吉田、決勝で敗退 4連覇ならず
リオデジャネイロ五輪第14日の18日、レスリング女子の53キロ級で吉田沙保里(33)は決勝でヘレン・マルーリス(米国)に1−4で敗れ、4大会連続の金メダルを逃した。また、五輪と世界選手権をあわせた世界大会の連覇も16で止まった。
第1ピリオドから低い姿勢で相手の動きを見る吉田。タックルを仕掛けるがポイントにはつながらない。試合が動いたのは第2ピリオド。相手に背後を取られて逆転されると、試合終了まで勝利を信じて果敢に攻め込むが、最後まで相手を崩しきれなかった。
吉田は初戦の2回戦でアゼルバイジャンの選手4−0、3回戦でセネガルの選手に9−0で、準決勝ではベネズエラの選手に6−0でそれぞれ判定勝ちしていた。今大会は日本選手団の主将も務め、金メダルへの期待が高まっていた。
3歳から自宅の道場でレスリングを始めた吉田。父栄勝さんからは徹底してタックルを鍛えられた。「タックルを制するものが世界を制する」を信念に、「攻めろ、攻めろ」と相手を圧倒するタックルをたたき込んだ。
父から教えられた素早く相手の懐に入る「高速タックル」を武器に吉田はアテネ、北京、ロンドンと五輪3連覇を果たした。3連覇の瞬間、吉田はセコンドについた栄勝さんを肩車して走った。
その父は14年3月に亡くなった。「(栄勝さんを)肩車したまま一緒にリオに行く」と話していた吉田。父の形見となった高速タックルで、「霊長類最強」と呼ばれる吉田はリオでも最後まで相手を攻め続けた。
だが、目指してきた4連覇には届かなかった。試合後、吉田は「たくさんの方に応援してもらったのに勝てなかった。申し訳ない。最後は勝てると思ったが、取り返しのつかないことになってしまった」と号泣した。