ジカ熱ウイルス マウスでは大人の脳にも感染
中南米を中心に感染が広がるジカ熱は大人が感染しても多くの場合、症状は軽いとされていますが、アメリカの研究グループはウイルスが大人の脳にも感染するおそれがあることをマウスの実験で突き止め、ヒトの場合でも長期的に見て脳への影響が出ないか調べることが重要だとしています。
蚊が媒介する感染症、ジカ熱は妊娠中の女性が感染すると頭部が先天的に小さい小頭症の赤ちゃんが生まれるおそれが指摘されている一方、大人が感染しても症状が出ないか、発熱などの症状が出ても比較的軽いとされています。
アメリカのロックフェラー大学などの研究グループは、大人の脳への影響を調べようと、遺伝子操作でウイルスへの抵抗性をなくした生後6週間の大人のマウスにジカ熱のウイルスを注射しました。その結果、注射してから3日後には、マウスの脳の中でジカ熱のウイルスの存在を示す抗体が増え、その後、神経細胞の元になる細胞の回りにウイルスが集まって一部の細胞が死んでいたことが確認できたとしています。
この細胞は学習や記憶に関係するもので、研究グループはヒトの場合、ウイルスへの感染が認知機能にどう影響するかはわからないとする一方、感染から長期間が経ったあとで影響が出ることがないのかについても調べることが重要だとしています。
アメリカのロックフェラー大学などの研究グループは、大人の脳への影響を調べようと、遺伝子操作でウイルスへの抵抗性をなくした生後6週間の大人のマウスにジカ熱のウイルスを注射しました。その結果、注射してから3日後には、マウスの脳の中でジカ熱のウイルスの存在を示す抗体が増え、その後、神経細胞の元になる細胞の回りにウイルスが集まって一部の細胞が死んでいたことが確認できたとしています。
この細胞は学習や記憶に関係するもので、研究グループはヒトの場合、ウイルスへの感染が認知機能にどう影響するかはわからないとする一方、感染から長期間が経ったあとで影響が出ることがないのかについても調べることが重要だとしています。
専門家「成人でも脳炎など起こす可能性も」
今回の研究成果について、ジカ熱の問題に詳しい神奈川県衛生研究所の高崎智彦所長は「ジカ熱のウイルスが大人のマウスの脳にも感染することを示した研究で、これまで報告されている小頭症のような赤ちゃんへの影響だけでなく、成人でも脳炎や記憶障害などの症状を引き起こす可能性を示している」と指摘しています。
一方、これまでにウイルスが脳に直接侵入し、こうした症状を引き起こした例は実際には報告されていないということです。このため、高崎所長は「ジカ熱のウイルスが大人の脳に障害を与える可能性を明らかにするには、よりヒトに近いサルなどを使って実験を行い、脳への影響を引き続き調べる必要がある」としています。
一方、これまでにウイルスが脳に直接侵入し、こうした症状を引き起こした例は実際には報告されていないということです。このため、高崎所長は「ジカ熱のウイルスが大人の脳に障害を与える可能性を明らかにするには、よりヒトに近いサルなどを使って実験を行い、脳への影響を引き続き調べる必要がある」としています。