制定などで衆院とほぼ等しい権限を持つ。こうした点についても見直すことが欠かせないはずだ。

     昨年改正された公職選挙法は2019年の参院選に向けて、選挙制度の抜本改革について「必ず結論を得る」ことを付則に明記している。

     憲法改正が必要となるような統治機構の議論と並行して、比例代表と選挙区の定数配分を見直すことで合区を回避するような方法もあるのではないか。政党は早急に協議を始めてほしい。

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