クローズアップ現代

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No.37512016年1月12日(火)放送
“未来の紙”が世界を変える!? ~日本発・新素材の可能性~

“未来の紙”が世界を変える!? ~日本発・新素材の可能性~

驚異の新素材 セルロースナノファイバー

最先端の紙の研究をしている、愛媛大学紙産業イノベーションセンターです。
地元の製紙会社と共同でセルロースナノファイバー(CNF)の製造と応用研究をしています。



このゲル状のものを電子顕微鏡で拡大してみます。





見えてきた無数の細かい繊維が、セルロースナノファイバーです。

「髪の毛の5,000分の1から、1万分の1程度の太さ。」




原材料は、紙と同じパルプです。
植物の繊維から出来ています。




このパルプを拡大してみると…この1本の繊維の中に含まれるさらに細かな繊維を取り出したのが、セルロースナノファイバーです。
鉄の5倍の強度を持っています。



従来の紙は繊維が太いため結合が少なく、強い構造にはなりません。





一方、繊維が細かいナノファイバーは繊維どうしが多く結合するため、強い素材となるのです。
ナノファイバーを固めると…。



「硬いですね。」





金づちでたたいても…。





しかも重さは鉄の僅か7分の1しかありません。





このセルロースナノファイバー。
パルプだけでなく、雑草や野菜の絞りかすからも取り出すことができます。




愛媛大学 紙産業イノベーションセンター長 内村浩美さん
「夢のマテリアルと考えますと、これは研究冥利に尽きる。
おもしろい素材だと思います。
いろんな石油(プラスチックなど)に代わる製品にもっていくことができる。
可能性、ジャンルというのは非常に広いと思います。」

去年(2015年)9月。
セルロースナノファイバーに関する画期的な研究が世界の注目を浴びました。
スウェーデンで行われた、森林分野のノーベル賞といわれる賞の授賞式です。
受賞した研究者の1人、東京大学の磯貝明さん。

東京大学 農学生命科学研究科 教授 磯貝明さん
「名誉ある賞をいただけてとても光栄。」




磯貝さんのグループは、木材からナノファイバーを簡単に取り出す方法を世界に先駆けて発見したのです。
使用したのは物を酸化させるのに使われる「TEMPO」という薬品です。
ナノファイバーは繊維どうしの結合が強く、これまで均一に分離するのが困難でした。
TEMPOを使うと繊維が自然とほぐれやすくなり、容易に取り出すことができます。

東京大学 農学生命科学研究科 教授 磯貝明さん
「できるだけ多くの国や産業に普及していただいて、日本が資源もある、技術もある、学術もある、ナノセルロースで世界をリードできたらいい。」

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