渡辺松雄
2016年8月19日08時37分
福岡県にある宝満山(829メートル)の太宰府側のふもとで生まれた無数のカエルたちが、1カ月かけて山頂を目指す。農学博士で佐賀大名誉教授の田中明さん(72)=筑紫野市天拝坂4丁目=が登山道で、その様子を観察し、ホームページで公開した。「嗅覚(きゅうかく)を使って『臭いの道』を覚え、山を登るのではないか」との見方を示している。
地元の人によると、毎年5月ごろ、農業用のため池などで数万匹から数十万匹とみられるヒキガエルのオタマジャクシが生まれる。登山愛好家から、その中に「宝満山を登るカエルがいる」と聞いた田中さんは、今年5月17日、足が生えたオタマジャクシの姿を写真に撮った。
5月23日に見てみると、長さ7、8ミリのカエルになっていた。1合目から2合目にかけては山腹を横切る深さ30センチ、幅30センチのU字溝がある。通過できるかが心配された。5月27日に観察したところ、溝に落ちたカエルたちは、垂直の側面を登っては落ちてを繰り返し、木の枝や葉、こけを足がかりに乗り越えていた。
週2、3回のペースで山に通い、登山仲間からもメールで連絡をもらった。6月25日、1円玉大のカエルが山頂近くの石段を登るのを発見。一段の高さは20~30センチほどだが、その隅にたまった土を「登山ルート」にしていた。確認できた個体は10匹ほどだった。
田中さんは水質など環境工学の…
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