今回は管理人ひろやんではなく、Twitterで知り合ったKeitaさんからの寄稿記事!コミケの報告とサイエンスコミュニケーションの重要性に関して語っていただきました!研究者と一般の方との会話はもっと必要だというのは、私と同じ気持ち!是非とも多くの方に読んでいただければと思います。
ご挨拶
はじめまして、培養食肉プロジェクト ”Shojinmeat Project” の Keitaと申します。
以前Shojinmeat Projectについて書いて頂いたご縁で、当ブログ管理人のひろやんさんから寄稿のお話を頂きました。
今回は私がサイエンスコミュニケーション活動の一環として行った、
「コミックマーケット(以下コミケ)90」での培養肉本販売についてレポートしたいと思います。
人工培養肉作って食べてみた本
今回私はサークル名 “Co-Lab” として Shojinmeat Project代表の羽生氏のサークルに委託形式でお邪魔しました。
近年研究が盛んに行われつつある人工培養肉について、その背景と動向をまとめたと同時に、最後にはメンバーと共に行った「美味しいのか?実際に作って食べてみた!」についてもレポートしています。
評論本制作にあたり、多くの研究者の方に御協力頂き、この場を借りてお礼申し上げます。
他にもあったバイオ研究系評論本
会場を歩いてみると、他にもバイオ系の評論本が見受けられました。
参加前から特に気になっていたのが、”生命科学同女子会”というサークルの「実験女子学」という評論本です。
どことなく見たことのある表紙デザインと記事の内容に惹かれ2冊購入しました。「iPS細胞で同性間の子供ができるのか?」 「口腔内細菌叢を利用したかくれ百合カップルの同定」など、コミケらしさと科学を組み合わせた内容になっています。
コミケでは表現の多様性が尊重されるため、このように学問領域を独自の視点でひねった作品も多いです。
しかもこの評論本、しっかりと引用文献も明記されておりバイオ研究の現状がよく分かる作品になっていました。
同じバイオに従事している身としても、大変面白く読ませて頂けました。
続編が気になります
社会と共に作り上げていく~先端バイオ技術と科学コミュニケーション~
今回のコミケ評論本執筆の目的は単なる研究成果の発表に留まりません。
本企画は培養食肉研究における「社会との対話」という面も持ち合わせています。
革新的な技術というものは、良くも悪くも社会から注目を集めます。
特にバイオ技術が食糧生産に応用された場合、安全面が指摘されがちなのは「遺伝子組み換え作物」の例からもお分かりでしょう。
実際のところ、遺伝子組み換えという現象は生物の生殖の過程でごく自然に起きうることです。
言い換えれば、我々が食べている肉や野菜は、組み換え現象の積み重ねで生まれている、とも言えます。
しかし社会で形成される「イメージ」が科学的根拠と必ずしも合致しないのは言うまでもありません。
そういった点から、遺伝子組み換え食品はイメージ戦略を誤ったとされています。
遺伝子組み換え食品の例を踏まえると、培養食肉も同じ結果を招く可能性は十分に有り得ます。
そこで世界各国の培養肉研究者は、社会との対話 (サイエンスコミュニケーション活動)を積極的に行うようになっています。
世界的に有名な代替食糧の筆頭団体であるNew Harvestも細胞産業の啓蒙活動を推進しています。
私が関わっているShojinmeat Projectも、既に小学生向けの細胞培養教室を企業と共催するといった活動を行っています。
「参加してくれた方々と一緒に作ってみる」という活動を通し、少しずつではありますが、科学コミュニケーションの土台が形成されつつあります。
そして、今回のコミケでの発表も同様です。対面販売できる数少ないチャンスを活用し、来てくれた方々と対話することを重要視した結果でもあります。
加えて、大企業や大学に属さず低予算で活動する「草の根研究」の発表場所としても最適であると考えました。
次なるサイエンスコミュニケーション活動の予定
Shojinmeat Projectではこれからもイベントを通し、社会との対話を積極的に行っていきます。
直近の予定としましては、8/21(日)のコミティア(@東京ビックサイト)での培養肉本販売や11/3(木)~11/6(日)でのサイエンスアゴラ(@日本科学未来館)での展示が予定されています。
ご興味のある方は、是非足を運んでみて下さい。それではまたの機会に!!
Keita
1993年生まれ 早稲田大学 先進理工学部 卒
日本発培養食肉プロジェクト Shojinmeat Project サイエンスCG・メディアコンテンツ部門所属
Co-Lab 培養肉クラスター所属
専門は生体組織工学(特に骨格筋組織の構築)
SCIGRAというサービス名でサイエンスコミュニケーション用途の3DCG制作・教育サービスも手掛ける。現在、理系研究者向けの3DCG講座 “Science CG塾” にて講師を担当
個人ブログ「Cプログラミングを落とした理系がScience CG制作してみた!」を運営中
理系研究者の3DCG制作から利用について情報を発信している。
Twitter: @keitasciencecg
SIG初の寄稿記事!Keitaさんありがとうございました!実際携わっている人に語ってもらうと、こうも違うものなんですね。流石です!サイエンスコミュニケーションはだいぶ昔よりは広まってきていますが、どうしても研究者側からの一方通行になってしまうことが多いです。SIGもそういう意味では情報発信という形であり、”会話”となっていないのはもっと努力が必要なところかもしれません。
みなさんと会話できるようにするにはどうしたらいいのか、SIGとしても考えてみないといけないかもしれませんね。みなさんが参加出来るような仕組みを少し考えてみたいなと思っていますので、なにか新しい試みをする際には、ご協力頂けましたら幸いです!