(英エコノミスト誌 2016年8月13日号)

エチオピア首都で路面電車開業、中国の大規模な出資で完成

エチオピアの首都アディスアベバで、開業した路面電車に乗車するため列をつくる人々(2015年9月20日撮影)。(c)Relaxnews/MULUGETA AYENE 〔AFPBB News

インド、中国、日本が影響力を強めようと三つどもえの戦いを繰り広げている。

 もし東洋からアフリカに入る現代の玄関口なるものがあるとしたら、それはエチオピアの首都アディスアベバの空港だと言っていいだろう。ほこりっぽい空港ビルを通っていくぶん遠い首都に向かう乗客たちは、ここでエチオピア料理を食べるのが非常に難しいことに驚く。だが、2軒あるカフェではアジア風の団子をありつくことができる。また、ふと周囲を見回せばゲートの場所を示す看板は英語、エチオピアの公用語であるアムハラ語、そして中国語で書かれている。館内放送もこの3カ国語で行われている。

 ベージュの長いすでは、搭乗する飛行機を待つ若い中国人労働者たちがうたた寝をしている。その数は本当に多く、文字通り数え切れない。最近はアフリカ東部のあちこちで道路、鉄道、港湾の建設を指揮するエンジニアやビジネスマン、労働者たちの姿を見ることができる。彼らもその仲間なのだ。

 中国のアフリカへの関与に対する懸念は、誇張されていることが多い。例えば、広大な農地や工場、鉱山などを買いあさっているとの批判は過剰反応だ。だがそれでも、アフリカ大陸への中国の影響力が強まっていることにはインドや日本がいらだちを覚えており、両国はこれに対応する形でアフリカとの関与を強化している。

 冷戦時代など過去のアフリカで見られたライバル関係と同様に、今回のライバル関係の少なくとも一部は、海を支配するための基地や港湾へのアクセスと関係している。今では、中国のアフリカへの関与には軍事的なプレゼンスの拡大も含まれている。マリや南スーダンには国連の青いヘルメットをかぶった中国の兵士が何千人も駐留し、まぼろしの平和を維持しようとして命を落とす兵士も数人出ている。また、アフリカの港には中国の軍艦が定期的に寄港している。

 中国は、アデン湾を通る中国船籍の船を主に護衛するために艦隊を維持している。しかし一部の外交官は、中国がこうしたパトロールを本国から遠く離れた場所での海軍演習に利用しており、攻撃訓練も行っていると気をもんでいる。ある外交官は「普通は、海賊対策のパトロールに潜水艦なんか使わない」と言う。